1. 結論:合計は同じ年度の最低点と、科目は同じ年度の平均と比べます
先に結論を書いておくと、開成中学校の過去問を解いたら、合計点はその問題と同じ年度の合格者最低点と比べてください。2023年度の問題なら2023年度の237点と、2024年度の問題なら2024年度の216点と比べる、ということ。学校は年度ごとの最低点を公表していますので、これがその年度の合格ラインとの、いちばん直接的な比較になります。
避けたいのは、ある年度の最低点を、ほかの年度の問題にも共通の合格ラインとして当てはめることです。最低点は5年で38点も動いているので、たとえば2026年度の205点を物差しにして2023年度の問題を採点すると、実際には最低点に届いていないのに届いたと思い込むことが起こる。
そのうえで、合計点だけでは、どの科目で離されているのかが分かりません。そこで役に立つのが、学校が科目ごとに公表している合格者の平均点と、受験者全体の平均点です。合計は同じ年度の最低点と、科目ごとの内訳は同じ年度の科目別の平均と比べる。この記事では、その順番で読むための数字を、学校の資料から並べていきます。
2. 2027年度入試の概要
まず、学校が公表している2027年度の入試概要から整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集 | 男子300名 |
| 出願 | 2026年12月20日(日)〜2027年1月22日(金)。オンラインで出願情報の入力と検定料の支払い |
| 学力試験 | 2027年2月1日(月) |
| 合格発表 | 2027年2月3日(水)。オンラインで発表 |
開成中学校「中学入試情報」(2026年5月26日更新)より。
学力試験は国語・算数・理科・社会の4教科で、合計は310点。
| 科目 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|
| 国語 | 50分 | 85点 |
| 算数 | 60分 | 85点 |
| 理科 | 40分 | 70点 |
| 社会 | 40分 | 70点 |
同上。
二次募集や帰国生向けの特別試験などの別の入試はなく、2月1日の1回の試験で合否が決まる。学校は、出願に関する2027年度の詳しい情報を10月中旬から公開するとしていますので、募集要項が出たら改めて確かめておいてください。
3. 合格者は442名、入学者は300名
2026年度の入試では、出願者が1,272名、受験者が1,175名、合格者が442名で、倍率は2.7倍、入学したのは300名でした。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 入学者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年度 | 1,050名 | 416名 | 305名 | 2.5倍 |
| 2023年度 | 1,193名 | 419名 | 307名 | 2.8倍 |
| 2024年度 | 1,190名 | 424名 | 303名 | 2.8倍 |
| 2025年度 | 1,146名 | 431名 | 304名 | 2.7倍 |
| 2026年度 | 1,175名 | 442名 | 300名 | 2.7倍 |
表の数字は、左から年度・受験者数・合格者数・入学者数・倍率です。開成中学校「最近の中学入試状況(過去5年間)」より。2022年度は追試験の受験者を除いた数。
2026年度は、合格者442名に対して入学者が300名で、差は142名。入学しなかった142名の進路の内訳は、公表されている資料からは分かりません。表を見ると、入学者の数はほぼ300名のまま、合格者の数は5年で416名から442名へと少しずつ増えていて、合格者のうち入学した人の割合は、2022年度の73.3%から2026年度の67.9%に下がっている。
倍率は2.5倍から2.8倍のあいだで、大きくは動いていませんし、受験者の数も1,050名から1,193名のあいだに収まっています。開成の入試で年ごとに大きく動いているのは、倍率や受験者数ではなく、次に見る合格者最低点のほうだということになるでしょう。
4. 合格者最低点は、5年で38点動きました
学校が公表している合格者最低点を、5年分並べてみます。
| 年度 | 合格者最低点 | 310点に対する割合 |
|---|---|---|
| 2022 | 199点 | 64.2% |
| 2023 | 237点 | 76.5% |
| 2024 | 216点 | 69.7% |
| 2025 | 202点 | 65.2% |
| 2026 | 205点 | 66.1% |
開成中学校「最近の中学入試状況(過去5年間)」より。割合は当サイトで計算し、小数第2位を四捨五入。
