1. 結論:洛南の最初の判断は「専願か併願か」

洛南高等学校附属中学校の対策を考えるとき、算数の解法や国語の記述より先に、決めておかなければならないことがあります。専願で出願するか、併願で出願するかです。

この選択で合格に必要な点数が変わってくるので、学校が公表している令和8年度の入学試験状況を見てみてください。

令和8年度 洛南高等学校附属中学校の合格点

  • 専願——男子221点/女子235点
  • 併願——男女とも260点

※400点満点。洛南高等学校附属中学校が公表している令和8年度入学試験状況による。

専願の男子と併願を比べると、その差は39点で、400点満点に対して約10%にあたります。算数の大問1つ分から2つ分に相当する差が、出願書類の記入の段階でついているということです。

ただし、点数の有利さだけで専願を選ぶことはできません。専願は、合格した場合に入学することを前提とした区分だからです。この判断は得点戦略の前に、進路の意思決定として先に済ませておいてください。

※出願区分の詳しい条件は年度により変わることがあります。学校の募集要項でご確認ください。

なぜこの判断を最初に置くのか

順序の話をもう少ししておくと、多くのご家庭は、志望校が決まると過去問を買い、算数の傾向を調べるところから始めますし、それは自然な流れで、間違いでもない。

ただ洛南の場合は、その前に決めるべきことがあって、目標点が区分によって39点も動くためです。221点を目指す学習と260点を目指す学習とでは、詰める場所が変わってきます。前者は取りこぼしを減らす作業が中心になり、後者は難問での上積みも要るでしょう。

ここが決まらないまま演習を積むと、11月や12月になって「思ったより点が要る」と気づくことになり、そこから方向を変えるのは、残り時間を考えると重い作業です。出願区分は事務手続きではなく、学習設計の起点だと考えるほうが確かです。

2. 入試の骨格を数字で押さえる

対策の話に入る前に、試験の形を、数字で押さえておきましょう。

科目時間3教科型の配点4教科型の配点
国語60分150点150点
算数70分150点150点
理科45分100点50点に換算
社会45分—50点に換算
合計—400点400点

3教科型と4教科型のどちらを選んでも、400点満点に揃えられます。片方の型が有利になる仕組みは、設けられていない。

受験者と合格者の数

区分男子女子合計
出願者数629名273名902名
受験者数557名265名822名
合格者数205名91名296名
実質倍率約2.72倍約2.91倍約2.78倍

※令和8年度。実質倍率は受験者数を合格者数で割った値。

出願から受験までに80名が受けていないのは、統一日の前半で進路が決まったご家庭が抜けたためと見ていて、この点は、後の章で扱う日程の話につながってきます。

3. 専願と併願で、合格点が39点違う

もう一度、合格点の数字を並べてみます。

区分合格点(400点満点)得点率
専願・男子221点約55%
専願・女子235点約59%
併願・男女260点65%

この39点という差を、実際の得点に置き換えて考えてみましょう。

算数は150点満点で、大問が8題前後で構成されているので、1題あたりおよそ18点から20点の計算になります。39点は、算数の大問2題分に相当します。本番で大問2題を落としても、専願なら届く可能性が残る、ということです。

39点を、他の科目に置き換えると

算数以外でも見ておくと、国語も150点満点なので、記述問題1問が10点前後だとすれば、39点は記述3問から4問分。理科(3教科型100点)なら、大問1つ分を丸ごと落とした計算に近くなります。

あるいは、全科目に分散させて考えることもできます。国語で13点、算数で13点、理科で13点。各科目でこれだけの差が許容されるということで、1科目あたりで見ると小さく感じても、この積み重ねが合否を分けていく。

逆の見方をすれば、併願で受ける場合は、専願の受験生より各科目で13点ずつ多く取る必要があるわけです。同じ問題を解いて、同じ教室で受けて、要求される水準が違う。この事実を知らずに併願で出願すると、目標の置き方が甘くなってしまいます。

この差を、どう受け止めるか

数字だけを見れば専願が有利ですが、扱いを間違えると危険な情報でもある。

専願で出願するということは、合格したら入学するという前提に立つことです。ほかの学校を第一志望としながら、点数の有利さだけを取りにいくことはできません。

したがって判断の順序としては、まず、洛南に進学する意思が固まっているかどうかを決め、固まっているなら専願を選んで、その合格点から逆算した対策を組む。固まっていないなら併願を選び、260点を目標に置く。点数から進路を決めるのではなく、進路を決めてから点数の目標を置いておきます。

この判断は出願の直前に迷いやすい部分なので、学校説明会や文化祭に足を運んで、お子さまの反応を見ておくと、11月から12月の判断が軽くなります。実際に校舎を見て「ここに通いたい」と本人が言えるかどうかは、点数以上に確かな判断材料になるはず。

4. 男子と女子で、合格ラインが違う

もう一つ、洛南の特徴として押さえておきたいのが、男女の違いです。

専願の合格点は、男子221点に対して女子235点で、その差は14点でした。併願では男女とも260点で同じなので、差がついているのは専願の枠ということになる。

実質倍率も、男子が約2.72倍なのに対して、女子は約2.91倍です。数字の上では、女子のほうが厳しい条件になっています。

なぜこうなっているか

洛南は2013年に高校が男女共学化され、附属中学校も男女を募集している。ただし、合格者数は男子205名・女子91名と男子が2倍以上なので、募集の設計上、男女で枠が分かれているものと見ています。

