1. 早く終わること自体は、悪いことではない
まず、前提を1つ置いておくと、家庭学習が早く終わること自体は、それだけでは問題になりません。
同じ内容を30分で終える子と、2時間かかる子がいたとすれば、前者のほうが処理速度は高いことになりますし、中学受験では試験時間が限られているので、速く正確に処理できることは、そのまま得点力につながります。
ですから、「早く終わった」という事実だけを見て叱るのは、避けたいところで、実際にできている子を叱ってしまうと、次からは時間を引き延ばすようになってしまうでしょう。
見るべきなのは、かかった時間ではなく、終わったあとに何が残っているかのほうで、この記事では、その確かめ方を扱っていきます。
ただし、放置してよいわけでもない
一方で、「早く終わるから大丈夫」と考えるのも、危ういもので、点数が動いていないなら、そこには理由があります。
9月から入試までは約20週で、ここで1日30分の差がついたとすると、週5日で計算して20週間で50時間になり、算数の単元でいえば、15単元分ほどの時間です。
この50時間を「余裕がある」と読むか、「取りこぼしている」と読むかで、秋以降の過ごし方が変わってくるでしょう。
「終わった」の基準が家庭と本人でずれている
もう1つ確かめておきたいのが、「終わった」の意味が、保護者と本人で違っている場合です。
本人は「出された問題を解き終えた」という意味で言っていて、保護者は「理解して身についた」という意味で受け取っている。この2つは別のことですが、同じ「終わった」という言葉になります。
ここがずれていると話は噛み合わず、本人からすれば、言われたことは終えているのに、なぜ追及されるのか分からないし、保護者からすれば、終わったと言うのに点数が動かない。どちらも間違っていないのに、すれ違ってしまうのです。
ですから、最初にやるのは、「終わった」の中身を確かめることになるので、次の章から、その方法を扱っていきましょう。
2. 「すぐ終わる」を4つに分ける
家庭学習がすぐ終わるとき、起きていることは、4つに分けられる。
| 型 | 状態 | 点数への影響 |
|---|---|---|
| ①本当にできている | 内容を理解していて、処理も速い | 問題なし。むしろ強み |
| ②答えを写している | 解答を見ながら書き写している | まったく動かない |
| ③飛ばしている | 分からない問題を空欄のまま進む | 苦手が固定される |
| ④やった気になっている | 手は動いたが、理解が伴っていない | じわじわ下がる |
このうち①以外は手当てが必要になりますが、厄介なことに、4つは見た目では区別がつきません。どれも「30分で終わった」という同じ形をとり、ノートの埋まり方も、机に向かっている様子も、ほとんど変わらないからです。
親から見ると、全部同じに見える
ここがいちばん難しいところで、机に向かっている時間も、ノートの見た目も、本人の様子も、4つの型でほとんど変わらないのです。
そのため、「ちゃんとやったの?」という確認になりがちですが、この聞き方では、答えは返ってきません。本人は「やった」と答えますし、実際に手は動かしているので、嘘をついているわけではないぶん、追及しても平行線になってしまう。
5分で見分ける方法は第7章で示すとして、まずは、4つの型がそれぞれどういう状態なのかを順に見ていくことにして、どの型にあたるかが分かれば、次にやることも決まってくるはずです。
なぜ「早い=手抜き」と思ってしまうのか
保護者の側に、早く終わることへの警戒心が生まれるのには、理由があります。ご自身が受験を経験していれば、勉強は時間をかけるものだ、という感覚が残っているためです。
ところが中学受験の家庭学習は、時間をかければかけるほど成果が出る、という構造にはなっていない。塾のある日は帰宅が21時前後になり、そこから使える時間は1時間ほどしかありません。この限られた時間で、何をやるかが問われる形になります。
むしろ、長時間かかっている場合には、別の問題が起きていることもあるでしょう。1問に30分止まっている、途中で集中が切れて手が止まっている、といった状態で、時間の長さと、努力の量は一致するとは限りません。
3. 型1:本当にできている
最初に、この可能性は除外しないでおきたいところで、実際にできている子は、確かにいます。
見分けるポイント
