1. 判定は「お子さまの合格率」ではない

模試の結果が返ってきて、志望校の欄に「D」や「E」の文字が並んでいる——この時期、多くのご家庭がこの場面を経験しているはずです。

最初にこれだけはお伝えしておきたいのですが、この判定は、お子さまの合格率を示した数字ではありません。

判定は、模試を受けた集団の成績分布と、過去の合格データを照らし合わせて算出された統計値です。「この偏差値帯の受験生は、過去にこれくらいの割合で合格していた」という記録であって、目の前のお子さま一人について計算されたものではない。

一般的な判定の目安

  • A判定——合格可能性80%以上
  • B判定——約60〜70%
  • C判定——約50%
  • D判定——約30%前後
  • E判定——20%以下

※基準は模試の主催団体により異なります。実際の区分は各模試の資料でご確認ください。

この目安を見て、D判定の「約30%」を「7割落ちる」と読むか、「10人に3人は受かっている」と読むか。同じ数字でも、受け取り方でその後の3か月が変わってきますし、どちらの読み方も、統計的には間違っていません。

この記事では、判定という数字が何を表しているのかを整理したうえで、秋に何をやるかを判定から決めない方法を扱います。判定に振り回されていると、やるべきことが見えなくなってしまうからです。

なぜ、この誤解が起きるのか

「D判定=合格率30%」という読み方は、間違いというより、省略が起きていると言ったほうが正確でしょう。

正しくは「この偏差値帯の受験生が過去に受験したとき、およそ3割が合格していた」で、主語は集団であって、個人ではありません。ところが成績表には志望校名とお子さまの名前が並んで印刷されているので、個人の数字として読めてしまうのです。

この省略が起きたまま数字を受け取ると、「うちの子は7割落ちる」という読み方になってしまう。実際には、同じ帯の中でも志望校との相性で結果は分かれますが、相性の部分は、判定の中に含まれていません。

2. 80%偏差値の本当の意味

判定を理解するために、その土台にある「80%偏差値」という言葉を、先に押さえておきましょう。

志望校選びの資料でよく目にする数字ですが、これを「合格可能性が80%ある偏差値」と読んでいる方が少なくありません。正確には、そういう意味の数字ではないのです。

80%偏差値とは——その偏差値の受験生を100人集めたとき、80人が合格していた、という統計上の値です。

主語は「100人の集団」であって、「お子さま個人」ではなく、この違いは小さく見えても、判定の受け止め方を大きく変えます。

同じ偏差値でも、結果が分かれる理由

仮に、80%偏差値に届いているお子さまが2人いるとして、片方は志望校の頻出単元が得意で、もう片方は苦手だとしたら、どうでしょうか。

模試は複数の学校を想定した共通の問題なので、志望校の出題との相性は、模試の偏差値には反映されていません。だからこそ100人中20人は落ちますし、50%偏差値の帯からも、半分は合格する。

50%偏差値についても同じで、「その偏差値の受験生を100人集めたら50人が合格していた」ということですから、裏を返せば半分は合格しているわけです。D判定やE判定の帯からも、毎年合格するご家庭はあります。

この記事で扱わないこと

先に断っておくと、この記事では「判定を上げる方法」は扱いません。というのも、判定は結果として動くものであって、直接操作できる対象ではないからです。

扱うのは、判定という数字をどう読み、そこから何を決めるかのほう。読み方が変われば決めることが変わり、決めることが変われば、秋の3か月の使い方が変わってくるので、順序としてはそちらが先でしょう。

3. 同じ学力でも、模試が違えば判定が変わる

もう一つ知っておいていただきたいのが、模試ごとの違いです。

判定は、その模試を受けた集団の中での相対位置から算出されるので、集団が違えば、同じ学力でも位置が変わります。

模試の性格同じ学力の子に出る判定
最難関志望層が中心の模試低めに出る
幅広い層が受ける模試高めに出る

判定の区分の切り方も主催団体によって違い、ある模試のD判定と、別の模試のD判定が同じ状態を指しているとは限りません。

偏差値そのものも、模試ごとに違う

判定だけでなく、偏差値の数値そのものも模試によって変わってきて、同じお子さまが同じ週に2つの模試を受けて、偏差値が5以上違うことも、珍しくはない。

ここで気をつけたいのが、志望校の偏差値表と模試の偏差値を照合するときです。偏差値表は、それを発行している機関の模試を基準に作られているので、別の模試の偏差値を当てはめると、実態とずれてしまう。

