1. 偏差値が足りなくても受かる子がいる
9月に入って、模試の判定が届いていない。過去問を解いても、合格最低点まで距離がある——そんな状態から合格していく子は、実際にいる。
運や偶然の話をしているわけではなく、構造として、そういうことが起こり得る仕組みがあるのです。
当ネットワークには、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺といった学校へ生徒を送り出してきた教師が在籍しているので、その現場から見えることを書いておきたい。偏差値が足りないまま合格した子にも、逆に十分な偏差値で不合格になった子にも、それぞれ理由がありました。
模試が測っているもの
模試の偏差値は、幅広い範囲から出題された問題で測られる。複数の学校を志望する受験生を、同じ問題で比べる必要があるためで、つまり模試は、全分野の平均的な実力を測っています。
ところが入試では、受けるのは1校で、その学校が出す問題だけが、得点に関わってくる。
模試で測られる「全分野の平均」と、入試で問われる「その学校の出題」とは、別のものです。ここにずれがあるから、偏差値が届いていなくても合格する子が出てきます。
逆もあります
公平を期すために書いておくと、逆の現象も起こります。偏差値は十分なのに、その学校の出題と相性が悪くて落ちるケースです。
記述が苦手な子が、記述中心の学校を受ける。速さで押す入試なのに、じっくり考えるタイプだった——こうした噛み合わせの悪さは、模試の数字には出てきません。
だから、偏差値だけを見て判断するのは、上下どちらの方向にも危ういということになるでしょう。
この記事を書いている立場
先にお断りしておくと、この記事は、プロ家庭教師のマッチングを運営している立場で書いている。ですから、「家庭教師を入れましょう」という結論に見える部分があるはずです。
そこは隠しませんが、家庭教師を入れなくても成立する場合があることも、同じように書いておきます。すでに志望校のパターン別の解法を教わる場があるなら、外部の手は要らない。
この記事で扱うのは、そうでない場合に何ができるかという話なので、判断材料として読んでいただければと思います。
2. 「学校の癖」とは、解き方のことです
学校の癖と言われると、記述が多いとか、問題数が多いとか、そういう話を思い浮かべるかもしれません。ただ、それは表面的な特徴にすぎない。
本当に差がつくのは、もっと具体的な部分で、その学校で繰り返し出るパターンには、それぞれ「こう解かないと時間内に終わらない」という解き方があります。
同じ問題でも、解き方で時間が変わる
算数の問題には、たいてい複数の解き方があって、正攻法で解いても答えは出ますが、時間がかかります。
ところが最難関校で出るパターンには、それ専用の速い解法があることが多い。その解法を知っていれば2分で終わる問題が、知らなければ10分かかったり、時間内に終わらなかったりするのです。
ここが決定的で、学力の差ではなく、解法を知っているかどうかの差で、得点が変わります。同じ子が同じ問題を解いても、解き方を知っているかどうかで、結果が違ってくる。
その解法は、家では手に入りません
問題はここからで、こうした解法は、参考書を読んでも出てこない。
市販の解説に載っているのは標準的な解き方で、それ自体は間違いではありませんが、最難関校の制限時間で通用する解法とは限りません。
ご家庭で過去問を解いて、解説を読んで、また解く——この繰り返しをどれだけやっても、「このパターンにはこの解き方が速い」という判断は身につきません。そもそも、その解法の存在を知らないからです。
親が教えようとしても、同じことになる。保護者もまた、その解法を知らないからです。
パターンを蓄積すると、何が起きるか
逆に、解法を教え込まれた子には、何が起こるのか。
本番で類題が出たとき、「あのときのあれだ」と即座に反応できます。考えるのではなく思い出すので、速い。
最難関校の入試では、この差が積み重なっていきます。1問で5分縮まれば、6問で30分になり、その30分を、ほかの問題に回せる。
時間が足りないという問題の多くは、ペース配分の工夫では解決しません。解法を知らないから遅い、それだけのことで、逆に言えば、解法が入れば速くなります。
だから、大量の過去問が要る