いちばん低かった2022年度の199点と、いちばん高かった2023年度の237点では、38点の開きがあり、得点率に直すと64.2%から76.5%まで。210点という同じ点数でも、2022年度の最低点なら上回り、2023年度の最低点には27点届いていないということになります。
ですから、「開成の合格ラインは何点くらい」という一つの数字を覚えて、どの年度の過去問にも当てはめるのは危険です。受験者全体の得点が高かった年度の問題で高い点を取って安心したり、低かった年度の問題で低い点を取って落ち込んだりすることが起きやすくなる。過去問の合計点は、同じ年度の最低点と並べてください。
5. 最低点と受験者全体の平均の関係
最低点の動きを考える手がかりとして、学校が公表している受験者全体の平均点の合計と、合格者最低点を並べてみましょう。
| 年度 | 受験者全体の平均(合計) | 合格者最低点 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2022年度 | 189.1点 | 199点 | +9.9点 |
| 2023年度 | 221.5点 | 237点 | +15.5点 |
| 2024年度 | 203.8点 | 216点 | +12.2点 |
| 2025年度 | 192.2点 | 202点 | +9.8点 |
| 2026年度 | 193.4点 | 205点 | +11.6点 |
表の数字は、左から年度・受験者全体の平均(4教科合計)・合格者最低点・最低点から全体平均を引いた差です。開成中学校「過去の中高入試結果」「2025年度以前の入試結果」より。差は当サイトで計算。
最低点が高かった2023年度は、受験者全体の平均も221.5点と高く、受験者全体が高い得点を取った年でした。ただ、平均点の動きだけでは、それが問題の難しさによるものなのか、受験者の顔ぶれによるものなのかまでは分かりません。2022年度から2026年度までは、最低点がその年度の全体平均を9.8点から15.5点上回っている。
ただ、これは過去5年の結果を整理したものであって、来年度の合格に必要な点差を示すものではありません。5年分というのは傾向を言い切るには短い期間ですし、合格者の人数や問題の性質によって、この幅は簡単に変わりうるものです。「全体平均より10点から15点上なら合格圏」という使い方はしないでください。この表は、年度によって受験者全体の得点の水準がどれだけ違うかを知るための材料として読むのが、適切だと考えています。
6. 合格者と不合格者で、どの科目に差がついたか
学校は科目ごとに、合格者の平均点と、受験者全体の平均点を公表しています。ただ、受験者全体の平均には合格者も含まれているので、この二つの差は、合格者と不合格者の差をそのまま表してはいない。
そこで、公表されている受験者数と合格者数を使って、不合格者の平均点を逆算しました。受験者全体の合計点から合格者の合計点を引き、不合格者の人数で割ったもの。そのうえで、合格者の平均と不合格者の平均の差を、科目ごとに並べます。
| 年度 | 国語(85点) | 算数(85点) | 理科(70点) | 社会(70点) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | +10.7 | +21.2 | +10.1 | +5.0 |
| 2025年度 | +15.5 | +13.3 | +8.3 | +6.6 |
| 2024年度 | +12.9 | +15.1 | +7.9 | +6.8 |
| 2023年度 | +10.2 | +22.7 | +7.1 | +6.2 |
| 2022年度(参考値) | +11.3 | +16.6 | +8.9 | +6.0 |
表の数字は「合格者平均-逆算した不合格者平均」(概算、単位:点)で、左から年度・国語・算数・理科・社会です。太字はその年度で差が最も大きかった科目。開成中学校が公表している受験者数・合格者数・科目別の合格者平均・全体平均から当サイトで計算しました。公表されている科目別の平均点は小数第1位までのため、逆算した不合格者平均とその差は概算です。2022年度は、人数と平均点の集計対象が一致するか確認できないため参考値としています。
2023年度から2026年度の4年のうち3年で、合格者と不合格者の平均の差が4科目のなかで最も大きかったのは算数でした(参考値の2022年度も算数)。2023年度は約22.7点、2026年度は約21.2点で、国語や理科のおよそ2倍の差がついている。ただし、これは平均点どうしの差で、算数がそれぞれの受験生の合否を決めたとまでは言えません。一人ひとりの得点の散らばりや、科目どうしの関係は、公表されていないからです。
2026年度の算数は、合格者の平均が85点中54.8点、逆算した不合格者の平均が約33.6点で、85点の配点のうち、平均で20点を超える開きがあったことになります。
