1. 「決まらない」の中身を分ける
志望校が決まらないというご相談をうかがっていると、その中身は決して一つではありません。同じ言葉で表現されていても、実際に起きていることはご家庭ごとに違っています。
そこでまず、いまどの状態にあるのかを切り分けてみてください。
| 状態 | 実際に起きていること | この記事の該当章 |
|---|---|---|
| 学力がまだ動いている | 偏差値が上下して、基準が定まらない | 第4章 |
| 親子で意見が違う | 本人が行きたい学校と、親が通わせたい学校が別 | 第5章 |
| 候補が多すぎる | 10校以上あって、比べる軸が定まらない | 第6章 |
| 決めるのが怖い | 決めたら後戻りできない気がしている | 第7章 |
| 基準が分からない | 何を見て選べばいいのかが分からない | 第8章 |
複数が重なっていることもあります。ただ、どれが最も強く効いているかを特定できれば、次にやることが変わってきます。逆に、どの理由で止まっているのかが分からないままだと、説明会に何校行っても決まらないという状態が続きます。
この記事でお伝えしたいのは、決まらないまま進める方法があるということです。すべてを今日決める必要はありません。決めなくていいことと、決めないといけないことを分ければ、動き出せます。
情報を集めれば決まる、とは限らない
志望校選びの記事を検索すると、学校説明会や文化祭への参加を勧めるものが多く見つかります。これは正しい助言です。実際に見なければ分からないことは多くあります。
ただ、説明会に何校も行ったのに決まらない、というご家庭もあります。この場合、足りないのは情報ではありません。集めた情報を比べる軸が定まっていないか、あるいは決めること自体に別の障害があります。
説明会や文化祭の見方については、中学受験の学校説明会・文化祭の見方で扱っています。この記事では、その先の「見たあとに決まらない」という状態を扱います。
2. いま決めなくていいこと
9月の時点では、実は決めなくてよいことがあります。ここを先に外しておくと、考える範囲がぐっと狭まります。
| 項目 | いま決める必要 | 理由 |
|---|---|---|
| 受験する学校のすべて | 不要 | 出願は12月中旬から。それまでに決まればよい |
| 併願校の順番 | 不要 | 11月の成績を見てから組み替えられる |
| 第一志望を1校に絞ること | 不要 | 過去問は2校まで並行できる |
| 本人の意思を最終確定させること | 不要 | 秋を通じて変わることがある |
とくに3つ目は誤解されやすいところです。過去問を始めるのに、第一志望を1校に絞る必要はありません。2校であれば、並行して進められます。
1校に絞ると、かえって動けなくなる
1校に絞ろうとすると、その1校を選ぶという判断そのものが重くなります。選んだ瞬間に他の可能性が消えるように感じられるため、決断が先延ばしになりがちです。
ところが実際には、受験するのは1校ではありません。関西の統一解禁日以降、複数の学校を受けるのが一般的です。最初から「候補群」として考えておくほうが、実態に合っています。
志望校を絞りすぎることの弊害については、中学受験は6年生からでも間に合うのかでも触れています。
ただし、決めないことにもコストがある
いま決めなくていいことがある一方で、決めないまま時間が過ぎることの負担もあります。ここは正直に書いておきます。
1つは、過去問演習の開始が遅れるという点です。対象校が決まらなければ過去問は買えませんし、買えなければ演習も始まりません。9月に始めるはずだったものが10月にずれると、それだけ演習できる年数が減ることになります。
もう1つは、本人の集中の問題です。目標が定まらない状態が続くと、何のために勉強しているのかが見えにくくなります。とくに秋以降は負荷が上がる時期ですので、ここで軸がないと踏ん張りが利きません。
ですから「決めなくていい」というのは、いつまでも保留してよいという意味ではありません。9月にやるべきことは決めたうえで、残りを11月まで持ち越すという整理になります。
3. いつまでに、何を決めるのか
ここが、この記事で最も重要な部分になります。決める期限そのものは、関西の入試日程から逆算できるからです。
2027年度入試は、統一解禁日が1月16日(土)となる見込みです。ここから逆算すると、次のようになります。