「志望校の偏差値は58、うちの子は55だから、あと3」という計算をされる前に、その2つの数字が同じ基準のものかを、確かめておきたいところです。基準が違えば、この引き算には意味がありません。

関西の模試事情

関西の中学受験では、複数の模試が並行して実施されていて、それぞれ受験する層の性格が違うので、どの模試を基準にするかを最初に決めておきたいところです。

基準を1つ決めたら、その模試の中で判定と偏差値を追い、ほかの模試は参考程度に見る。この扱いにしないと、良い判定が出た模試だけを見るようになったり、逆に悪い判定に引きずられたりしてしまいます。

基準にする模試は、志望校の受験者が多く受けているものを選ぶのが原則です。志望校が最難関校なら最難関志望層が受ける模試、中堅校なら幅広い層が受ける模試というように、母集団が志望校の実際の受験者層に近いほど、判定の精度は上がっていく。

比べるなら、同じ模試の中で

複数の模試を受けている場合、判定を横並びに比べても、意味のある比較にはなりません。同じ模試の中で、時系列に並べておきます。9月のD判定と11月のD判定を比べる、という比較なら、母集団の性格が揃っているぶん、実態に近い情報が読み取れるでしょう。

もし「A模試ではC、B模試ではE」といった状態になっているなら、それは学力が不安定なのではなく、2つの模試の母集団が違うだけかもしれません。

4. 秋以降、判定は下がりやすくなる

この時期に特有の現象があって、実力が落ちていないのに、判定が下がるというもの。

6年生の秋以降、模試の母集団は変わっていき、受験を予定していない層が抜けて、残るのは実際に受験する層だけになり、夏の学習の成果も全体に出てくる時期です。

周囲が伸びるぶん、同じ実力では相対的な位置が下がるということで、これは学力の低下ではない。

何が起きているかを、数字で追う

もう少し具体的に見ておくと、仮に9月と11月で、こういう変化があったとします。

時期素点偏差値判定
9月210点52C
11月212点48D

※数値は説明のための例です。

素点は2点上がっているのに、偏差値は4下がり、判定はCからDになっている。この子の学力は落ちていません。周囲が伸びたぶん、相対位置が下がっただけです。

ここで「下がった」と受け取って学習内容を変えると、機能していたものを壊すことになってしまいます。成績表を見るとき、偏差値と判定より先に素点を確認する習慣をつけてください。

切り分ける方法

学力が落ちたのか、母集団の変化なのかは、次の2点で切り分けられます。

ここを切り分けずに「下がった」とだけ受け取ると、手当ての方向を誤ってしまう。母集団の変化が原因なら、やることを変える必要はなく、同じことを続けてよい、という結論が出ることもあります。

2026年9月時点の追記

9月に入ってから、この記事を読まれている方へ

9月1日から入試までは137日、約20週あります。志望校を組み替える判断の実質的な期限は11月中なので、いま9月の時点では、まだ判断を急ぐ段階ではありません。この記事の第8章で扱った期限まで、約10週の余裕がある。

この時期にやっておきたいのは、判断そのものより材料集めのほうで、具体的には、10月に過去問を解いて、合格者最低点との差を出しておくこと。9月の判定を見て志望校を動かすと、夏に積み上げたものが得点に反映される前に決めてしまうことになります。夏の成果が数字に出てくるのは、早くても9月の後半以降でしょう。

9月から10月にかけての判定の下降については、この記事の第4章で、母集団の変化として説明しました。9月に受ける模試は、この現象がちょうど始まる時期にあたります。7月や8月の判定と比べて下がっていても、それだけでは実力の変化を示さないので、前年の同じ時期の資料が塾から配られていれば、そちらと見比べるほうが正確です。

もう1点、9月に入って学校が始まると、学習時間そのものが減る。判定が動かない原因は第7章で3つに分けていますが、2学期に限っては「時間が足りていない」という4つ目の要因が加わります。ここを演習不足と取り違えて量を増やすと、睡眠が削られて、かえって悪くなってしまう。

2学期の時間の作り方については、中学受験、2学期が始まってつまずく子で扱っています。成績そのものの立て直しは中学受験6年生で成績が下がる3つの原因にまとめました。

5. D判定とE判定を、同じものとして扱わない

ご相談を受けていて感じるのは、D判定とE判定が同じ扱いになっているご家庭が多いことです。「どちらも悪い判定」としてまとめられてしまいます。ただ、この2つは、表している意味が違う。

