1. 9月に点数が取れないのは、普通のことですか
結論から言えば、普通のことです。9月の時点で合格最低点に届く受験生のほうが少数になります。過去問というのは本番の問題そのものですから、仕上がっていない時期に解いて点が取れないのは、むしろ当然のことといえます。
ただ、この一言で終わらせると、ご家庭には何も残りません。「普通」と言われても、あと何点足りていれば普通なのかが分からないからです。差が10点の家庭と66点の家庭とでは、置かれている状況がまったく違います。
この記事でお伝えしたいのは、差の大きさによって、やることが変わるという一点です。10点足りない場合と50点足りない場合では、9月にやるべきことが逆になることさえあります。
残り時間を先に押さえる
関西の中学入試は、統一解禁日が例年1月中旬に置かれます。2027年の入試は1月16日(土)が解禁日となる見込みですので、そこから逆算すると次のようになります。
| 起点 | 入試までの日数 | 週数 |
|---|---|---|
| 2026年9月1日 | 137日 | 約20週 |
| 2026年10月1日 | 107日 | 約15週 |
| 2026年11月1日 | 76日 | 約11週 |
| 2026年12月1日 | 46日 | 約7週 |
※2027年1月16日を起点として算出。日程は各校の募集要項でご確認ください。
9月から入試までが、およそ20週です。この数字を次の章で使いますので、覚えておいてください。
なお、この20週のうち9月から11月末までが13週を占めます。残り時間の3分の2が、ここに集まっている計算です。12月に入ってからの調整は7週を切りますので、動かせる幅はかなり狭くなります。9月の時点で方向を決めておきたいのは、このためです。
2. まず、差が何点かを出す
やることは1つで、過去問の得点と合格最低点との差を出すところから始まります。科目ごとに分ける必要はなく、4科目の合計で構いません。
出した差を、残りの週数で割ります。すると「週あたり何点伸ばせば届くか」という数字が出てきます。
| 合格最低点との差 | 9月から(20週) | 10月から(15週) | 11月から(11週) |
|---|---|---|---|
| −10点 | 週0.5点 | 週0.7点 | 週0.9点 |
| −30点 | 週1.5点 | 週2.0点 | 週2.7点 |
| −50点 | 週2.5点 | 週3.3点 | 週4.5点 |
| −66点 | 週3.3点 | 週4.4点 | 週6.0点 |
この表を見ていただくと、差の大きさよりも時期のほうが効いていることが分かります。同じ50点の差であっても、9月なら週2.5点、11月なら週4.5点。2か月遅れるだけで、必要な速度が倍近くになってしまいます。
この数字をどう受け取るか
週1点から2点であれば、失点の型を絞って手当てすることで届く範囲になります。ところが週4点を超えてくると、過去問演習だけでは追いつきません。この場合は、単元学習に戻る判断が必要になってきます。
もう1つ、4科目に配分して考える見方もあります。差が30点なら1科目あたり7.5点、50点なら12.5点です。1科目で12.5点というのは、大問1つ分に相当することが多い。そう考えると、埋められない数字ではないことも見えてきます。
過去問の始め方や年数の考え方については、中学受験の過去問はいつから何年分やるかで扱っています。この記事は、解いたあとの話に絞ります。
差を出す前に、確かめておきたいこと
差を計算する前に、1つだけ確認しておきたい点があります。その過去問を、本番と同じ条件で解いたかどうかです。
途中で休憩を入れた、時間を延長した、分からない問題で参考書を見た。こうした状態で出た点数は、本番の実力を示していません。差が実際より小さく出ますので、そのまま判断すると見誤ることになります。
逆に、机が散らかっていた、テレビがついていた、体調が悪かったという場合は、実力より低く出ている可能性があります。ここは差し引いて考えてください。
もう1点あります。合格最低点が何を指しているかも、確かめておきたいところです。過去問集に載っている数字が、合格者最低点なのか合格者平均点なのかで、20点から30点ほど変わることがあります。学校によっては公表していない場合もあり、その際は塾の資料や学校の入試結果ページで確認することになります。