| 時期 | 入試まで | 決めておきたいこと |
|---|---|---|
| 9月 | 約20週 | 過去問を始める候補を2校まで |
| 10月 | 約15週 | 候補校を5校程度に絞る |
| 11月 | 約11週 | 受験校の確定 |
| 12月中旬 | 約5週 | 出願開始(学校により異なる) |
※2027年1月16日を起点として算出。出願開始日は学校ごとに異なりますので、必ず各校の募集要項でご確認ください。
実質的な期限は11月末
出願は12月中旬から始まります。関西の最難関校で見ると、大阪星光学院が12月14日、神戸女学院が12月22日という日程になっています。
つまり受験校を確定させる実質的な期限は、11月末になります。8月31日の時点から数えると、13週の猶予があることになります。
13週というのは、決して短くありません。9月に決まっていなくても、間に合います。ただし、この期間を「迷い続ける時間」に使うと、材料が増えないまま11月を迎えることになります。
9月に決めておきたいのは、過去問の対象だけ
9月から10月にかけて、過去問演習が始まります。ここで必要になるのは「どの学校の過去問を解くか」だけです。受験校のすべてを決める必要はありません。
候補が5校あるなら、そのうち出題の傾向が近い2校を選んで過去問を始めます。残りの3校は、11月までに判断すれば足ります。
過去問の始め方については、中学受験の過去問はいつから何年分やるかで詳しく扱っています。
4. 理由1:学力がまだ動いている
決まらない理由として最も多いのが、これです。偏差値が上下していて、どのレベルの学校を基準にすればよいのか分からないという状態になります。
9月から11月にかけて、模試の偏差値は下がりやすくなります。理由は、受験を見送る層が母集団から抜けていくためです。同じ得点でも、偏差値は下がる方向に動きます。
この現象を知らないまま数字を見ていると、「まだ下がるかもしれない」という不安から、志望校を決められなくなります。
秋以降は、過去問の得点で判断する
この場合の対処は、はっきりしています。偏差値ではなく、過去問の得点のほうを基準にすることです。
模試の偏差値は周りとの比較で決まる数字ですが、過去問の得点はそれ自体で意味を持つ数字です。合格最低点との差が何点かは、母集団の変化に影響されません。
| 模試の偏差値 | 過去問の得点 | |
|---|---|---|
| 性質 | 相対値(周りとの比較) | 実数(合格最低点との差) |
| 秋の動き | 母集団の変化で下がりやすい | 実力どおりに動く |
| 判断材料として | 秋以降は精度が落ちる | 秋以降はこちらが確か |
判定の読み方については、中学受験の模試でD判定・E判定が出たらで詳しく扱っています。
やること:候補校の過去問を1年分解く
学力が定まらないから決められない、という状態にあるなら、順序が逆になっています。学力が定まるのを待つのではなく、候補校の過去問を解いて、その学校との距離を測る。この順序であれば、9月の時点でも判断材料が手に入ります。
所要は1年分で3〜4時間ほどです。これを2校でやれば、どちらが射程圏に近いかが分かります。偏差値の上下を眺めているより、この3時間のほうが確かな材料になります。
成績が上がった場合はどうするか
秋に成績が伸びて、候補より上の学校が視野に入ってくることもあります。この場合の判断も書いておきます。
結論としては、10月末までの上昇であれば、上の帯を候補に加える価値があります。そこから過去問を解いて距離を測る時間が、まだ残っているためです。
ところが11月に入ってからの上昇の場合、話が変わってきます。その学校の過去問をほとんど解かないまま本番を迎えることになるからです。出題の傾向を知らずに受験するのは、実力があっても不利になります。
この場合、上の帯を第一志望に据えるのではなく、併願の1つとして加えるという形が現実的です。すでに準備してきた学校を軸に置いたまま、可能性のある学校を1つ足す。この形なら、これまでの積み上げを崩さずに済みます。
5. 理由2:親子で見ているものが違う
本人が行きたい学校と、保護者が通わせたい学校とが別だというケースです。この場合、話し合っても平行線のまま終わってしまうことがあります。
理由は、見ているものが違うからです。