判定目安状態秋の方針
D判定約30%前後届く範囲にある。埋める失点がはっきりしていることが多い志望校は維持し、失点の分析に集中する
E判定20%以下出題と現在地に構造的な差がある可能性過去問で確認し、併願設計を組み直す

この差を、実際の受験生の数で考えてみると、仮に同じ志望校をD判定で受験した子が100人いたとすれば、30人前後が合格していたということで、E判定100人なら20人以下。どちらも、合格者がゼロというわけではありません。ただ、30人と20人のあいだには、対応を変えるだけの差があります。

D判定は、統計上は3割前後が合格している帯なので、ここで志望校を下げる判断は、多くの場合まだ早すぎます。秋の伸びで、まだ十分に動く範囲にある。

一方、E判定が複数回続いている場合は、状況が違ってくるので、ここで確かめていただきたいのは、判定そのものではなく、次の章で扱う指標のほうです。

E判定が続いている場合に確かめること

E判定が2回、3回と続いている場合に、確かめていただきたいことが2つあります。

1つ目は、志望校の合格最低点に対して何点足りないかです。50点足りないのと15点足りないのとでは意味がまったく違い、判定は同じEでも、埋めるべき量は3倍以上変わってくる。

2つ目は、足りない点がどの科目のどの分野で生じているかです。1科目に集中しているなら、その科目に時間を寄せる判断ができますが、全科目に分散しているなら、基礎の総量が不足している状態なので、秋からの回復は難しくなるでしょう。

差を出すときは、合格者最低点と比べるほうが早く分かります。合格者平均点と比べると実際より遠く見えてしまいますが、合格に必要なのは平均ではなく最低点のほうなので、学校が公表していれば、それを使ってください。

この2つを確かめずに、E判定という文字だけで判断すると、まだ届く子まで諦めることになります。逆に、構造的に厳しい状態を見落として、12月まで走ってしまうこともあって、どちらも避けたい形です。

D判定でも、E判定でも合格する子がいる理由

最難関の問題には、「このパターンはこう解かないと、時間内に終わらない」という解き方があります。正攻法でも答えは出ますが、時間がかかる。専用の解法を知っていれば、短時間で終わります。

判定は模試の母集団における相対位置であって、その学校の問題を解ける状態かどうかは示していません。だからD判定でも、E判定でも、その学校の解法が入っていれば届くことがあります。

6. 判定より確かな指標がある——過去問の得点

模試の判定は、複数の学校を想定した共通問題から算出されていて、志望校の実際の出題は、そこに含まれていません。

志望校に届くかどうかを見る指標としては、判定より確かなものがある。その学校の過去問で、合格最低点にどれだけ近いかです。

模試と過去問がずれる例

実際の答案では、次のようなことが起こる。

前者は、模試で問われる幅広い単元より、志望校の頻出単元に力が集中しているケースで、この場合、判定を理由に志望校を下げると、かえって不利になります。

後者は出題の相性が悪いケースで、時間配分、記述の量、特定分野の難度——何かが噛み合っていないので、判定が良くても油断できない状態でしょう。

過去問を早めに解く、もう一つの理由

過去問を解くことには、点数を測る以外の効果もあって、本人が志望校を具体的に感じられるようになることです。

模試の判定は抽象的で、「D」という文字からは、何をどうすればよいかが見えません。一方、過去問で「算数の大問4が全部落ちている」と分かれば、やることは具体的になる。

そしてこれは、お子さまの気持ちにも効いてきて、判定が悪いままだと「自分はこの学校に向いていない」という受け取り方になりやすいのですが、「大問4が取れれば届く」と分かれば、話が変わります。目標が、人格の評価から作業の話に変わるからです。

判断の順序

判断の順序は、次のようになります。

  1. まず志望校の過去問を1年分解く
  2. 合格最低点との差を出す
  3. その差が何点で、どの科目のどの分野で生じているかを特定する
  4. そこで初めて、志望校を維持するか組み替えるかを判断する

判定だけを見て判断しないでください。判定は、学校ごとの相性を含んでいない数字なのです。

7. 判定が動かないとき、原因は3つに分かれる

判定の読み方について、ここまでで気になる点があれば、教育相談フォームから一言お寄せください。

何回受けても判定が変わらない——この状態も、原因を切り分ければ、手が打てるようになります。

原因1:取るべき問題を落としている

成績表の設問別正答率を見て、全体の正答率が50%を超えている問題を落としていないか、確かめておきたいところです。ここでの失点が多いなら、難問対策ではなく、基礎の穴を埋める作業が先になる。