パターンを蓄積するには数が要り、5年分では、出会えるパターンが限られてしまう。
20年分あれば、その学校が繰り返し出してきたパターンが、ひととおりそろいます。そして類題は、実際に本当に出てくる。形を変えて、数字を変えて、同じ考え方の問題が出題されるのです。
そのときに、「あのときのあれだ」と反応できるかどうか。ここが、過去問を大量に解く本当の理由です。
癖を知るだけでは、点は動かない
ここで正直に書いておきたいのは、学校の特徴を知っただけでは、得点は変わらないということです。
「この学校は記述が多い」と分かったところで、記述が書けるようにはならないし、「立体図形が頻出だ」と知っても、立体図形が解けるようになるわけではない。知ることと、できるようになることの間には距離がある。
当ネットワークでも学校別の記事をいくつも書いてきましたが、そこに書けるのは入試の仕組みまでになる。配点、日程、換算方法、頻出分野——これらは知っておく価値がありますが、それだけで点が動くわけではありません。
癖を知ることは出発点であって、到達点ではない。知ったあとに、その癖に体を慣らす作業が要ります。そこに時間がかかるからこそ、誰とどう進めるかという話になってくるのです。
志望校でどんなパターンが繰り返し出ているか、ご自身では見えにくいかもしれません。学校名だけでも教育相談フォームからお寄せいただければ、頻出のパターンをお伝えします。読み進めながらでも結構です。
3. 広げるか、絞るか
集団塾のカリキュラムが幅広く作られているのは、1つのクラスに志望校の違う子が集まる以上、複数の学校に対応できる形にする必要があるからです。
これは合理的な設計で、どの学校を受けることになっても対応できる土台ができる。
余裕がない場合
ただ、9月の時点で差が残っているご家庭もあって、その場合は、全部を引き上げる時間がありません。
そうなると、選べる道は、受ける1校に絞って、そこに集中することの1つしかありません。
どちらが正しいという話ではなく、時間があれば広げる、なければ絞る——それだけのこと。ご家庭ごとに事情が違うので、そこは個別に判断することになるでしょう。
4. 20年分を2回転させるという方法
癖に強くなるための、いちばん直接的な方法は、過去問を大量に、そして繰り返し解くことです。
具体的には、最難関校であれば20年分、それ以外の学校でも、赤本の古い年度を手に入れて12年から15年分までさかのぼり、それを2回転させます。
なぜ20年分なのか
なぜそれだけの年数が要るのかといえば、5年分では、癖そのものが見えにくいから。
出題分野には周期があって、毎年出る分野もあれば、3年に1度、5年に1度という分野もあって、5年分だけを見ていると、たまたま出なかった分野が視界から消えてしまう。
20年分あれば、その学校が20年間で何を問うてきたかが見えます。頻出分野も、周期のある分野も、両方を把握できる。
なぜ2回転なのか
1回目は解けない問題があって当然なので、そこで解き直しをして、2回目に同じ問題を解く——ここで初めて、身についたかどうかが分かります。
1回転だけだと、解いた記録は残りますが、定着したかどうかは確かめられない。2回転目で解けるようになっていれば、その癖への対応が入ったということです。
この方法は、確かに効きます。ただし、実行するには条件があるので、次の章で、その条件を数字にしておきましょう。
2回転の間隔をどう置くか
2回転させるときは、1回目と2回目の間隔が問題になる。短すぎると、答えを覚えているだけで解けてしまうからです。
目安としては、1か月以上あけたいところでしょう。9月に解いた年度を10月に解き直しても、記憶が残っているので、定着の確認にはなりません。
現実的な組み方は、1回目を9月から11月にかけて進め、2回目を12月から入試直前に置くという形でしょう。この配置なら間隔も取れますし、2回目が、本番直前の総仕上げも兼ねます。
ただし、直近3年分は、1回目で使わずに残しておいてください。本番に最も近い年度を、実力がついた状態で初見のまま解くためです。
5. どれくらいやれるかは、家庭ごとに違います
20年分と書きましたが、これはあくまで最難関を目指す場合の目安です。
使える時間はご家庭ごとに違いますし、塾の課題の量も、本人の処理速度も違うので、「何年分やれば通る」という数字を、ここで断言することはしません。