3. 差が10点以内のとき
9月の時点で差が10点以内であれば、すでに射程圏に入っています。週0.5点という数字は、1回の過去問で1問多く正解すれば足りる速度だからです。
この場合にやること
この段階で新しい単元に手を広げる必要はありません。必要なのは、取れるはずの問題を落とさない練習のほうになります。
- 大問1と2の取りこぼしを数える(正答率の高い問題での失点)
- 計算ミスと転記ミスを、1回の過去問ごとに記録する
- 時間配分を固定して、後半まで手が届く形にする
差が10点以内の受験生で、失点の中身がケアレスミスに偏っていることは珍しくありません。その場合、学力を上げる必要はなく、同じ学力で点数だけを上げられます。
この位置にいるご家庭が最も陥りやすいのが、不安から演習量を増やしてしまうことです。量を増やすと1問あたりの丁寧さが落ち、かえってミスが増えます。9月の段階で射程圏にいるなら、量ではなく精度に寄せてください。
4. 差が30点前後のとき
差が30点前後という状態は、9月としては標準的な位置にあたります。ご相談いただく中でも、この帯がいちばん多くなっています。
必要な速度は週1.5点で、1回の過去問につき3問から4問を多く正解できるようになれば届く計算です。ただし、そのためには失点の中身を把握しておく必要があります。
この場合にやること
この帯であれば、第6章で扱う4分類を実施したいところです。30点の差には、複数の原因が混ざっているからです。ケアレスミスだけでも、解法が身についていないだけでもない状態になっています。
分類してみると、たいてい次のような内訳になります。
| 失点の型 | 30点のうちの目安 |
|---|---|
| ケアレスミス | 5〜10点 |
| 知識の抜け | 5〜10点 |
| 解法未定着 | 10〜15点 |
| 時間切れ | 5〜10点 |
※実際の内訳はお子さまによって変わります。分類の目的は、どこに時間を使うかを決めることにあります。
この内訳が出れば、打ち手が決まります。ケアレスミスと時間切れは、学力を上げなくても減らせる部分です。ここだけで10点から20点あることが分かれば、残りの差は思ったより小さくなります。
5. 差が50点を超えるとき
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分になります。
差が50点を超えている場合、過去問演習を続けても点数は動きにくくなります。週2.5点から3.3点という速度は、演習の精度を上げるだけでは届かない水準だからです。
この場合に必要なのは、過去問を一旦止めて、単元学習に戻る判断です。「過去問の点数は、過去問では上がらない」という状態に入っています。
なぜ止めるのか
理由は、2つあります。
1つは、過去問が有限だという点です。手元にある年数は決まっていますし、一度解いた年度は二度と初見に戻りません。仕上がっていない状態で消費すると、12月に測るための材料がなくなります。
もう1つは、本人への影響です。取れない過去問を繰り返し解くと、志望校の問題そのものへの苦手意識が育ちます。この時期にそれを作ってしまうと、直前期に響きます。
止めたあとに何をするか
単元学習に戻る場合、範囲を絞る必要があります。残り20週で全単元をやり直すことはできません。
- 志望校の過去問5年分で、出題された単元を数える(所要1時間)
- 頻出の上位5単元を特定する
- その5単元だけ、5年生の教材に戻って解き直す
- 4週間後に、別の年度の過去問で測り直す
4週間という期間には理由があります。短すぎると効果が出る前に判断することになり、長すぎると過去問演習の時間が足りなくなります。9月に止めた場合、10月には戻れる計算です。
戻った結果、差が縮まらなかったら
4週間やって差が変わらない場合、志望校の水準と現在地に開きがあると考えられます。ただし、この判断は10月末まで待ってください。理由は第11章で扱います。
戻る単元を、どう選ぶか
頻出上位5単元を絞る作業について、もう少し具体的に書いておきます。所要は1時間ほどです。
志望校の過去問を5年分並べて、算数であれば大問ごとに何の単元が出ているかを書き出していきます。速さ、図形の移動、場合の数、規則性、水量変化といった形で、単元名を紙に並べる作業になります。5年分すべてで出ている単元があれば、それが最優先です。