この型が最も多く、そして最も動かしやすい状態で、埋めるべき場所がはっきりしているからです。

確かめる手順を書いておくと、成績表の設問別データを開いて、次の作業をするだけで、10分ほどで終わります。

この合計点が、いま最も取り返しやすい点数です。20点あるなら、そこを埋めるだけで判定が1段動くこともあるので、難問に手を出す前に、この作業を先にやってみてください。

逆に、この合計が5点以下なら、取るべき問題はすでに取れている状態で、その場合は次の原因を疑います。

原因2:時間が足りていない

大問の後半が白紙になっている場合、学力ではなく、時間配分の問題かもしれません。解く順番を変える練習に切り替えると、点数の戻りは速くなる。

白紙率の数え方も書いておくと、答案を開いて、手がまったくついていない設問がいくつあるかを数えるだけです。式が途中まででも書いてあれば、それは「解こうとした」ので、白紙には含めない。

白紙が大問の後半に集中しているなら時間の問題ですが、前半にも白紙が散らばっているなら、時間ではなく、その分野をまだ学習していないか、手が出ない状態だと見ています。同じ「解けていない」でも、原因が違うのです。

時間の問題であれば、解く順番を変える練習が効くはずで、得意な大問から手をつける、あるいは各大問の(1)だけを先に一周する——この練習は1週間で効果が出ることがあります。学力を上げるより、ずっと速い改善と言えるでしょう。

原因3:志望校の出題と、模試の出題がずれている

模試の判定が動かないのに、志望校の過去問では点が取れている——この場合は、模試のほうが実態を映していません。志望校の出題に必要な力は伸びているのに、模試ではそれが測られていないということです。

この3つ目を見分けるには、模試と過去問の両方を並べる必要があって、模試だけ、あるいは過去問だけを見ていると気づけません。秋に一度、両方の結果を横に並べて眺める時間を取ってください。時間にすれば、30分あれば十分でしょう。

この3つは、それぞれ手当てが違うので、まとめて「判定が悪い」と扱うと、どれにも効かない対策を続けることになってしまいます。

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8. 志望校を組み替える判断の期限

判定が思わしくないまま秋が進むと、いつ判断するか、という問題が出てくる。

ですから、期限は決めておきたいところで、期限がないまま迷い続けることが、最も学習を止めます。「まだ伸びるかもしれない」と「そろそろ決めなければ」のあいだで揺れているあいだは、演習の対象が定まりません。

時期やること
9月志望校の過去問を1年分解き、合格最低点との差を出す
10月差の内訳を特定し、埋める作業に集中する
11月志望校を維持するか組み替えるかを決める
12月出願/決めた学校の過去問演習に絞る

11月に置く理由は、演習の時間を確保するためで、志望校を組み替えると、過去問の対象校も変わってくる。12月に変更すると、新しい学校の過去問を解く時間がほとんど残りません。

期限を決めておくと、迷いが減る

期限を決める効果は、判断の質だけではなく、それまでは迷わなくてよくなることのほうが大きいかもしれません。

「11月の模試を見て決める」と先に決めておけば、9月と10月は迷う必要がなく、目の前の学習に集中できる。逆に期限がないと、模試のたびに判断を迫られて、そのたびに家庭の空気が重くなってしまう。

お子さまにも、「11月までは、いまの志望校で進める」と言葉にして伝えておくと、途中の判定に一喜一憂しにくくなります。決めたことを言葉にすること自体が、秋の安定につながるはず。

組み替えるときに、どこを見るか

実際に組み替える判断をする場合、代わりの学校をどう選ぶかですが、判定の帯を1つ下げるという選び方は、実はあまり精度が高くない。

見ていただきたいのは、出題の相性のほう。同じ偏差値帯でも、記述が多い学校と選択式が中心の学校、算数の難度が高い学校と理社で差がつく学校があって、お子さまが取れている分野で勝負できる学校を選べば、判定以上の結果が出ることがあります。

具体的には、候補校を2〜3校選んで、それぞれ1年分ずつ過去問を解いてみてください。1校あたり半日で済みますし、点数の出方が学校によってかなり違うことに気づかれるはずです。この差は、判定の表からは見えないものです。