| 立場 | 見ているもの |
|---|---|
| お子さま | 校舎の雰囲気、制服、部活、文化祭で会った在校生、友達がどこを受けるか |
| 保護者 | 大学進学実績、通学時間、学費、校風、6年後の姿 |
どちらも間違っていません。ただ、比べているものが違うため、同じ土俵で議論できていない状態になります。
やること:軸を分けて、それぞれで比べる
この場合、次のように進めると整理できます。
- 保護者側の条件で、通える学校を絞る——通学時間、学費、日程
- 残った学校の中から、本人に順位をつけてもらう
- その順位を尊重する
順序が大切です。保護者が先に条件で絞り、その中から本人が選ぶ。この形であれば、本人には「自分で選んだ」という感覚が残りますし、保護者の条件も満たされます。
本人が選んだという感覚は、秋以降の学習に効いてきます。成績が伸び悩んだとき、自分で選んだ学校であれば踏みとどまれることがあります。親に決められた学校だと、そこで気持ちが切れやすくなります。
本人が「どこでもいい」と言う場合
意見が違うのではなく、本人に希望がないという場合もあります。これは、まだ判断材料を持っていないだけのことが多いところです。
この場合、選択肢を2つに絞って聞いてみてください。「A校とB校、どっちがいい?」という形なら、答えやすくなります。10校の中から選べと言われても、小学6年生には難しい作業です。
本人の希望を、どこまで通すか
本人が強く希望する学校が、明らかに実力と離れている場合もあります。この扱いは難しいところです。
結論から言えば、9月の段階で本人の希望を取り下げさせる必要はありません。秋以降に成績が動くこともありますし、何より本人の意欲を削ぐことのほうが損失として大きくなります。
ただし、その学校だけを候補にするのは避けたいところです。挑戦校として残したうえで、実力相応校を別に用意する。この形であれば、本人の気持ちを尊重しながら、現実的な準備も進められます。
実力相応校を用意する際、本人に「滑り止め」という言い方をしないほうがよいところです。その学校を第一志望にしているご家庭もありますし、実際に通うことになる可能性もあります。「もう1つの候補」という位置づけで説明すると、本人の受け止め方が変わってきます。
6. 理由3:候補が多すぎて比べられない
候補が10校以上あって、どれも良く見えるという状態です。情報を集めれば集めるほど、かえって判断が難しくなっていきます。
この場合に必要なのは、情報を増やすことではなく、比べる軸を減らすことです。
やること:条件で機械的に外す
好みで選ぼうとすると決まりませんので、先に条件で外せる学校を外していきます。
| 条件 | 基準の例 | 効果 |
|---|---|---|
| 通学時間 | 片道60分を超える学校を外す | 6年間続く負担で判断できる |
| 入試日程 | 第一志望と同日の学校を外す | 物理的に受験できない |
| 受験科目 | 4科必須で理社に穴があるなら外す | 準備が間に合うかで判断 |
| 学費 | 家庭の予算を超える学校を外す | 最初に決めておく |
この4つで機械的に外すと、多くの場合、候補は半分以下になります。残ったものだけを、好みで比べればよいことになります。
通学時間は、実際に測る
通学時間は、地図アプリの数字だけで判断しないでください。実際に、平日の朝の時間帯に往復してみることを勧めます。
乗り換えの階段、混雑、待ち時間。これらは実際に行かないと分かりません。6年間続くことですので、ここで無理があると分かれば、その時点で外せます。
所要は往復で2〜3時間ほどです。9月か10月のうちに、候補上位の2校でやっておくと判断が速くなります。ここで無理があると分かれば、その学校は候補から外せますので、迷う対象が1つ減ることになります。
7. 理由4:決めることが怖い
ここは、あまり語られることのない理由です。ただ実際には、これが最も大きく効いているご家庭もあります。
決めたら、そこに向かって走るしかなくなる。届かなかったときのことを考えると、決められない。この感覚は、保護者にもお子さまにも起こります。
決めても、変えられます
まず事実として、志望校は変更できます。11月末まで受験校の組み替えは可能ですので、9月に決めたことが、そのまま最後まで固定されるわけではありません。