本当にできている場合は、次のような特徴が出てくる。
- 正答率が高い(8割以上)
- 間違えた問題について、なぜ間違えたかを説明できる
- 模試やテストでも、同じ単元で点が取れている
- 途中式や考えた跡が残っている
とくに分かりやすい指標が4つ目で、答えだけが書いてあって途中が空白なら、①ではない可能性が高くなります。暗算で解けるレベルの問題であれば別ですが、応用問題で途中がないのは、不自然でしょう。
この場合にやること
①だと確かめられたなら、やることは「量を増やす」ではなく、難度を上げるほうが適切です。
同じレベルの問題を足しても、処理速度が速い子にとっては、ただの作業になってしまう。正答率が9割を超えているなら、その教材は卒業していると考えてよいところです。塾の教材の応用問題や、志望校の過去問に進んだほうが、時間の使い方としては効率的になる。
①の子に量を足すと、学習そのものへの意欲が下がることもあります。「早く終わらせても、また追加されるだけ」という学習が成り立ってしまうためで、難度で応えるほうが、本人の納得も得られるでしょう。
4. 型2:答えを写している
次に、いちばん点数に響くこの型は、解答を見ながら書き写している状態で、この場合は、時間をかけても点数はまったく動きません。
なぜ起きるのか
本人が怠けているとは限らず、写すという行動には、たいてい理由があるからです。
- 分からないが、白紙で出すと叱られる
- 終わらないと寝られないと分かっている
- 量が多すぎて、まともにやると終わらない
- 質問できる相手が家にいない
背景にあることが多いのは、とくに3つ目で、処理しきれない量が出ている状態で、なんとか形にしようとした結果、写すという方法にたどり着いています。
見分けるポイント
写している場合、答案には、次のような特徴が出てくる。
| 見るところ | 写している場合 |
|---|---|
| 正答率 | 異様に高い(9割以上)のに、テストでは取れない |
| 途中式 | ない、または模範解答と同じ書き方 |
| 消しゴムの跡 | ほとんどない |
| 誤答の内容 | 写し間違いのような、不自然なミス |
いちばん分かりやすいのが1つ目で、家庭学習の正答率が9割なのに、模試では5割を切る——この差が2回、3回と続いているようであれば、②を疑う理由があります。1回だけであれば、単に模試の範囲が広かったという可能性もあるでしょう。
この場合にやること
まず責めないほうが賢明なのは、写したことを叱ってしまうと、次はもっと巧妙に隠すようになるからです。問題が見えなくなるだけで、状況そのものは良くならない。
やるのは量の見直しで、写さないと終わらない量が出ているなら、その量を減らすことが先になります。塾から出ている課題であれば、優先順位をつけて減らす相談が要るでしょう。
課題の量が処理能力を超えている場合の対処については、中学受験6年生で成績が下がる3つの原因で、詳しく扱っています。
5. 型3:分からない問題を飛ばしている
3つ目は、解ける問題だけを解いて、分からない問題は空欄のまま次に進む型です。
これは②より見つけやすい形で、空欄が残っているため、見れば分かります。ただし、見過ごされやすい面もある。
なぜ見過ごされるのか
ノートを開いたとき、目が行くのは、埋まっている部分のほうです。空欄は「まだやっていない」と受け取られやすく、後でやるものだと思われがちです。ところが実際には、そこで終わっているのです。
そして、飛ばされる問題には偏りが出てきて、同じ単元、同じ形式の問題が繰り返し飛ばされていることが多く、これが、苦手の固定につながっていく。
見分けるポイント
空欄になっている問題を、3回分ほど並べてみると分かります。同じ単元に集中していれば、③にあたります。ばらついているようなら、単に時間切れの可能性が高いでしょう。
この場合にやること
飛ばしていること自体は悪いことではなく、分からない問題で30分止まるより、飛ばして先に進むほうが効率的な場面もあります。
問題になるのは、飛ばしたあとに戻っていないことのほうです。「飛ばしてもいいが、印をつけておく」という運用に変えると解決します。印がついていれば、あとでまとめて質問できるからです。
そのうえで、印が同じ単元に集まっているなら、そこが弱点だと分かる。3回分の記録があれば、どの単元に手を入れるべきかが特定できます。