コース制のある学校では、同じ学校でもコースによって求められる得点帯が変わるので、学校を変えずにコースを変える、という選択肢もあるので、募集要項で確かめておきましょう。

組み替えは「下げる」ことではない

言葉の問題ではありますが大事な点で、志望校を組み替えることを「下げる」「諦める」と表現すると、ご家庭にもお子さまにも、重く響いてしまう。

実際にやっているのは、持ち時間と現在地に合った目標に置き直す作業です。通える学校に合格することが目的であって、特定の1校に入ることが目的ではないはずなので、この前提を、判断の前にご家庭で共有しておいてください。

9. 関西の日程だからこそ、判断が早くなる

関西のご家庭には、もう一つ考えておきたい事情があります。

関西圏の中学入試には統一解禁日があり、例年1月中旬に設定されています。首都圏の解禁が2月1日ですので、関西の受験生は本番までの持ち時間が約2週間短くなります。

※日程は各校の募集要項で最終確認をお願いします。

この差は、判断の期限にそのまま効いてくる。首都圏の情報をもとに「12月まで様子を見よう」と考えると、関西では出願に間に合わないこともあります。

関西圏外の学校が、12月から1月上旬に関西で入試を実施することもあって、前受けとして受験する場合、実質的な最初の本番は12月です。この日程を入れているご家庭では、判断の期限はさらに前倒しになるでしょう。

逆算してみる

実際に数えてみると、統一解禁日を1月中旬として、8月10日からの残り日数はおよそ160日、週にして23週になります。

起点統一解禁日までの週数
8月10日約23週
9月1日約20週
11月1日約11週
12月1日約7週

11月に志望校を確定させるとして、そこから本番まで約11週。この11週で、決めた学校の過去問を解き、直しをして、抜けを埋めることになるので、決して長い時間ではありません。

だからこそ、11月という期限に意味があります。12月に変更すると、残りは7週になります。4週の差は、過去問4年分の演習と直しに相当する。

秋の模試の数も限られる

持ち時間が短いということは、判断材料になる模試の回数も少ないということ。「あと何回、判定を見られるか」を数えておいてください。残り2回なら、その2回で決めることになりますし、回数が見えていると、迷う時間も短くなります。

併願校を先に固めておく

関西の日程では、統一解禁日に複数の学校が集中します。1日目に受ける学校、2日目、3日目——この組み方は、志望校の判定が固まる前から、検討を始めておいてください。

とくに、第一志望と同じ日に実施される学校を把握しておくと判断が速くなります。同じ日に実施される学校は同時に受験できないので、そこで選択が生まれる。この整理を11月からやろうとすると、時間が足りなくなってしまいます。

判定が思わしくない場合ほど、併願の設計が効いてきます。合格を1つ確保した状態で第一志望に臨めるかどうかで、当日の心理状態が変わります。これは、得点に直結する要素でしょう。

10. 結果を本人に、どう渡すか

判定の話は保護者だけでは完結せず、成績表は、お子さま本人も見るものです。

点数と判定の話から入らない

成績表を渡すとき、最初に口にする言葉を決めておきたいところで、おすすめは「どの問題は取れるはずだったと思う?」です。

この問いから始めると、本人が自分で答案を見返すことになり、同じ紙が、反省文から作戦表に変わります。逆に「またD判定か」から入ると、その紙は見たくないものになって、次から隠されるようになってしまう。

成績表を見せない、という選択について

判定が悪いとき、お子さまに成績表を見せない、という判断をされるご家庭もある。傷つけたくない、というお気持ちからのことだと思います。

ただ、この方法はあまり勧められず、その理由は2つあります。

1つは、本人がだいたい察していることです。手応えは自分がいちばん分かっていますし、見せてもらえないという事実のほうが、数字より重く受け取られることもある。

もう1つは、次にやることを、本人が決められなくなることです。どこを落としたかを知らなければ、何を直せばよいかもわかりません。結果として、指示されたことをやるだけの状態になってしまい、秋以降、この差は大きく効いてきます。

見せるかどうかより、どう見せるかを工夫してみてください。判定の欄を先に見せず、設問別の正答率のページから開く——それだけでも、受け取り方は変わってきます。

判定は評価ではない、と先に伝えておく

この記事の第1章と第2章の内容は、お子さまにも共有しておきたいところです。判定は統計値であって、自分への評価ではない。この理解があるかどうかで、結果の受け取り方は変わります。