この記事の第3章で示したとおり、8月31日から11月末まで13週あります。その間に成績が動けば、組み替えれば済みます。
決めることの目的は、過去問を始めるためです。一生の進路を今日確定させる作業ではありません。「9月から10月にかけて、この学校の過去問を解く」という、それだけの決定です。
「仮決め」という言葉を使う
本人に伝えるときも、「志望校を決めよう」ではなく「9月に解く過去問を決めよう」という言い方にすると、心理的な負担が下がります。
実際にやることは同じです。ただ、言葉の重さが違います。決定を小さく分けると、動き出しやすくなります。
友達がどこを受けるか、という要素
本人が「◯◯ちゃんと同じ学校に行きたい」と言うことがあります。この扱いに悩まれるご家庭も多いところです。
これは、頭ごなしに否定しないほうがよい要素です。小学6年生にとって、友達関係は日常のかなりの部分を占めています。そこを軽く扱われると、受験そのものへの気持ちが冷めることがあります。
ただし、志望校を決める軸としては弱いのも事実です。同じ学校を受けたとしても、結果が同じになるとは限りませんし、入学後にクラスが分かれることもあります。ここは事実として、落ち着いて伝えておきたいところです。
現実的な扱い方としては、候補に残しておいたうえで、他の学校も見せるという形になります。説明会や文化祭で別の学校を見るうちに、本人の関心が動くこともあります。9月の段階で結論を出す必要はありません。
8. 理由5:何を基準にすればいいか分からない
最後に、そもそも判断の軸を持っていないという場合です。中学受験が初めてのご家庭では、これがよく起こります。
基準は、大きく分けて3つです。
| 軸 | 見るもの | いつ判断できるか |
|---|---|---|
| 届くかどうか | 過去問の得点と合格最低点の差 | 9月以降(過去問を解けば) |
| 通えるかどうか | 通学時間、学費、日程 | いますぐ |
| 合うかどうか | 校風、本人の気質、在校生の様子 | 説明会・文化祭を見てから |
このうち、「通えるかどうか」は今日判断できます。通学時間と学費は調べれば分かりますし、日程は募集要項に書いてあります。ここから始めると、候補が絞れます。
3つの軸に優先順位をつける
3つとも満たす学校が見つかれば理想ですが、実際には難しいところです。どれを優先するかを、家庭として決めておいてください。
たとえば「通学時間は60分まで」と決めれば、それを超える学校は、どれだけ合っていても候補から外れます。この線を先に引いておくと、あとで迷いません。
逆に線を引かないまま進むと、11月になっても「あの学校も良かったかもしれない」という考えが残り続けます。
兄姉がいる場合の注意点
上のお子さまが同じ受験を経験されているご家庭では、その学校が自然に候補に入ってくることがあります。通学経路も分かっていますし、校風も把握できているためです。
ただし、兄姉と本人とでは、得意な科目も性格も違います。上の子に合っていた学校が、下の子にも合うとは限りません。出題の傾向が本人の得意な形と噛み合うかどうかは、改めて確かめておきたいところです。
また、本人が「お兄ちゃんと同じ学校」と言っている場合、それが本当の希望なのか、そう言えば親が喜ぶと思っているのかを、一度確かめておく価値があります。この時期に本音を聞いておくと、秋以降の踏ん張りが変わってきます。
9. 「仮決め」という進め方
ここまでの話をまとめると、9月にやることは1つに絞られます。過去問を解く学校を、2校決めることです。
これを「志望校の決定」と呼ぶと重くなりますので、「仮決め」と呼ぶことにします。実務上、この2つに違いはありません。
仮決めの手順
- 条件で外す——通学時間、日程、受験科目、学費(第6章の表)
- 残った中から、レベルの違う2校を選ぶ——挑戦校1つ、実力相応校1つ
- その2校の過去問を買う
- 9月中に、それぞれ1年分を解く
- 合格最低点との差を出す
2校のレベルを変えておくのが要点になります。同じレベルの2校を選んでしまうと、比べても差が見えないためです。挑戦校と実力相応校を並べることで、いまの位置がはっきりしてきます。
この5ステップで何が分かるか
差が出れば、次の判断ができます。
| 結果 | 読み方 | 10月にやること |
|---|---|---|