ここで注意したいのが、単元名が同じでも問われ方が違う場合があるという点です。同じ「速さ」でも、ダイヤグラムを読ませる学校と、旅人算の計算を求める学校とでは、必要な準備が変わってきます。5年分を並べたときに、その学校特有の出題の形が見えてくるはずです。
絞り込んだ5単元について、5年生の教材まで戻ります。6年生の教材から始めると、そこでつまずいた場合にさらに戻ることになり、時間が読めなくなるためです。5年生の基本問題が解けることを確認してから、6年生の応用に進む。この順序であれば、4週間という期間の見通しが立ちます。
6. 失点を4つに分ける
ここからは、失点の中身のほうを見ていきます。分類は、次の4つです。
| 型 | 状態 | 打ち手 |
|---|---|---|
| ①ケアレスミス | 解き方は合っているが、計算や転記で失点 | 記録して、頻度の高いものから潰す |
| ②知識の抜け | 知っていれば解けた(用語、公式、年号) | 該当分野の一問一答で埋める |
| ③解法未定着 | 解説を読めば分かるが、自力では出てこない | 解き直しと、同単元の類題 |
| ④時間切れ | 時間があれば解けた | 処理速度と、解く順番の設計 |
分類の手順
採点が終わった答案を前にして、間違えた問題を1問ずつ見ていきます。所要は、1年分で30分ほどになります。
- 答えは合っていたか——合っていて途中でミスしたなら①
- 知っていれば解けたか——用語や公式を知らなかったなら②
- 解説を読んで分かったか——読めば分かるなら③
- 手をつけていたか——白紙で、時間があれば解けたなら④
この作業は、お子さま本人にやらせるほうが効きます。保護者が分類してしまうと、本人の中に「自分がどこで落としているか」が残らないためです。本人が判断に迷った問題だけ、一緒に見る形で足ります。
分類の目的は、点数を上げることではなく時間の使い先を決めることにあります。4つのうちどれが多いかで、次の1週間にやることが変わります。
4つが混ざっているときの順序
実際のところ、4つとも出てくることがほとんどです。その場合の着手順は、次のように決まっています。
- ①ケアレスミス——学力を上げずに減らせるため、最も費用対効果が高い
- ④時間切れ——解く順番を変えるだけで動くことがある
- ②知識の抜け——分野を絞れば短期間で埋まる
- ③解法未定着——時間がかかるため、最後に腰を据えて取り組む
③を最初に手をつけたくなりますが、これは最も時間がかかる型です。先に①②④を処理すると、残りの差が小さくなり、③に使える時間も見通しが立ちます。
7. 「解けなかった」を、さらに2つに分ける
4つの型のうち、実務でいちばん混同されるのが③解法未定着と④時間切れです。どちらも答案の上では「解けていない」という同じ結果になります。
ところが打ち手のほうは正反対になります。③は解法を増やす方向、④は処理を速める方向。ここを取り違えたまま進むと、数か月を無駄にすることになります。
見分け方は、答案に残ります
過去問の答案を、次の観点から見ていきます。
| 見るところ | ③解法未定着 | ④時間切れ |
|---|---|---|
| 白紙の位置 | 問題番号がばらける | 後半にまとまっている |
| 途中式 | 書き始めて止まっている | そもそも手をつけていない |
| 消しゴムの跡 | 多い(方針を変えている) | 少ない |
| 前半の出来 | 前半にも失点がある | 前半は取れている |
いちばん分かりやすいのが1行目です。白紙が後半に集中しているなら、時間切れの可能性が高くなります。逆に前半にも白紙が混じっているなら、解法の問題です。
時間を計り直すと、はっきりする
それでも判断がつかない場合には、確かめる方法があります。時間を計らずに、同じ年度をもう一度解かせてみることです。
時間制限を外して解けるなら、④時間切れです。時間があっても解けないなら、③解法未定着になります。この確認には30分から1時間かかりますが、ここを間違えたまま数か月進むより、はるかに安く済みます。
それぞれの打ち手
③解法未定着の場合、必要なのは解き直しです。間違えた問題を解説を見ずにもう一度解き、それでも解けなければ解説を読み、閉じてから白紙にもう一度書く。ここまでやって初めて身についたといえます。同じ単元の類題を塾教材から1問か2問足すと、定着がさらに強くなります。