「D判定でも3割は受かっている」「80%偏差値は100人中80人という意味で、自分の合格率ではない」——この2つを知っているだけで、本人が数字に潰されにくくなるはずです。

言葉にしておきたいこと

逆に、伝えておくと効く言葉もあります。

1つは、「この判定は、あなたの合格率じゃない」という事実です。第2章の内容を、そのまま伝えておきましょう。100人中80人という話を知るだけで、数字の重さは変わってきます。

もう1つは、「11月までは、この志望校でいく」という宣言です。期限が示されると、それまでの期間は迷わなくてよくなり、判定が出るたびに「まだ大丈夫か」と探る状態から抜けられます。

3つ目は、「取れるはずだった問題が何点分あったか」を一緒に数えること。これは慰めではなく手を動かす作業で、数えた結果が20点なら、それは事実として、次に取り返せる点数になるわけで、慰めより、事実のほうが本人を支えてくれます。

言わないほうがよいこと

11. この分析を、誰がやるか

ここまで、判定ではなく具体的な数字から決める方法を書いてきました。ただ、その作業を誰がやるのかという問題が残ります。

正直に申し上げると、この記事に書いた手順の多くは、ご家庭だけでも進められます。設問別正答率を数えることも、過去問を解いて合格者最低点と比べることも、道具は成績表と過去問だけ。まずはご自身で、一度やってみてください。それで方向が見えるなら、それがいちばん良い形です。

そのうえで、難しくなる場面もあります。

ご家庭だけだと精度が出にくい部分

失点を数えるところまでは誰でもできますが、難しいのはその次のほう。

ある1問を落としたとき、それが「解法を習っていない」のか「習ったが定着していない」のか「時間が足りなかった」のか「単純なミス」なのか。答案1枚からこれを判別するには、同じ学校の答案を何十枚も見た経験が要ります。

これは保護者の能力の問題ではなく、見てきた答案の枚数の問題です。比較する対象を持っているかどうかで、判別の精度が変わってきます。

もう一つが、埋めるのに何週かかるかの見積もりで、「この単元の穴を埋めるには3週間」という感覚は、実際に何人もの生徒で同じ作業をした経験からしか出てきません。ここを見誤ると、11月の判断そのものがずれてしまう。

塾の面談で扱える範囲

塾に相談するという選択肢もありますし、多くの受験生を見ている経験からの助言には、当然ながら重みがあります。

ただ、集団塾の面談で扱える情報には、構造的な限界があります。1人あたりの面談時間の中で、答案を1枚ずつ開いて設問ごとに分析するのは難しいのが実情で、多くの生徒を抱えている以上、これは塾の姿勢の問題ではありません。

したがって、塾の助言は「統計的にはこの判定だとこうなることが多い」という情報として受け取り、お子さま個別の判断材料は別に用意しておくのが現実的でしょう。

当ネットワークの教師ができること

ここからは、私たちが提供できるものを、具体的に書いておきましょう。

ここまで読んで、どれが近いですか

判定が出たあとのご相談は、この5つに分かれます。当てはまるものがあれば、お知らせください。

  • 判定が下がり続けていて、志望校を変えるべきか迷っている判定ではなく過去問との差で判断します。得点があれば計算してお返しします。
  • 過去問の得点と判定が食い違っているどちらを信じるべきかは、時期によって変わります。整理してお伝えします。
  • D判定から間に合うのか知りたい差が何点で、どの分野から生じているかによります。答案があれば見通しをお伝えします。
  • 判定が下がる仕組みを知りたい母集団の変化について、この記事で説明しています。相談は不要です。
  • 秋に何をやるかを決めたいこの記事の該当章に手順があります。それで足りる場合は相談不要です。

「判定を見て不安になった」。その気持ちのままで構いません。数字の読み方からお話しできます。

中学受験の指導実績がある教師

23名が登録しています

うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。

当ネットワークに登録しているのは、プロの家庭教師のみです。学生講師は在籍していません。指導経験を職業として積み重ねてきた教師が、これまでに何十枚、何百枚と答案を見てきています。

その経験があるからこそ、次のようなことができる。

それでも、一度お話を聞かせてください

ここまで読んで、「うちの子の判定は、どちらの意味なのか」と思われたかもしれません。

ご家庭だけで抱えていると、「これは相談していいことなのか」を決めるところから始まります。そこで数週間が過ぎるのが、いちばん惜しい。

学年と、いま気になっていることを一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。家庭教師以外の選択肢をお伝えすることもあります。