できることから始めて、走りながら調整していく——実際の現場では、そうやって進めている。
大切なのは、年数そのものではなく、パターンに出会った数のほうです。同じ20年分でも、解法を教わりながら進めるのと、正攻法で解き続けるのとでは、身につくものが変わってくるでしょう。
6. 管理ではなく、解法を教える人が要る
ここではっきりさせておきたいのは、過去問の進行管理そのものは、保護者でもできるということです。
どの年度から解くか、いつ2回目を入れるか、記録をどう残すか——これらは段取りの話であって、教える技術は要らないので、ご家庭で回せる部分でしょう。
そして正直に言えば、管理をしたから点が上がるわけではありません。きれいに記録を取っても、解けない問題が解けるようにはならないのです。
足りないのは、解法そのもの
問題になるのは、第2章で書いた部分——「このパターンには、この解き方が速い」という知識を、どこから持ってくるか。
過去問を20年分そろえても、解法を知らなければ、正攻法で解き続けることになり、時間はかかったままで、年数を増やした意味がありません。
解説を読めば答えは分かりますが、そこに書いてあるのは標準的な解き方で、最難関の制限時間で通用する解法が載っているとは限りません。
教える側に何が要るか
この解法を教えるには、教える側に、次のような条件がある。
- その学校の過去問を、大量に解いた経験があること——パターンを体で知っている必要があります
- どの解法が速いかを判断できること——複数の解き方から、制限時間内で通るものを選べる
- 類題を見抜けること——形が変わっていても、同じ考え方だと気づける
この3つは、指導経験のなかでしか蓄積されないもので、参考書を読んで身につくものではないため、保護者が独学で補うのは難しいところです。
まとめると、進行の管理は家庭でもできるが、解法は、教える人がいないと入らない、ということになります。ここが、外部の手を借りるかどうかの分かれ目でしょう。
7. 9月に成績が下がった場合の2つの型
ここからは少し別の話で、夏休みに頑張ったのに、9月の模試で成績が下がったというケースについてです。
この現象には、大きく分けて2つの型がある。
| 型 | 状態 | 対応 |
|---|---|---|
| ①息切れ | 夏に詰め込みすぎて、9月に失速している | 量を落として、回復を待つ |
| ②噛み合っていない | やり方と本人が合っていない | 進め方そのものを変える |
この2つは対応が正反対で、①に対して「やり方を変えよう」と動くと負荷が増えて悪化しますし、②に対して「休もう」と言っても、状況は変わりません。
模試の判定が下がるのは、母集団の変化もある
9月以降に判定が下がる場合に、もう1つ知っておきたい要因が、受験を見送る層が、母集団から抜けていくことです。
秋になると、中学受験そのものを取りやめるご家庭が出てきて、模試を受ける集団に、より本気の受験生だけが残っていきます。すると同じ得点でも、偏差値は下がる方向に動く。
つまり、成績が下がったように見えて、実力は落ちていないという場合があります。ここを踏まえずに焦ると、必要のない手を打つことにもなりかねない。
判定の読み方については、中学受験の模試でD判定・E判定が出たらで、詳しく扱っています。
なお、実際に見てきた範囲で言えば、D判定のみならず、E判定であっても合格することがあります。判定はあくまで模試の母集団における相対位置であって、その学校の問題を解ける状態かどうかを示すものではないので、E判定だから可能性がない、という読み方はしなくて構いません。
8. 型1:息切れしている
夏休みは、多くの受験生にとって、いちばん学習量が多くなる期間なので、その反動が、9月になって出てくることもある。
見分け方
- 夏の途中までは調子がよかった
- 8月後半から、明らかに集中が続かなくなった
- ケアレスミスが増えている(学力の問題ではない失点)
- 朝起きられない、食欲が落ちるなど、体の変化がある
とくに分かりやすい指標が3つ目で、解けるはずの問題を落としているなら、学力ではなく状態の問題です。
対応
この場合はやることを増やさず、2週間ほど量を落として、回復を待つほうが早く戻ります。