飛ばす癖がついている場合
③が続いていると、飛ばすこと自体が習慣になることもあります。少し考えて分からなければ、すぐ次へ進む——この形が定着すると、粘って考える経験が積み上がりません。
中学受験の入試問題、とくに最難関校では、初見の問題を前にして、考え続ける力が問われる。普段から3分で見切りをつける習慣がついていると、本番でも同じことが起こります。
ですから、飛ばす基準は決めておきたいところで、「5分考えて分からなければ飛ばす」という形にすると、考える時間は確保されます。時間を計るのが難しければ、砂時計やタイマーを机に置く方法もあるでしょう。
逆に、10分も20分も1問で止まっているようであれば、それは飛ばすべき場面で、止まる時間の上限を決めておくことが、両方の意味で効いてきます。
6. 型4:やった気になっている
最後の、いちばん分かりにくい型は、手は動いていて、答えも自分で書いているのに、理解のほうが伴っていないという状態です。
どういう状態か
典型的なのは、解き方を覚えて当てはめているだけの場合で、同じパターンの問題は解けますが、少し形が変わると手が止まる。
本人に自覚がないことが多く、「やった」という感覚は本物なので、聞いても「分かった」と答えますが、嘘をついているわけではありません。
見分けるポイント
確かめ方は1つで、解いた問題について、なぜその方法で解いたのかを説明させてみることです。
④の場合は、「こうやるって習ったから」「そういう問題だから」という答えになり、方法は言えても、理由は言えない。
①の場合は、「ここが分からないから、まずこれを求めて」という順序で説明できるので、この差ははっきり出てくるでしょう。
この場合にやること
この場合は解き直しの形を変えることになり、同じ問題をもう一度解くだけでは、同じ手順をなぞるだけで終わります。
そのうえで効いてくるのは、次の2つの方法でしょう。
- 数字を変えて解かせる——同じ問題の数値だけを変える。手順を覚えているだけなら、ここで詰まります
- 解説を閉じて、白紙に書かせる——見ながら書けても、閉じると書けないことがあります
解き直しの深さについては、9月の過去問で点数が取れないときでも、扱っています。
4つが混ざっていることもある
ここまで4つの型に分けて書いてきましたが、実際には、科目によって型が違うことがあります。算数は④なのに、社会は③という具合です。
とくに起きやすいのが、得意科目は①で、苦手科目は②か③という組み合わせです。得意な科目は本当に早く終わり、苦手な科目は写すか飛ばすかで形だけ整えるので、全体としては「早く終わる子」に見えてしまう。
ですから、見分けるときは、科目ごとに確かめてください。1教科だけ見て「うちの子は①だ」と判断すると、苦手科目で起きていることを見落としてしまいます。
時期によっても変わる
もう1点、型は固定ではなく、9月に①だった子が、11月に④になることもあります。単元が難しくなり、これまでの解き方が通用しなくなったときに、起こるものです。
秋以降は扱う内容が応用に寄っていくので、月に1度は確かめ直すくらいの頻度が、現実的でしょう。前に見たときは大丈夫だった、という前提で進めると、変化を見逃してしまう。
7. どの型かを、5分で見分ける
ここからは、4つの型を実際に見分けるための、5分ほどで済む手順を示しておきます。
手順
- 終わったノートを開く——空欄があるかを見る(あれば③)
- 途中式が書かれているかを見る——ないなら②の可能性
- 正解している問題を1つ選ぶ——できれば応用問題を
- 「これ、どうやって解いたか教えて」と聞く
- 説明の中身で判断する
要点になるのは5つ目で、判断の基準は、次のようになる。
| 返ってくる答え | 型 |
|---|---|
| 順序立てて説明できる | ①本当にできている |
| 答えは言えるが、途中が説明できない | ②写している |
| 「こうやるって習ったから」 | ④やった気になっている |
| その問題を飛ばしていた | ③飛ばしている |
聞き方に注意する
ここで大切になるのが聞き方で、「本当にやったの?」「写したんじゃないの?」という聞き方は避けたいところです。
疑いから入ると本人は身構えてしまい、写していた場合は隠しますし、写していなかった場合は不信感が残るので、どちらに転んでも、次の家庭学習が重くなります。