力になれることがあるなら、なりたいと思っています。

合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。

できないこと

判定を直接上げることはできず、できるのは、失点の中身を特定して埋める順番を決めるところまで。合格や短期間での大幅な伸びをお約束することもできませんし、ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。

そのうえで申し上げると、答案を見て失点の中身を特定する作業は、経験のある人間が見れば1時間ほどで終わります。この1時間で秋の3か月の方向が決まるなら、一度誰かに見てもらう価値はあるはず。

無料体験授業では、まずこの現在地の確認から入ることがほとんどで、成績表と過去問の答案をお持ちいただければ、その場で失点の内訳をお伝えできます。その結果、家庭教師を入れる必要がないと判断される場合は、そうお伝えします。

12. 秋にやることを、判定から決めない

最後に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書いておきましょう。

秋にやることは、判定から決めないでください。判定は現在地を示す指標であって、次の一手を教えてくれる情報ではないのです。

判定が悪いから量を増やす、判定が悪いから教材を変える、判定が悪いから志望校を下げる——いずれも、原因の特定を飛ばした対応です。

「判定が良い」ときにも同じことが言える

ここまでD判定・E判定の話をしてきましたが、逆の場合にも、同じ原理が働く。

A判定やB判定が出ていても、それは志望校との相性を含んでいない数字です。模試で高い偏差値が出ているのに、志望校の過去問では合格最低点に届かない——この状態は、実際に起こるものです。

とくにA判定が続いていると、志望校の対策より、模試の対策に時間を使ってしまうことがあります。ところが本番で解くのは志望校の問題で、模試で測れる力と、その学校で問われる力は、重なってはいても同じではない。

判定が良いご家庭ほど、過去問の確認が後回しになりがちですが、9月や10月に一度解いておけば、ずれがあった場合に対応する時間が残ります。判定は、良くても悪くても、志望校との距離を教えてくれる数字ではありません。

なぜ判定から決めてしまうのか

判定から決めたくなる理由は、はっきりしていて、判定は簡単だからです。アルファベット1文字を見るだけで済んでしまう。

一方、右の列に挙げるような材料は、成績表を開いて設問ごとに数える作業が要りますし、過去問を解いて採点する時間も要ります。忙しいご家庭ほど、簡単なほうに流れるのは自然なことでしょう。

ただ、この作業は1回やれば30分ほどで終わります。そして一度やると、そこから3か月分の方針が決まるので、時間に対する効果としては、秋の学習のなかでも最も高い部類に入ります。

もし時間が取れないなら、設問別正答率の確認だけでも先にやってください。正答率50%以上の失点を数えるだけなら10分で済み、それだけでも、次にやることが1つは決まるはずです。

やることを決める材料

判定から決めないこれで決める
D判定だから量を増やす正答率50%超の失点数から、埋める範囲を決める
E判定だから志望校を下げる過去問と合格最低点の差から判断する
判定が動かないから教材を変える白紙率を見て、時間配分の問題かを切り分ける
判定が良いから安心する過去問の得点で確認する

左の列に共通しているのは、判定という1つの数字だけを見て、次の行動を決めていることです。情報量が少ないぶん、打つ手が大雑把になってしまう。量を増やす、教材を変える、志望校を下げる——いずれも大きな変更で、外したときの損失も大きくなります。

右の列は、すべて具体的な数字で、判定という1文字のアルファベットより、こちらのほうが次にやることを教えてくれます。

まとめ:判定は現在地であって、結論ではない

この記事の要点

  • 判定はお子さま個人の合格率ではなく、母集団の統計から算出された値である
  • 80%偏差値は「合格可能性80%」ではなく「その偏差値の子100人中80人が合格した」という意味
  • 50%偏差値の帯からも半分は合格している。D・E判定からの合格は毎年ある
  • 模試が違えば同じ学力でも判定が変わる。比べるなら同じ模試の中で時系列に
  • 秋以降は母集団の変化で判定が下がりやすい。素点と正答率で切り分ける
  • D判定(約30%)とE判定(20%以下)は別物として扱う
  • 志望校に届くかどうかは、判定より過去問と合格最低点の差のほうが確か
  • 判定が動かない原因は、取るべき問題の失点・時間配分・出題のずれの3つに分かれる
  • 志望校を組み替える判断は11月まで。関西は首都圏より約2週間早い
  • 失点の性質を判別するには答案を見た経験が要る。当ネットワークには最難関校の指導実績を持つ教師が8名在籍している
  • 秋にやることは判定からではなく、具体的な数字から決める