7. 2025年度は、国語で差がつきました
ただし、例外が一つあって、2025年度は、差が最も大きかったのが算数ではなく国語でした。国語の差は約15.5点で、算数の約13.3点を上回っている。
この年の国語は、受験者全体の平均が85点中40.4点で、得点率は47.5%。逆算した不合格者の平均は約34.6点で、合格者の50.1点とのあいだに大きな開きがありました。一方でこの年の算数は、合格者の平均が55.2点、不合格者の平均が約41.9点で、差は約13.3点にとどまっている。
ここから読み取れるのは、「算数さえ仕上げておけば大丈夫」とは言い切れないということ。どの科目で差がつくかは、その年の問題によって入れ替わることがあります。算数で差がつく年が多いのは確かでも、国語で大きく離されると、その年の算数だけでは取り返せない場合もあるでしょう。国語の読解と記述の準備については、中学受験の国語、読解と記述はどこで差がつくかに整理しています。
8. 社会は、毎年差が最も小さい科目でした
表をもう一度見ると、社会の差は2023年度から2026年度の4年とも5.0点から6.8点のあいだで、4科目のなかで毎年いちばん小さくなっています(参考値の2022年度も同様です)。理科も7.1点から10.1点と、算数に比べると小さめ。
ただし、これは平均点どうしの差にすぎず、一人ひとりの得点がどう散らばっていたのか、社会の点がそれぞれの合否にどう効いたのかは、平均点だけからは分かりません。社会や理科は差がつかないから手を抜いてよい、ということにはなりませんし、逆に、どのお子さまにも同じ配分が当てはまるわけでもない。
確かめるべきなのは、お子さま自身の答案のほうです。過去問で社会や理科が同じ年度の全体平均を大きく下回っている場合は、その科目の立て直しを先に考えたほうがよいかもしれませんし、上回っているなら、算数や国語に時間を回す判断もありうる。全体の平均の差は、どこを見ればよいかのヒントであって、答えそのものではないと考えています。
9. 過去問の点数を、どう読むか
ここまでの数字をふまえて、過去問を解いたあとの読み方を、順番に整理しておきます。
- 合計点を、同じ年度の合格者最低点と比べる——いちばん直接的な比較です。年度の違う最低点は使いません
- 科目ごとの点数を、同じ年度の合格者平均と全体平均に並べる——どの科目で届いていて、どの科目で離されているかを見ます
- 届いていない科目の答案を見る——時間が足りなかったのか、解き方を知らなかったのか、記述の要素が欠けていたのかを分けます
- 全体平均の高い年度と低い年度の両方で、同じ傾向が出ているかを確かめる——1年分だけで判断しないようにします
具体的な例で考えてみると、2023年度の過去問で合計230点、2024年度の過去問で合計215点を取ったとします。点数だけを見ると230点のほうが15点高く見えますが、それぞれ同じ年度の最低点と比べると、2023年度の230点は最低点237点に7点届かず、2024年度の215点は最低点216点に1点差で、2024年度のほうが合格ラインに近い位置にある。年度の違う点数をそのまま並べると、この順序が逆に見えてしまうわけです。
ひとつ注意しておきたいのは、ご家庭で採点した過去問の点数は、学校の実際の採点と一致するとは限らないということ。とくに国語の記述は、どこまでを正解とするかで点数が大きく変わります。最低点との差が小さい結果でも、その差だけで合否の見通しを判断しないほうが安全でしょう。採点の基準に自信がないときは、記述の答案だけでも第三者に見てもらうと、点数の読み違いが減るはずです。
過去問で失点したあとの分け方については9月の過去問で点数が取れないときに、過去問をいつから何年分使うかについては最難関中学の過去問はいつから?何年分?にまとめています。
10. 算数で差がつくということ
算数で差がつくと聞くと、難しい問題を解ける生徒が勝つ、という意味に受け取られがちです。ただ、指導にあたっている教師からよく聞くのは、少し違う見方。
同じ問題でも、正攻法で押していけば答えは出るけれども時間がかかる、という形があります。60分という限られた時間のなかでは、その差がそのまま得点差になって表れます。もちろん、解く順番や時間の配分も得点に関わる。ただ、指導の現場で差として感じることが多いのは、その問題の形に応じた解き方を知っているかどうかのほうだといいます。そして、その解き方は、市販の解説には載っていないこともある。
なお、学校が公表しているのは平均点までで、受験生が各問題にどれだけ時間を使ったのか、どの問題を解けたのかは分かりません。お子さまの算数の答案と演習の様子から、どの問題に時間を使い、どこで手が止まったのか、解き方と解く順番のどちらに原因があるのかを確かめることが、この見方を具体的な対策に変えるための出発点になるはずです。