代わりに、「これ、どうやって解いたか教えて」と聞いてみてください。教えてもらうという形にすると、本人は説明しようとするからです。その説明の中身で、どの型かを判断できるでしょう。
この方法の利点は、本人を疑わずに済むことにあります。説明できれば褒められますし、できなければそこが手当ての対象になるので、どちらの結果でも、責める場面にはならない。
学年によって、見方が変わる
ここまでの話は6年生を想定していますが、学年によって、重みが変わる部分もあります。
| 学年 | 起きやすい型 | 見方 |
|---|---|---|
| 4年生 | ③飛ばしている | まだ質問する習慣がない。印をつける運用から |
| 5年生 | ④やった気になっている | 内容が抽象的になる時期。説明させる習慣を |
| 6年生 | ②写している | 量が増える時期。処理能力との差を見る |
4年生と5年生の段階では、まだ修正が利きます。この時期に、「分からない問題に印をつける」「解いた方法を説明する」という習慣がついていれば、6年生になったときに、②が起きにくくなるでしょう。
逆に、6年生で②が出ている場合は、背景に量の問題があることが多いものです。低学年からの習慣というより、いまの課題量との関係で見るほうが実態に合います。
8. 丸つけは、誰がやるのか
「すぐ終わる」という状態と直結するのが、丸つけの扱いです。ここは判断が分かれるところなので、整理しておきましょう。
| 本人がやる | 保護者がやる | |
|---|---|---|
| 利点 | その場で間違いに気づける | 写しや飛ばしを把握できる |
| 難点 | 答えを見る流れができる | 保護者の時間がかかる |
| 向く場面 | ①の子、高学年で自走できる子 | ②③④が疑われる場合 |
現実的な落としどころ
すべてを保護者が丸つけするのは、時間的に難しいご家庭が多いところでしょうから、現実的なのは、教科を絞る形になります。
いちばん効率的なのは、算数だけ保護者が見る、という運用で、理由は2つあります。
1つは算数が最も配点の大きい科目であることで、もう1つは、途中式が残るため、写しや理解不足が見えやすいことです。国語や社会は、答えだけを見ても、理解の深さが判断しにくいのです。
答えを渡すかどうか
解答冊子を本人に渡すかどうかも、悩まれるところでしょう。
渡さない運用にすると、②は物理的に起きなくなりますが、分からない問題で長時間止まるという別の問題が出てきます。とくに、塾のない日に4時間台の学習をする場合、質問できないまま止まると、その時間が失われてしまう。
折衷案としては、「解いたあとに渡す」という運用があります。まず全部解いて、それから解答を渡して丸つけをさせる——この順序であれば、写しは起きにくくなるでしょう。
本人に丸つけをさせる場合の条件
本人に丸つけを任せる形にする場合は、1つだけ条件があります。間違えた問題を、そのままにしない仕組みを作っておくことです。
丸つけをして、バツをつけて、そこで終わる——この形だと、丸つけの意味がありません。バツがついた問題こそが、その日の学習の中身になります。
現実的な運用としては、間違えた問題に印をつけて、翌日にもう一度解くという形になる。1日置くのは、その場で解き直すと、直前の解説を覚えているだけになってしまうためです。
翌日に解けたなら身についていますし、解けなければ、そこはまだ理解が足りていない。この1往復があるかどうかで、家庭学習の密度が変わってきます。
9. 時間ではなく、量で管理する
「すぐ終わる」という言い方そのものが、時間で管理していることを示しています。ここを切り替えると、状況はかなり整理されるでしょう。
時間管理の問題点
「1時間やりなさい」という指示では、時間を埋めることが目的になってしまいます。早く終わった子は余った時間をどうするか分かりませんし、遅い子は、終わらないまま時間切れになる。
そして、時間で管理していると、「終わった」の意味があいまいになります。時間が来たから終わったのか、内容が終わったのかが、区別できないのです。
量で管理する形
切り替え方そのものは単純で、「この3ページ」「この10問」という形で、終わりを内容のほうで決めます。
| 時間管理 | 量管理 | |
|---|---|---|
| 指示 | 1時間やる | この10問を解く |