焦る気持ちは分かりますし、9月に量を落とすのは怖いところでしょう。ただ、息切れした状態で続けても、内容が入りません。入らないまま時間だけが過ぎるほうが、結果として損になってしまう。
生活リズムの立て直しについては、中学受験と生活リズムで扱っています。
息切れと、やる気の低下は違う
息切れは、体と頭が消耗している状態で、やる気がないのとは別のことです。
ここを混同すると、対応を誤ってしまう。「やる気がない」と受け取ると叱ることになりますが、消耗している子を叱っても、回復はしない。むしろ、勉強そのものへの拒否感が生まれます。
見分けるには、本人が何と言っているかより、体の様子を見てください。睡眠、食事、朝の起き方——ここに変化が出ているなら、消耗のほうでしょう。
2週間ほど量を落とすと多くの場合は戻りますが、戻らない場合は、消耗以外の要因があると考えたほうがよい。
9. 型2:やり方が合っていない
もう1つの型は、本人はきちんと取り組んでいるのに、成果が出てこない——この場合は、進め方そのものを見直す必要があります。
見分け方
- 夏の間も、ずっと同じような状態が続いている
- 宿題は終わらせているが、テストで点が取れない
- 授業の内容が入っていない様子がある
- 質問できないまま、分からない部分が積み上がっている
典型的なのが2つ目で、宿題を終わらせること自体が目的になっていて、内容が入っていない状態です。
この状態については、家庭学習がすぐ終わるときで、詳しく扱いました。
対応
ここで必要なのは、休むことではなく、やり方を変えることのほう。
いまの進め方が本人に合っていないなら、そのまま続けても差は開いていくでしょう。分からない部分を抱えたまま次に進むことになるからです。
本人が「やりたくない」と言う場合
やり方を変える必要があると保護者が判断しても、本人が乗り気でないこともある。とくに9月以降は、新しいことを始める余力が残っていない場合もあります。
ここで無理に押し切っても、うまくいかない。本人が納得していない状態で始めた個別指導は、時間だけが過ぎることが多いところです。
説明するなら、「増やす」ではなく「入れ替える」という言い方が届きやすくなります。塾の課題のこの部分を減らして、その時間を過去問に充てる——総量は増えないと分かれば、受け止め方も変わってくるでしょう。
それでも動かない場合は、1回だけ試してみるという提案もある。体験授業を受けたうえで、本人が「合わない」と言うなら、そこで判断すればよい、という形です。
息切れなのか、やり方の問題なのか。ここが分かれ目になります。直近の答案と1週間の様子を教育相談フォームからお知らせいただければ、どちらに近いかをお伝えできます。
10. 取り出して1対1にするという判断
型2にあたる場合、選択肢の1つになるのが、取り出して1対1にするという方法です。
いまの環境をやめるという意味ではなく、続けたうえで、詰まっている部分だけを個別で扱うという形。
どこを取り出すか
| 取り出す対象 | 理由 |
|---|---|
| 詰まっている1科目 | 全科目を個別にすると時間もコストも合わない |
| 志望校の過去問演習 | 幅広く進める中では1校に絞りにくい |
| 基礎の穴の埋め直し | 全体の進度の中では戻る時間が取りにくい |
全部を個別にする必要はなく、むしろ、回っている部分はそのまま続けたほうが効率的です。競争環境や進度の管理という点で、集団には集団の強みがある。
いつ判断するか
9月の時点で「このままでは届かない」と感じているなら、判断は早いほうが有利で、入試まで約18週なので、ここから体制を変えるなら、10月には走り出したいところです。
11月、12月と遅くなるほどできることは減っていき、過去問の年数を増やす方法も、時間がなければ成立しません。
費用の話
1対1で伴走を頼む場合は、費用がかかるので、ここも書いておきます。
当ネットワークでは、指導料を教師本人が設定していて、1時間3,500円から7,000円の範囲でお願いしています。週2回・各2時間で組むと、月額の目安が見えてくるでしょう。
この金額をどう見るかは、ご家庭の状況によりますが、判断材料として1つ言えることがあります。
科目を絞れば、費用は抑えられるということ。詰まっている1科目だけ、あるいは過去問演習の管理だけ、という形なら週1回でも成立します。全科目を個別にする必要は、どこにもありません。