11. 科目ごとの出題の傾向と、答案で確かめたいこと
ここからは、平均点ではなく、問題と答案の中身を見ていきます。この章は、Z会受験情報ナビ「開成中学入試『傾向』と『対策』」などの公開分析を参照し、過去の出題の特徴と、答案を見直すときの確認項目を整理したものです。当サイトが全問題を集計したものでも、学校が示した出題方針でもありませんし、形式や難しさは年度によって変わるので、実際の過去問でも確かめておいてください。
国語:難しい内容を読み取り、短くまとめて書く
開成の国語は、読解問題2題の構成が多い一方で、長い文章1題の年もあるとされています。物語では小学生には難しい複雑な気持ち、説明文では抽象度の高い内容が扱われることがあります。設問は「どういうことか」「なぜか」「気持ちを説明しなさい」といった記述が中心です。解答欄は短めで、本文の言葉をつなぎ合わせるだけでは、問いに合った説明にならないことが多い。物語・説明文・随筆のどれが来てもよいように、形式を決めてかからずに準備しておきたいところです。
答案を見るときは、次のような点を確かめておくと、記述のどこが足りないのかが見えやすくなります。
- 理由を聞かれているのに、出来事や気持ちだけを書いていないか
- 傍線部の近くだけを見て、文章全体にある根拠を落としていないか
- 本文の言葉を並べるだけで、言葉どうしの関係が伝わらない答案になっていないか
- 短くまとめようとして、必要な説明まで削っていないか
復習では、自分の答案と模範解答を比べて、足りなかった説明を整理してから書き直すのが基本になります。模範解答をそのまま写すのではなく、何を付け足し、何を削ったのかを本人が言葉にできるようにしておくと、次の記述で気をつけることがはっきりしてくるでしょう。
算数:解き方を知っていることと、条件から方針を組み立てることは別
算数は、大問の数や形式、難しさが年度によって変わる。特徴として挙げられることが多いのは、難しめの立体図形と、問題文のルールを読み取って論理的に考える問題です。どちらも、考え方や式を書かせる形で出題されます。ルールを使う問題では、具体的な場合を丁寧に調べるなかで、後の小問を解く手がかりに気づけるかどうかが鍵になるとされています。
前の章で書いたとおり、問題の形に合った解き方を知っているかどうかは大きな差になりますが、初めて見るルールの問題では、それだけでは足りません。答案と解いている様子からは、次の点を確かめておきたいところ。
- 問題文の条件を、図や表、式に整理できているか
- 具体的な場合を調べるとき、漏れや重なりを防ぐ記録が残っているか
- 前の小問で分かった数や規則を、次の小問で使えているか
- 立体図形で、切断面や位置関係を図に表せているか
- 方針を決めるまでに時間がかかったのか、方針が決まってからの計算や作図に時間がかかったのか
復習では、すぐに解説を読むのではなく、どこまで自分で分かっていたかを答案から確かめるところから始めます。条件の整理で止まったなら図や表にするところから、具体例は調べたのに規則が見えなかったなら、調べた結果の並べ方から見直す。解説を読んで納得するだけで終わらせずに、どの条件がその方針を選ぶ手がかりになったのかまで振り返っておくと、初めて見る問題にも生かしやすくなるはずです。
理科:基礎知識と、実験・資料の読み取りを分けて確かめる
理科は物理・化学・生物・地学からまんべんなく出題され、基本的で典型的な問題が多いとされる一方、実験や観察の結果を表やグラフで示した問題も多く出ます。選択式が中心ですが、記述やグラフの作図もある。そのため、基本的・典型的な問題での失点と、実験や資料の読み取りによる失点を分けて、どちらに課題があるかを確かめておきたいところです。
失点した問題は、次のように分けてみると、何を補えばよいかが見えてきます。
| 失点の形 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 知識が出てこない | 用語だけでなく、現象や仕組みまで理解していたか |
| 表・グラフの 読み違い | 単位や軸、比べる条件を確かめていたか |
| 知識と結果が つながらない | 問題文の条件と、習った内容のどこが対応するか分かっていたか |
| 計算・記述・ 作図の誤り | 考え方の誤りか、答えに表す段階の誤りか |
分け方は一つの目安です。答案だけで分からないところは、本人に「どこで迷った?」と聞いてみると見えてくることがあります。
知識の不足なら使っている教材に戻って仕組みを確かめ、資料の読み違いなら軸や単位、条件を書き込みながら読み直す。記述で説明が抜けたなら、結果と理由を分けて書き直してみる、という使い分けが考えられます。
社会:知識を正確に使い、資料と選択肢を読み切る