| 挑戦校が−30点以内 | 射程圏に入っている | 挑戦校を第一志望として進める |
| 挑戦校が−50点以上 | 現時点では距離がある | 実力相応校を軸に、挑戦校は保留 |
| 実力相応校も−30点以上 | 候補レベルの見直しが要る | 1つ下の帯の学校を追加で調べる |
過去問の点数が取れないときの詳しい切り分けは、9月の過去問で点数が取れないときで扱っています。
この方法の利点は、好みや不安ではなく、数字で判断できることです。「なんとなく届きそう」ではなく「あと30点」という形になれば、10月以降の動きが決まります。
2校をどう選ぶか
挑戦校と実力相応校を1校ずつ、と書きました。ではその2校を、どの帯から選べばよいのか。目安を示しておきます。
| 区分 | 目安 | 役割 |
|---|---|---|
| 挑戦校 | いまの偏差値より上の帯 | 届くかどうかを測る |
| 実力相応校 | いまの偏差値と同じ帯 | 準備の基準にする |
ここで気をつけたいのが、2校の出題傾向を近いものにしておくという点です。記述中心の学校と選択中心の学校を並べると、対策が分散してしまいます。同じ系統の学校を選んでおけば、演習した内容が両方に効きます。
出題の系統は、過去問を眺めれば分かります。解かなくても、問題のページをめくって記述の量と選択肢の割合を見るだけで判断できます。所要は1校あたり10分ほどです。
10. 9月にやること、10月にやること
ここで、月ごとの進め方をあらためて整理しておきます。
| 時期 | やること | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 9月上旬 | 条件で候補を絞る(通学時間・日程・科目・学費) | 1時間 |
| 9月中旬 | 2校の過去問を1年分ずつ解く | 各3〜4時間 |
| 9月下旬 | 合格最低点との差を出す | 30分 |
| 10月 | 説明会・文化祭に行く。候補を5校程度に | 学校による |
| 11月 | 受験校を確定させる | — |
説明会は10月でも間に合う
多くの学校では、説明会が9月から11月にかけて実施されます。ですから9月に行けなかったとしても、10月以降の日程が残っています。
ただし人気校では予約が必要な場合があり、受付開始からすぐに埋まることもあります。候補が絞れた段階で、まず日程だけ確認しておいてください。
説明会で何を見るかについては、中学受験の学校説明会・文化祭の見方にまとめました。
通学路の下見は、9月か10月に
第6章で書いたとおり、通学時間は実際に測っておきたいところです。候補上位の2校について、平日の朝に往復してみてください。
11月以降になると、この時間を取るのが難しくなります。過去問演習が本格化し、模試も続きます。9月か10月のうちに済ませておくほうが安全です。
塾に相談する場合
志望校について、塾に相談されることもあると思います。多くの受験生を見てきた経験からの助言には、当然ながら重みがあります。
ただし1点、知っておいていただきたいことがあります。塾は、その塾の合格実績という観点も持っています。これは悪いことではなく、組織として当然のことです。ただ、ご家庭の判断軸と完全に一致するとは限りません。
たとえば「安全に受かる学校を」という助言と、「挑戦させたい」というご家庭の希望が食い違うことがあります。どちらが正しいという話ではなく、立場によって最適解が変わるという構造です。
ですから塾の助言は、判断材料の1つとして受け取るのが現実的です。そのうえで、通学時間や学費といったご家庭固有の条件は、ご家庭でしか判断できません。ここを塾任せにしないことが大切になります。
11. この整理を、誰と一緒にやるか
ここまでの手順は、ご家庭でも進められます。条件で絞り、2校の過去問を解き、差を出す。この順序で方向が見えるなら、それがいちばん早い形です。
難しくなるのは、候補として挙げる学校を、どの帯から選ぶかという部分です。
いまの成績から、どのレベルの学校を候補にすればよいか。ここを外すと、5ステップを踏んでも「どちらも遠い」という結果になり、9月の時間を使ったのに材料が増えません。模試の結果と、これまでの成績の推移を見ないと判断がつきません。