費用の詳細は、費用についてのページにまとめています。
自分がどちらに当てはまるか
ここまで読んで、自分の子はどうなのかと考えておられるかもしれないので、判断材料を並べておきます。
| 確かめること | この状態なら特化が効く | この状態なら別の手が先 |
|---|---|---|
| 過去問との差 | 20点以内 | 40点以上 |
| 志望校 | 1校に決まっている | まだ迷っている |
| 基礎の状態 | 大問1・2は取れている | 前半から落としている |
| 残り時間 | 10月までに動ける | 12月以降になる |
| 本人の状態 | 取り組む余力がある | 消耗している |
左の列が3つ以上当てはまるなら、志望校特化に切り替える価値がある。右の列が多い場合は、まず別のことをやるほうが先になるでしょう。
相談していただかなくていい場合
正直に書いておくと、次のいずれかに当てはまるなら、当ネットワークにご相談いただく必要はありません。
- 過去問との差が20点以内で、すでに解き直しが回っている——このまま続けてください。手を加えないほうが良い状態です
- 塾や個別で、志望校のパターン別解法まで教わっている——すでに必要なものが入っています
- 塾の志望校別講座で、個別の弱点まで見てもらえている——すでに必要な体制があります
- 本人が消耗していて、まず休養が要る状態——ここで指導を足すと逆効果になります
とくに大切なのが4つ目で、息切れしている子に新しい負荷をかけても、状況は悪くなります。この場合は、まず2週間量を落としてから、改めて考えていただくほうが確かでしょう。
ご相談いただきたいのは、「特化が効きそうだが、自力では回せない」という場合です。過去問の年数を集め、解く順序を決め、塾の課題を仕分け、年度差を補正する——この作業を担う人がいないなら、そこが、お手伝いできる部分になります。
11. それでも、まだ方法はあります
この記事でお伝えしたかったのは、結局のところ、1つのことでした。
いまの成績で届いていなくても、打つ手はまだあります。
全分野をまんべんなく引き上げるのは、確かに時間がかかり、9月から始めて間に合うかというと、難しい場合もあるでしょう。
ところが、1校の癖に絞れば、話が変わってくる。その学校が何を問うてきたか、どういう順序で並べるか、どこに誘導を置くか——これらは、20年分の過去問に、すべて残っているのです。
偏差値を5上げるのは大変ですが、1つの学校の癖に慣れることは、それより短い時間でできます。そして入試で問われるのは、受ける1校の問題だけ。
この方法が向かない場合
先に、向かない場合を書いておきましょう。
1つは、基礎に大きな穴がある場合で、過去問を20年分解いても、そもそも解ける問題が少なければ意味がないので、この場合は単元学習に戻るほうが先になります。
もう1つが、志望校が定まっていない場合で、特化するには対象が1つに決まっている必要があり、複数校を並行して特化することはできない。
3つ目が、残り時間が極端に少ない場合で、12月から始めても、体制を整える時間が取れない。
何が必要か
この方法を選ぶなら、必要なものは、次の2つです。
1つは、過去問の年数を集めることで、市販の過去問集は5〜10年分が中心なので、それ以上を求めるなら、ネットや古書で古い年度を探すことになり、手間と時間がかかる。
もう1つが解法を教える人で、年数だけ増やしても、正攻法で解き続けるなら速くはならない。「このパターンにはこの解き方」を渡せる人がいて、初めて過去問の数が意味を持つのです。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただく場合にうかがうのは、志望校、直近の模試の結果、過去問を解いた年度と得点、そして塾から出ている課題の量です。ここから、志望校特化に切り替える余地があるかを整理します。
いまの進め方で届くと判断される場合は、そうお伝えしますし、その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
ここまで読んで、どれが近いですか
9月にいただくご相談は、この5つに集まります。当てはまるものがあれば、そのままお知らせください。