社会は歴史と地理が中心で、公民や時事的な内容も組み合わせて出題され、小問の数が多いのが特徴とされています。用語を書く問題や、正しい文・誤った文を選ぶ問題が中心で、短い記述も毎年いくつか出る。地形図や気候などの資料を使った問題も、例年出題されているとされます。問題数が多いぶん、知識の正確さに加えて、限られた時間で資料や選択肢を読み切る力も必要になるでしょう。
答案を見るときは、次のような点を確かめておくと、知識の問題なのか読み方の問題なのかを分けやすくなります。
- 用語は分かっていたのに、漢字や名称を不正確に書いていないか
- 正しい文を選ぶのか、誤った文を選ぶのかを読み違えていないか
- 選択肢の年代・場所・人物・因果関係を、途中までしか確かめていないか
- 地図やグラフの情報と、覚えた知識を結びつけられているか
正誤問題の復習では、正解の番号を覚えるだけでなく、誤った選択肢のどこが違うのかまで説明できるようにしておきたいところ。知識があいまいだったのか、知っていたのに読み落としたのかが分かれば、教材に戻るべきか、解くときの確かめ方を変えるべきかを考えやすくなります。開成の所在地にちなんで、東京や江戸に関わる出題がよく見られるともされますが、そこだけを深追いするより、地理・歴史・公民の基礎を広く押さえるほうが先でしょう。
4教科に共通するのは、点数の比較から答案の確認へ進むこと
平均点との比較は、どの科目の答案を詳しく見るかを決めるための入口です。そこから先は、科目によって確かめる中身が変わってきます。国語なら根拠と記述の要素、算数なら条件の整理と方針、理科なら知識と資料の結びつき、社会なら知識の正確さと読み落とし。
同じ年度の合格者平均を下回っていても、その科目のすべてをやり直す必要があるとは限りません。どの問題で、何が原因で失点したかを見たうえで、戻る教材や練習する内容を選ぶ。この章の確認項目は、そのための目安として使ってみてください。
12. いまの時期に確かめておくこと
2月1日の試験まで、あと4か月ほど。この時期であれば、次の3つを確かめておかれると、残りの時間の使い方が決めやすくなります。
- 直近2〜3年分の過去問で、合計点が同じ年度の最低点にどれだけ届いているか
- 科目ごとに、同じ年度の合格者平均と全体平均のどちらに近いか
- 全体平均の高い年度と低い年度で、最低点との距離がどう変わるか
合計では最低点に届いていても、ある科目だけ毎年全体平均を下回っているようなら、本番の問題によっては崩れることもあるでしょう。合計の数字だけで安心せず、科目の内訳まで見ておくと、残りの時間をどこに使うかが決めやすくなると思います。
13. この組み立てを、誰と一緒にやるか
ここまでの数字は、学校の公式サイトでどなたでも確かめられます。過去問の点数を同じ年度の最低点や科目別の平均と比べる作業も、ご家庭で進めていただけると思います。
一方で、点数を比べるだけでは、なぜ点を落としたのかまでは分かりません。算数なら、解き方の形を知らずに遠回りしているのか、方針を決めるまでに時間がかかっているのか、難しい問題に時間をかけすぎているのか、条件の読み落としなのか。国語なら、記述に入れるべき要素が足りないのか、設問の意図をつかめていないのか。同じ失点でも、原因によって直し方は違います。その原因は、答案だけでなく、本人の考え方や解いている様子も合わせて見ないと分からないことが多いので、一対一で確かめる意味が出てくる。
関東エリアの登録教師
11名が登録しています
うち2名は、開成中学校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。開成中の対策をご希望の場合は、学年や必要な指導内容、教師の担当状況を確かめたうえで、ご案内できる教師がいるかをお伝えします。指導実績のある教師を含め、時期や条件によってはご案内できない場合もあります。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただいた場合にうかがうのは、学年、通っている塾、直近の模試の結果、そして開成の過去問に取り組んでいればその得点の4点です。同じ年度の最低点との距離と、科目ごとの内訳を確かめて、どこから手をつけるかを一緒に整理していきましょう。教師はプロフィールを見て指名していただくこともできますし、ご相談のうえで当ネットワークからご案内することもできます。どちらの場合も初回1時間の体験授業は無料で、実際に問題を解いている様子を見ながら、失点の原因を確かめていけるのが体験授業の役割です。合わないと感じられたときは別の教師をご案内でき、そのための費用はかからない。