④時間切れの場合、解法を追加しても意味がありません。やるのは次の2つです。
- 解く順番を決める——解ける問題から手をつけ、後回しにするものを先に決める
- 前半の処理を短縮する——大問1と2にかける時間を計り、目標を設定する
後者については、実際に測ってみると分かります。前半で予定より5分超えているなら、その5分がそのまま後半の1問に相当するからです。計算の手数を減らす工夫で、この5分は縮まります。
8. 型ごとに、週何時間を使うか
分類ができたら、次は時間配分を決めていきます。9月の平日に家庭学習へ回せるのは、塾のある日で1時間ほど、塾のない日で4時間台というのが標準的な形です。
| 型 | 週あたりの目安 | やること |
|---|---|---|
| ①ケアレスミス | 15分×5日 | 計算と一行問題。速度より正確さ |
| ②知識の抜け | 週1時間 | 失点した分野の一問一答 |
| ③解法未定着 | 週3〜4時間 | 解き直しと類題 |
| ④時間切れ | 週30分 | 前半の時間を計る練習 |
合計すると週6時間前後になります。これに過去問を解く時間(1年分で3〜4時間)が加わりますので、週10時間が上限の目安です。それ以上を組むと、塾の課題が回らなくなります。
解く時間と直す時間の比率
過去問演習で最も多い失敗は、解いて点数を見て終わりにしてしまうことです。これでは実力測定であって、学習になっていません。
時間配分でいえば、解く3割・直す6割・記録1割くらいが目安になります。1年分を解くのに1時間半かかるなら、直しに3時間ということです。
「10年分やった」という事実そのものには、価値がありません。価値があるのは、解き直した問題の数のほうです。
時間が足りている場合の配分
週10時間が上限と書きましたが、塾の課題が少ない週や、学校行事のない週には余裕が出ることもあります。その場合の使い先も決めておきたいところです。
優先されるのは、③解法未定着に充てる時間の上積みです。ここは積み上げに時間がかかる型ですので、余裕のある週にまとめて進めておくと後が楽になります。
逆に、①ケアレスミス対策の時間を増やすのは勧めません。計算と一行問題は毎日15分という形で続けることに意味があり、まとめて2時間やっても効果が上がるものではないからです。頻度が効く型と、量が効く型を分けて考えてください。
9. 2回目・3回目で点が動かないとき
同じ学校の過去問を2年分、3年分と解いても点数が変わらない。この状態になったときの原因は、次のどれかになります。
| 原因 | 確かめ方 |
|---|---|
| 解き直しをしていない | 間違えた問題を、もう一度解けるか試す |
| 解き直しが「解説を読む」で終わっている | 白紙に自力で書けるか確かめる |
| 失点の型が特定できていない | 4分類をやっているか |
| 差が50点を超えている | 第5章の判断へ戻る |
いちばん多いのが2番目になります。解説を読んで「分かった」と思った状態は、まだ解けるようになっていません。解説を閉じてから白紙に書けるかどうかで確かめられます。
新しい年度に進む前に
点が動かないまま次の年度へ進むのは、最も避けたい形です。新しい問題を解くほうが勉強した気になりますが、手元の弾を消費しているだけになります。
この場合、いったん新しい年度に進むのを止めて、すでに解いた年度の間違いをすべて解き直すほうが確かです。それから次に進んだほうが、結果として速く進みます。
年度を変えるか、同じ年度を繰り返すか
点が動かないとき、同じ年度をもう一度解かせるべきか、別の年度に進むべきかという判断があります。
同じ年度を繰り返す場合、答えを覚えてしまうという問題が出てきます。2週間以上あけないと、記憶で解いてしまい実力が測れません。一方で別の年度に進むと、手元の弾が減っていきます。
現実的な形としては、解き直しが終わるまで新しい年度に進まないという運用になります。間違えた問題を白紙に自力で書けるようになってから、次の年度へ。この順序であれば、年度を消費しながら実力も上がっていきます。
なお、直近3年分は12月まで残しておいてください。本番に最も近い傾向を持つ年度ですので、仕上がった状態で測るために取っておく価値があります。
10. 科目によって、出やすい型が違う