- 判定が届いていないが、志望校を変えたくない過去問の得点があれば、癖への対応で埋まる範囲かを見積もります。
- 夏に頑張ったのに9月に成績が下がった息切れか、やり方の問題か。答案と生活の記録があれば切り分けられます。
- 塾の授業についていけていない様子があるどこを取り出すべきかを、科目と単元で特定します。
- 学校ごとの癖とは何かを知りたいこの記事の第2章に5種類を挙げています。相談は不要です。
- 過去問を何年分やるべきか知りたい第5章に時間の計算があります。まずはご覧ください。
「9月の判定を見て不安になった」。その段階からでも、お話をうかがえます。
それでも、一度お話を聞かせてください
判定を見て、志望校を下げるべきか迷われているかもしれません。あるいは、いまのやり方を変える踏ん切りがつかないままかもしれません。
入試まで約18週です。いまの体制を続けるにしても、変えるにしても、10月には決まっていたいところです。11月、12月と遅くなるほど、選べる手が減っていきます。
志望校と、直近の模試の結果を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。いまの進め方で届くと判断される場合は、そうお伝えします。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
次のものがあると整理が速くなりますが、写真で撮ったもので十分でしょう。
- 直近の模試の結果(科目別の得点が分かるもの)
- 志望校の過去問を解いた年度と得点
- 塾から出ている今週の課題
- 1週間の学習時間の配分
とくに判断に効くのが2つ目で、模試の判定より、その学校の過去問で何点取れているかのほうが、実態に近いからです。
10月までに決めたい理由
体制を変えるなら10月までに、と書いた理由を、数字で示しておきます。
9月上旬から入試までは、およそ18週で、ここで体制を変える場合は、新しいやり方が回り始めるまでに2週間から3週間かかります。教師を探し、面談し、進め方を決め、実際に動き出すまでの時間。
10月に始めれば、まだ十分な期間が残るので、そこから何をどこまでやるかは、お子さまの状況を見て決めることになります。
ところが、11月、12月と遅くなるほど、できることは減っていく。12月では、体制を変える時間そのものが取れない。
まとめ:全部やらなくていい
この記事の要点
- 模試は全分野の平均を測るが、入試で問われるのは1校の出題だけ
- このずれがあるため、偏差値が届いていなくても合格する子がいる
- 学校の癖とは、問題パターンごとの「こう解かないと時間内に終わらない」という解法のこと
- その解法は市販の解説に載っておらず、家庭で繰り返しても身につきにくい
- 解法が入れば、類題が出たとき「あのときのあれだ」と即座に反応できる
- 広げる余裕があるなら広げたほうがよい。余裕がなければ1校に絞る
- 癖をつかむ最も直接的な方法が、過去問20年分を2回転させること
- 使える時間は家庭ごとに違う。年数より、パターンに出会った数が大切
- 進行の管理は家庭でもできる。ただし解法は、教える人がいないと入らない
- 9月に成績が下がる場合、息切れ型とやり方の問題型で対応が正反対
- やり方の問題なら、詰まっている部分だけ取り出して1対1にする選択肢がある
今日できること
最後に、もう1つだけお伝えしておきます。
今日やっていただきたいのは、志望校の過去問を1年分、通して眺めることです。解かなくて構わないので、ページをめくって、どういう問題が並んでいるかを見るだけで十分。
答えのみを書く形式か、記述があるか、問題数と試験時間はどうか——それだけでも、その学校の癖の輪郭が見えてきます。
模試の判定を眺めているより、この10分のほうが確かでしょう。入試で問われるのは、その1校の問題だけだからです。
9月に判定が届いていないと気持ちが沈みますし、ここまで積み上げてきたものが足りないと言われたように、感じるかもしれません。
ただ、模試が測っているのは全分野の平均であって、その学校に受かるかどうかではない。受けるのは1校なので、その1校の問題に、あと何点分近づけるか——考えるべきは、そこだけになります。
入試までには、まだ18週という時間があります。全部を引き上げるには足りなくても、1校の癖に慣れるには足りる時間です。