| 早く終わったら | 時間が余って手持ち無沙汰 | 終わり。自由時間になる |
| 終わらなかったら | 時間切れで曖昧に終わる | 残りが見える |
| 本人の動機 | 時間を潰す | 速く終わらせる |
量で管理すると、早く終わることが本人の得になります。時間で管理していると、早く終わっても得がなく、むしろ追加されるだけでしょう。
量の決め方
最初は、いまのペースから逆算する形になり、30分で終わっているなら、その内容が、現在の1回分だということです。そこから増やすかどうかは、第7章で型を見分けてから決めていく。
①だと分かれば難度を上げ、②③④なら、量ではなく質を変える。いずれにしても、単純に量を増やす方向にはなりません。
量を減らす判断もある
量で管理するように切り替えたとき、いまの量が本人の処理能力を超えていると分かる場合もあり、その場合は、減らすという判断が必要になります。
塾から出る課題は、クラス全体に向けて出されているので、個々の生徒にとって、適量とは限りません。上位クラスの課題量が、いまの本人には多すぎる、ということも起こるでしょう。
減らす場合は優先順位が要るので、判断の目安を、次にまとめておきます。
| 優先度 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | 翌日の授業で扱う内容の予習・復習 | やらないと授業が分からなくなる |
| 高 | 間違えた問題の解き直し | ここが点数に直結する |
| 中 | 計算・漢字などの毎日の課題 | 量を半分にしても続けるほうがよい |
| 低 | すでに正解できている単元の演習 | 作業になっている可能性がある |
削るのであれば下から削っていくことになり、とくに4つ目は、時間だけかかって得点への効果が薄い部分です。正答率が9割を超えている単元の演習は、いったん止めても、影響が出にくいものです。
10. 「終わった」と言われたときの一言
最後に、日々の場面での声のかけ方についても、触れておきます。
「終わったよ」と言われたとき、最初に出る言葉で、そのあとの空気が決まってくる。
| 避けたい | 代わりに |
|---|---|
| 「もう終わったの?」 | 「どこまでやった?」 |
| 「本当にやったの?」 | 「どれがいちばん難しかった?」 |
| 「ちゃんと見直した?」 | 「間違えたのはどれ?」 |
左は疑いから入る言い方で、本人からすると、「信じてもらえていない」という受け取り方になります。右側は、内容を聞く形になっている。
使いやすいのはとくに2つ目で、「いちばん難しかったのはどれ?」と聞くと、その問題について話が始まります。そこで説明させれば、第7章の見分けが、そのままできます。
早く終わったことを、まず認める
そのうえで、早く終わったこと自体は、まず認めたいところです。「早いね」と言ってから、内容の話に入る——この順序であれば、本人も責められているとは感じないでしょう。
もし②や④だと分かった場合も、その場で指摘する必要はありません。翌日の学習の組み方で対応すれば足ります。その場で追及すると、次から「終わった」と言わなくなってしまう。
本人が「もう分かってる」と言う場合
説明を求めたときに、「もう分かってるから」と言って、説明したがらないこともありますが、この反応にも、意味があるのです。
本当に分かっている場合、説明することは苦になりません。むしろ得意な内容であれば、聞かれると話したがるものです。説明を避けるということは、説明できない自覚がある可能性もある。
ただし、ここで問い詰めるのは避けたいところで、思春期に入る時期でもあり、親に説明すること自体が気恥ずかしいという場合もあります。
その場合は聞き方を変えて、「教えて」ではなく「この問題、お母さん分からないんだけど」という形にすると、説明する側に回りやすくなります。教える立場になると、話し始める子は多いものです。
11. この切り分けを、誰と一緒にやるか
ここまでの手順はご家庭でも進められるもので、ノートを開き、途中式を見て、説明させる——この5分で、4つの型は見分けられるでしょう。
難しくなるのは、②や④だと分かったあとの手当てのほうです。
写している場合は、量を減らす必要がありますが、塾から出ている課題のうち、どれを削ってよいかの判断には、志望校の出題を知っている必要があります。頻出単元の課題を削ってしまうと、別の問題が起きてしまう。