もう1つが、出題の相性です。同じ偏差値帯でも、学校によって出題の傾向は違います。記述が中心の学校、計算量が多い学校、思考力を問う学校。本人の得意な形と噛み合うかどうかで、同じ学力でも得点が変わります。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただく場合にうかがうのは、次の点です。直近の模試の結果、いま候補に挙がっている学校、通学の条件、そして本人の希望。ここから、9月に過去問を解く2校を一緒に決めます。
すでに候補が定まっていて、そのまま進めてよいと判断される場合は、そうお伝えします。その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
ここまで読んで、どれが近いですか
志望校が決まらないというご相談は、この5つに整理できます。どれが近いでしょうか。
- いまの成績で、どの帯の学校を候補にすればいいか分からない模試の結果と成績の推移から、候補となる帯を整理してお返しします。
- 候補は挙がったが、出題の相性が分からない志望校名と本人の得意不得意があれば、噛み合うかどうかをお伝えできます。
- 親子で意見が分かれていて、話が進まない条件で絞ってから本人に選んでもらう手順を、具体的にご案内します。
- いつまでに決めればいいか知りたいこの記事の第3章に逆算表があります。相談は不要です。
- 候補を絞る条件を知りたい第6章に4つの条件を挙げています。まずはご家庭で試してみてください。
「まだ何も決まっていない」。学年と直近の模試の結果だけでも、そこから始められます。
それでも、一度お話を聞かせてください
この記事を読んで、条件で絞るところまではできそうだと思われたかもしれません。ただ、その先の「どの帯から選ぶか」で手が止まったかもしれません。
9月は、過去問を始める時期です。ここで対象を決めきれないまま10月に入ると、演習の時間がそのぶん減ります。13週という残り時間は十分にありますが、迷っている期間は材料が増えません。
直近の模試の結果と、いま挙がっている候補校を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。いまの候補のままで問題ないと判断される場合は、そうお伝えします。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
次のものがあると整理が速くなりますが、写真で撮ったもので十分です。
- 直近の模試の結果(科目別の得点と偏差値が分かるもの)
- いま候補に挙がっている学校(3校でも5校でも結構です)
- 通学にかけられる時間の上限
- 本人が行きたいと言っている学校(あれば)
とくに1つ目と2つ目が判断に効きます。成績と候補校が揃えば、どの学校の過去問から始めるべきかを具体的にお伝えできるからです。
まとめ:決まらないまま、進むことはできる
この記事の要点
- 「決まらない」の中身は5つに分けられる(学力・親子の相違・候補過多・不安・基準不明)
- 9月の時点で、受験校のすべてを決める必要はない
- 受験校を確定させる実質的な期限は11月末。8月31日から13週の猶予がある
- 9月に決めるのは「過去問を解く2校」だけでよい
- 秋以降は、模試の偏差値より過去問の得点で判断する
- 親子で意見が違う場合は、保護者が条件で絞り、本人が選ぶ順序にする
- 候補が多いときは、通学時間・日程・受験科目・学費で機械的に外す
- 通学時間は地図アプリでなく、平日の朝に実際に往復して確かめる
- 挑戦校と実力相応校を1校ずつ選ぶと、いまの位置がはっきりする
- 志望校は11月末まで変更できる。9月の決定は「仮決め」でよい
今日できること
最後に、もう1つだけお伝えしておきます。
いま志望校が決まらないのであれば、まず条件で外す作業から始めてください。通学時間、入試日程、受験科目、学費。この4つで、候補は半分以下になります。
好みで選ぼうとすると決まりませんが、条件で外すのは機械的な作業です。紙に候補を書き出して、条件に合わないものに線を引く。所要は1時間ほどです。
そのうえで残った学校の中から、レベルの違う2校を選んで過去問を買う。9月にやることは、それだけです。すべてを決めるのは11月で構いません。
決まらないことを、焦る必要はありません。決まらないまま進める方法があると分かっていれば、9月の時間を演習に使えます。迷い続けることと、順序を決めて進むことは違います。今日は、条件で外す作業だけで十分です。