4つの型は、科目ごとに出方が変わってきます。分類するときの参考になるはずです。
| 科目 | 出やすい型 | 見るところ |
|---|---|---|
| 算数 | ③解法未定着・④時間切れ | 大問1と2の取りこぼし、後半の白紙 |
| 国語 | ④時間切れ・③解法未定着 | 記述の空欄、読み返しの回数 |
| 理科 | ②知識の抜け・③解法未定着 | 分野別の得点(計算分野と暗記分野を分ける) |
| 社会 | ②知識の抜け | 失点した分野の偏り |
理科については、分野別に集計しておきたいところです。「理科ができない」ではなく「電流と力学で落としている」まで解像度を上げると、対策は半分に絞れます。計算分野の失点は算数と同じ構造ですので、解法の型で対処できます。
国語で記述が空欄になっている場合は、時間切れか、書き方が分からないかのどちらかになります。これも時間を外して書かせてみれば、はっきりします。
併願校の過去問は、いつ入れるか
第一志望の点数が取れないと、併願校まで手が回らなくなります。ただ、ここを後回しにしすぎると別の問題が出てきます。
併願校は第一志望より易しいことが多く、そのため「実力があるから解ける」と考えられがちです。ところが実際には、形式が違えば時間配分も変わります。第一志望より易しいはずの学校で時間切れを起こして不合格、という事故は実際に起こります。
目安としては、11月に入ったら併願校を3年分だけ入れる形が現実的です。目的は点数を取ることではなく、時間配分を確かめることにあります。「易しいから解ける」ではなく「易しい問題で取りこぼさない練習」として使うと、当日の事故を防げます。
11. 志望校を変える判断は、まだ先です
9月の過去問で点が取れないと、志望校を下げるべきかという話が出てきます。ただしこの判断は、9月にするものではありません。
理由は、2つあります。
1つは、夏の成果が数字に出てくるまでに時間差があるという点です。反映は早くても9月の後半以降になります。9月上旬の1回で判断すると、積み上げたものが出る前に決めてしまうことになります。
もう1つは、1回の得点では判断できないという点です。過去問には年度ごとの難易差があり、同じ実力でも点数は上下します。見るべきは1回の点数ではなく、差の推移です。
| 時期 | 合格最低点との差 | 読み方 |
|---|---|---|
| 9月 | −30点 | スタート地点。ここで判断しない |
| 10月 | −20点 | 縮まっていれば軌道に乗っている |
| 11月 | −10点 | 射程圏。取りこぼしの削減に集中 |
| 12月 | ±0前後 | 本番の振れ幅の中に入った |
関西の統一解禁日が1月中旬にあるため、受験校を組み替える実質的な期限は11月中になります。9月から11月末までの13週で、差の推移を見てから決めれば間に合います。
判定の読み方については、模試でD判定・E判定が出たらで詳しく扱っています。成績そのものの立て直しは中学受験6年生で成績が下がる3つの原因にまとめました。
点数を見たときの、最初の一言
差の話とは別に、もう1つお伝えしておきたいことがあります。過去問の点数が返ってきたときの、最初の言葉です。
9月の過去問は、本人にとっても衝撃があります。塾の模試とは違い、実際に受ける学校の問題で、しかも合格最低点という明確な基準がある。そこに届かなかったという事実は、数字として突きつけられます。
ここで「何点やった?」から入ってしまうと、点数そのものが評価の対象になります。代わりに「どこが解けた?」から始めるほうが届きます。取れた問題を先に確認しておくと、そのあとの失点の話も受け入れられやすくなるからです。
この記事で扱ってきた4分類も、本人と一緒にやる作業です。責める材料ではなく、次にやることを決めるための道具として扱えるかどうか。ここで9月以降の過去問への向き合い方が変わってきます。
12. この切り分けを、誰と一緒にやるか
ここまでの手順は、ご家庭でも進められます。差を出し、週あたりの点数に変換し、失点を4つに分ける。この順序で方向が見えるなら、それがいちばん早い形です。
難しくなるのは、③解法未定着と④時間切れの見分けです。第7章で答案の見方を示しましたが、判断に迷う問題はどうしても出てきます。とくに算数では、方針は合っていたのに途中で詰まった場合など、どちらとも取れる答案が残ります。