やった気になっている場合も、どこまで戻るかの判断が要る。解き方を当てはめているだけなら、その単元の基礎まで戻ることになりますが、どこまで戻れば足りるかは、本人の答案を見ないと決まりません。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただく場合にうかがうのは、1週間の家庭学習の時間、塾から出ている課題の量、直近の模試の結果、そしてノートの状態、といったところ。ここから、どの型にあたるのかと、次にやることをお返しします。
いまの進め方で問題ないと判断される場合は、そうお伝えしますし、その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
ここまで読んで、どれが近いですか
家庭学習について、よくうかがうのがこの5つです。当てはまるものはありますか。
- 写している疑いはあるが、どう声をかければいいか分からない責めずに確かめる聞き方と、そのあとの量の調整をご案内します。
- 塾の課題が多すぎて、削ってよいものが分からない志望校の出題から、優先順位をつけて仕分けます。
- 説明させてみたが、どう判断すればよいか迷う実際のやりとりを教えていただければ、どの型かをお伝えできます。
- 4つの型の見分け方を知りたいこの記事の第7章に5分の手順があります。相談は不要です。
- 丸つけを誰がやるべきか知りたい第8章に判断材料をまとめています。まずはご家庭で試してみてください。
「早く終わるのが気になる」。学年と、いまの学習時間だけでもお話をうかがえます。
それでも、一度お話を聞かせてください
型を見分けるところまではできそうだと思われたかもしれません。ただ、そのあとの手当てで手が止まったかもしれません。
9月から入試までは約20週です。1日30分の差が、20週で50時間になります。いま起きていることが②や④であれば、その50時間は積み上がりません。ここが惜しいところです。
学年と、1週間の家庭学習の時間を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。いまの進め方で問題ないと判断される場合は、そうお伝えします。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
次のものがあると整理が速くなりますが、写真で撮ったもので十分でしょう。
- 家庭学習のノート(算数が分かりやすいです。1回分で結構です)
- 塾から出ている今週の課題
- 直近の模試の結果
- 1週間の家庭学習の時間
とくに判断に効くのが1つ目で、途中式の残り方と空欄の位置を見れば、どの型かはおおむね分かるからです。正答率だけでは、写しと実力の区別がつかない。
まとめ:早さより、残ったものを見る
この記事の要点
- 早く終わること自体は問題ではない。処理速度が高いこと自体は強みになる
- 見るべきは時間ではなく、終わったあとに何が残っているか
- 「すぐ終わる」の中身は4つに分かれる(できている/写している/飛ばしている/やった気)
- 4つは見た目では区別がつかない。説明させると分かる
- 写している場合、責めると隠れるだけ。量が処理能力を超えていないか確かめる
- 飛ばすこと自体は悪くない。印をつけて戻る運用にする
- 「やった気」は数字を変えて解かせると分かる
- 丸つけは算数だけ保護者が見る形が効率的
- 時間管理から量管理に切り替えると、早く終わることが本人の得になる
- 「もう終わったの?」ではなく「どこまでやった?」から入る
今日できること
最後に、もう1つだけお伝えしておきます。
今日、家庭学習が終わったあとに、ノートを開いて途中式を見てみてください。それだけで、②の可能性は、かなり絞れるはずです。
そのうえで、正解している応用問題を1つ選んで、「これ、どうやって解いたか教えて」と聞いてみる——かかる時間は、5分ほどです。
説明できたなら心配は要りませんし、できなかったなら、そこが手当ての場所になる。どちらにしても、今日の5分で次にやることが決まります。
早く終わること自体を、責める必要はなく、確かめるべきは、終わったあとに何が残っているかだけです。そこが分かれば、量を増やすのか、難度を上げるのか、量を減らすのかという判断も、ついてくるでしょう。