判定は、いまどこにいるかを教えてくれる数字で、どこへ行けるかを決める数字ではありません。そして、いまどこにいるかは、これから変えられる。

この時期、成績表を前にして眠れない夜を過ごされる保護者の方は、少なくありません。お子さまの努力を見てきたぶん、その紙に書かれた1文字が、重く感じられるのだと思います。

ただ、その1文字は過去の受験生の統計から機械的に算出された値です。お子さまの伸びしろも、志望校との相性も、残り23週で埋められる範囲も、そこには入っていません。

D判定やE判定が並んだ成績表を前にすると、そこで結論が出たように感じられるもの。ただ、その紙に書かれているのは統計であって、お子さまの可能性ではありません。実際に見るべきなのは、志望校の過去問との距離と、その差の中身のほうです。

いまの判定からどこまで届くのか、どこを埋めれば差が縮まるのか。判断に迷われる場合は、無料体験授業でご相談いただければ、成績表と過去問の結果をうかがったうえで、合いそうな教師とのお引き合わせをご案内します。

よくある質問

Q D判定やE判定でも、志望校を受験してよいのでしょうか?
A 判定だけで受験の可否を決める必要はありません。判定は模試の母集団と過去の合格データから算出された統計値であり、お子さま個人の合格率を示したものではないためです。判断材料としては、志望校の過去問で合格最低点にどれだけ近づいているかのほうが確かです。ただし併願校の組み方は現実的に設計しておいてください。
Q 80%偏差値は「合格可能性が80%」という意味ですか?
A 違います。80%偏差値とは「その偏差値の受験生を100人集めたとき、80人が合格している」という統計上の値です。お子さま個人の合格可能性が80%あるという意味ではありません。同じ偏差値でも、志望校の出題との相性によって結果は変わります。この違いを知っておくと、判定の受け止め方が変わります。
Q 模試によって判定が違うのはなぜですか?
A 模試ごとに受験する層が異なるためです。最難関校を目指す層が多く受ける模試では同じ学力でも偏差値が低く出ますし、幅広い層が受ける模試では高く出ます。判定の基準も主催団体によって異なります。複数の模試を受けている場合、judgmentは同じ模試の中で時系列に比べるほうが早くなります。
Q 秋になって判定が下がりました。学力が落ちたのでしょうか?
A そうとは限りません。6年生の秋以降は受験を予定していない層が模試の母集団から抜けていき、残るのは受験する層だけになります。同じ実力でも相対的な位置が下がるため、判定が落ちることがあります。学力そのものが下がったのか、母集団の変化によるものかは、設問ごとの正答率や過去問の得点で切り分けておきます。
Q 志望校を変更する判断は、いつまでにすればよいですか?
A 関西の統一解禁日は例年1月中旬で、首都圏より約2週間早くなります。出願はその前月までに済ませる必要が出てきますので、判断の実質的な期限は11月から12月上旬です。ただし志望校を組み替えると過去問演習の対象も変わりますので、演習の時間を確保するなら11月中の判断をお勧めします。
Q D判定とE判定では、対応を変えるべきですか?
A 変えてください。一般的な目安ではD判定が合格可能性30%前後、E判定が20%以下とされており、間には差があります。D判定は届く範囲にあり、埋めるべき失点がはっきりしていることが多い状態です。一方E判定が続く場合は、志望校の出題とお子さまの現在地に構造的な差がある可能性がありますので、併願校の設計を含めた見直しが要ります。
Q 判定が悪かったことを、子どもにどう伝えればよいですか?
A 成績表を渡すときに、点数と判定の話から入らないでください。「どの問題は取れるはずだったと思う?」と本人に選ばせるところから始めると、同じ紙が反省文から作戦表に変わります。判定は統計値であってお子さまの評価ではない、という前提を先に共有しておくと、結果を冷静に扱えるようになります。
Proチューターズネットワーク 編集部
中学受験を専門とするプロ家庭教師マッチングサービス「Proチューターズネットワーク」が運営する受験情報メディア。最難関校から中堅校まで、志望校のレベルを問わずご相談を承っています。兵庫・神戸を拠点に、関西の中学受験の情報を、保護者の方に向けて発信しています。

判定より、
過去問との差を見ます

成績表と過去問の結果から、
埋めるべき範囲を出します。

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