もう1つが、差が50点を超えているときに、どの単元まで戻るかという判断です。志望校の出題から頻出単元を絞る作業ですが、同じ「速さ」でも学校によって問われ方が違います。出題の形まで見ないと、戻る範囲を決められません。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただく場合にうかがうのは、次の点です。志望校、過去問の得点と合格最低点、解いた答案、そして直近の模試の結果。ここから、差が埋まる範囲なのか、単元学習に戻る段階なのかを切り分けます。
いまの進め方で届くと判断される場合は、そうお伝えします。その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
ここまで読んで、どれが近いですか
過去問についていただくご相談は、次の5つに分かれます。近いものがあれば、そのまま一言お寄せください。
- ③解法未定着と④時間切れの見分けがつかない答案を拝見すれば、白紙の位置と途中式の残り方から切り分けられます。
- 差が50点あるが、どの単元まで戻ればよいか分からない志望校の出題から頻出単元を絞ります。過去問と得点があればお返しできます。
- 解き直しをしているのに点数が動かない解き直しの深さが原因のことがあります。やり方を具体的にお伝えします。
- 合格最低点との差を、どう読めばよいか知りたいこの記事の第2章に週あたりの換算表があります。相談は不要です。
- 失点を4つに分ける手順を知りたい第6章に手順を書いています。まずはご家庭で試してみてください。
「点数が取れなくて不安」という段階でも構いません。得点と志望校だけでも、そこからお話をうかがえます。
それでも、一度お話を聞かせてください
分類をしてみたけれど、どこに時間を使えばよいか決めきれなかったかもしれません。あるいは、差が思ったより大きくて、手が止まってしまったかもしれません。
この時期にご家庭だけで抱えていると、判断がつかないまま過去問だけが減っていきます。手元にある年数は決まっていますので、そこがいちばん惜しいところです。
志望校と、過去問の得点を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。いまの進め方で届くと判断される場合は、そうお伝えします。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
次のものがあると切り分けが速くなりますが、写真で撮ったもので十分です。
- 過去問を解いた答案(採点済みのもの。1年分で結構です)
- 志望校と、その合格最低点
- 直近の模試の結果(設問別の正答率が載っているページ)
- 1週間の学習時間の配分
とくに1つ目が判断に効きます。答案があれば、白紙の位置と途中式の残り方から、解法の問題なのか時間の問題なのかが見えるからです。点数だけでは、ここが分かりません。
まとめ:焦らないための、具体的な数字
この記事の要点
- 9月に合格最低点へ届かないのは普通だが、差の大きさで対応が変わる
- 差を残り週数で割ると、週あたり何点必要かが出る(9月なら約20週)
- 差10点以内は射程圏。量を増やさず、取りこぼしを減らす
- 差30点前後は標準的な位置。4分類で内訳を出す
- 差50点超は、過去問を一旦止めて単元学習に戻る判断が要る
- 失点は①ケアレスミス②知識の抜け③解法未定着④時間切れの4つに分ける
- 着手順は①→④→②→③。③は最も時間がかかるため最後
- ③と④の見分けは、白紙の位置で分かる(後半に集中していれば時間切れ)
- 時間を外して解かせると、③か④かがはっきりする
- 時間配分は、解く3割・直す6割・記録1割
- 志望校を変える判断は11月中まで待てる。9月の1回では決めない
今日やること
最後に、もう1つだけお伝えしておきます。
この記事を読んで最初にやっていただきたいのは、差を週あたりの点数に変換することです。合格最低点との差を、入試までの週数で割る。作業としては、それだけになります。
週1点であれば、1回の過去問で2問多く取れば届く計算です。週4点となると、演習の精度を上げるだけでは追いつきません。この数字が出た時点で、次にやることが決まります。
電卓があれば30秒で出ます。紙に書き出すところから、9月の設計が始まります。