指導料は教師ごとに決まっていて、1時間3,500円〜7,000円です。指導した時間分と交通費を月末に教師へ直接お支払いいただく形で、入会金や教材費はかかりません。教材の販売もしていないので、お手持ちの過去問や教材を使って進めることになり、塾の宿題に課題を積み増すかどうかも含めて、優先して直すところを体験授業の場で相談していけます。詳しくは費用についてと授業開始までの流れにまとめてあるので、あわせて見ておくと安心でしょう。いまの進め方で問題ないと感じられる場合は、そうお伝えします。その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
ここまで読んで、どれが近いですか
開成中について、よくうかがうのがこの5つです。当てはまるものはありますか。
- 算数で時間が足りず、最後まで手が回らない答案から、どの形の問題で時間を使っているかを確かめます。
- 過去問の点数が年度によって大きく上下する同じ年度の最低点との距離で並べ直してみます。
- 国語の記述を、家庭でどう採点すればよいか分からない答案を見て、要素のどこが足りないかを確かめます。
- 年度ごとの最低点や科目別の平均を知りたいこの記事の第4章から第6章と、学校の公式サイトで確認できます。相談は不要です。
- どの科目で差がつくのか知りたい第6章に表を載せています(2022年度は参考値)。
学年と、直近の過去問の得点だけでもお話をうかがえます。
それでも、一度お話を聞かせてください
数字の読み方は分かったけれど、どの科目のどこから手をつければよいのかで止まっている、ということがあるかもしれません。
開成は、算数で差がつく年が多い一方で、国語で差がついた年もあります。同じ年度の最低点にどれだけ届いていて、どの科目で離されているのかが分かれば、残りの時間の使い方がはっきりしてきます。
学年と、取り組んだ過去問の年度・合計点をお知らせいただければ、同じ年度の最低点との距離を整理してお返しします。科目ごとの得点も分かれば、その内訳もあわせて確かめます。得点だけでは失点の原因までは分からないので、答案の写真があれば、それもあわせて見ます。過去問をまだ解いていない場合は、模試の結果からでもお話をうかがえます。
ただ、得点や答案の一部だけで、学力全体や合格の見通しまでは判断できません。いまの塾と家庭学習で対応できそうなら、そのまま続けるという選択もありますし、ご相談したからといって、その場で家庭教師の利用を決めていただく必要はありません。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件や地域によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
この記事で扱っていないこと
科目ごとの大まかな出題の傾向と、答案を見直すときの確認項目は、公開されている入試分析を参照して整理しましたが、年度ごとの全問題の集計や、設問ごとの採点基準、個別の問題の解説には踏み込んでいない。学校が公表しているのは点数の結果までで、出題の内容は年度によって変わるからです。平均点から分かるのは、どの科目で差がついたかという大まかな形までで、一人ひとりの得点の散らばりや、どの問題で差がついたかは分かりません。学費や寮、通学については、学校の公式サイトに案内がありますので、そちらをご覧ください。この記事でお伝えしたかったのは、公表されている数字を、どの順番でどう読めば、過去問の結果を取り違えずにすむか、という部分です。
まとめ:年度の違う最低点を、物差しにしない
この記事の要点
- 2027年度の試験は2月1日(月)、4教科310点、合格発表は2月3日(水)
- 合格者最低点は2022〜2026年度で199点から237点まで、38点動いた
- 過去問の合計点は、同じ年度の最低点と比べる。年度の違う最低点は使わない
- 科目ごとの内訳は、同じ年度の合格者平均と全体平均に並べて見る
- 最低点は過去5年、全体平均を9.8〜15.5点上回ったが、来年度の目安にはならない
- 逆算した不合格者平均との差は、2023〜2026年度の4年のうち3年で算数が最大(いずれも概算)
- 2025年度だけは国語の差(約15.5点)が算数(約13.3点)を上回った
- 社会は毎年差が最小だが、平均の差だけで合否への影響や配分は決まらない
- 科目別の復習では、国語は根拠と記述の要素、算数は条件の整理と方針、理科は知識と資料の結びつき、社会は知識の正確さと読み落としを確かめる
- 家庭で採点した点数、とくに記述は、学校の採点と一致するとは限らない
今日できること
最後に、ひとつだけお伝えしておきます。
これまでに解いた開成の過去問の点数を、年度ごとに書き出して、その横に同じ年度の合格者最低点を並べてみてください。そのうえで、科目ごとの点数を、学校の公式サイトに載っているその年度の合格者平均と全体平均と比べる。合計は最低点と、内訳は平均と。この順番で並べると、年度によって上下していた点数の意味が読み取れるようになって、どの科目から手をつければよいかも見えてくるはずです。