受験を考えるご家庭にとって効いてくるのは、理由よりも目標点の置き方のほうです。女子のお子さまが専願で出願する場合、目標は221点ではなく235点になる。この14点は、算数の大問1題分に近い差なので、軽く見ないでください。

※男女別の合格点は年度により変動します。最新の数値は学校の公表資料でご確認ください。

5. 統一日3日目という位置が意味すること

洛南の入試は、関西の統一解禁日から3日目に1日だけ実施されていて、この位置には意味があります。

日程主な実施校形式
統一解禁日(1日目)灘・甲陽学院 ほか2日間入試の初日
2日目灘・甲陽学院 ほか2日間入試の2日目
3日目洛南・東大寺学園1日で完結

※実施日は年度により変わります。各校の募集要項でご確認ください。

ここから、2つのことが読み取れるでしょう。

灘・甲陽との併願は日程上可能

1日目と2日目に灘や甲陽学院を受験したお子さまが、そのまま3日目に洛南を受けられます。実際、洛南の併願層にはこの流れで来る受験生が含まれていて、併願の合格点が260点と高めに設定されているのは、この層が受けにくることと無関係ではないでしょう。

東大寺学園とは同じ日

一方、東大寺学園中学校も3日目なので、この2校は同時に受験できません。関西の最難関校を志望する場合、ここが併願を組むうえでの分岐点になります。

洛南と東大寺のどちらを選ぶかは、出題の相性、通学のしやすさ、校風、そして専願・併願の扱いで判断することになる。東大寺学園については別記事で扱っていますので、あわせてご覧ください。

3日目に受けるということ

もう一点、3日目という位置には、受験生本人にとっての意味もあります。

1日目と2日目にほかの学校を受けている場合、洛南を受ける時点で結果が出ていることがあります。合格していれば気持ちが軽くなりますし、不合格であれば重くなる。どちらにしても、平常心で臨むのは簡単ではないでしょう。

ここで効いてくるのが、前もって「どちらの場合もある」と話しておくことで、前日の夜に結果を見るかどうかも含めて、ご家庭で決めておきたいところです。当日の朝になって初めて向き合うより、秋のうちに一度話しておくほうが、本人の負担は軽くなります。

3日間の体力設計

灘や甲陽を受けてから洛南に向かう場合は、3日連続で本番に臨むことになります。小学6年生にとっては、相当な負荷になるでしょう。

実際、出願者902名に対して受験者は822名で、80名が受験していません。前半で進路が決まったご家庭もあれば、体力的に難しいと判断されたご家庭もあるはずです。3日連続で受けるという前提を、秋のうちに一度シミュレーションしておいてください。模試を3週連続で入れてみるだけでも、お子さまの様子は見えてくる。

6. 3教科型と4教科型——平均点が語る選び方

洛南は、3教科型(国・算・理)と4教科型(国・算・理・社)を選べます。どちらも400点満点で、合格判定に区別はありません。

では、どちらを選ぶかというと、学校が公表している合格者の平均点に、答えのヒントがあります。

科目3教科型の平均4教科型の平均差
国語96.2点100.9点4教科型が+4.7点
算数95.4点85.3点3教科型が+10.1点
理科67.4点62.0点3教科型が+5.4点
社会—74.0点—
総合259.0点254.1点3教科型が+4.9点

※令和8年度 合格者平均点。理科の平均点は素点による。

この表がはっきり示していることがあって、3教科型を選んでいるのは、算数が得点源になっている層です。算数で、10.1点の差がついている。

逆に4教科型の合格者は、国語で3教科型を4.7点上回っていて、社会も74.0点と高い水準です。国語と社会で積み上げるタイプの受験生が、4教科型を選んでいるという構図が見えてきます。

社会74.0点という数字の意味

4教科型の合格者は、社会で74.0点を取っています。これは100点満点での素点なので、得点率は74%。

4教科型では社会が50点に換算されるので、400点のうち12.5%の比重になります。比重は小さいのですが、合格者はここで7割以上取っています。「社会は配点が低いから手を抜ける」という読み方は、この数字を見る限り成り立たない。

むしろ逆で、社会は努力量が比較的そのまま点になる科目です。算数のように解けるか解けないかで大きく振れることが少ないぶん、安定した得点源として計算でき、4教科型を選ぶご家庭は、この安定性を武器にしている構図が見えます。

判断の基準

迷った場合は、模試の科目別偏差値を並べてみてください。算数がほかより明確に高いなら3教科型、社会が安定しているなら4教科型が向いているでしょう。ただし出願後の変更はできませんので、判断は11月までに済ませておくほうが確かです。

7. 算数70分・150点をどう使うか

洛南の算数は70分で150点で、ほかの最難関校と比べて時間が長めに設定されています。ただし、これは「余裕がある」という意味ではありません。

大問は8題前後、小問を含めると25問程度が出題されるので、単純計算で1問あたり2分半から3分。思考力を要する問題が含まれることを考えると、前半をどれだけ速く抜けるかが後半の余裕を決めます。

合格者の算数平均は95.4点(3教科型)

150点満点で95.4点なので、得点率は約64%です。満点を取る必要はありません。3分の1は落としても、合格者の平均に届く。

一方、公表されている算数の最低点は48点で、得点率は32%でした。算数が大きく崩れても、ほかの科目で補えば合格に届いた受験生がいるということです。洛南は1科目の失敗が即座に不合格につながる設計にはなっていません。ここは、受験前日に伝えておく価値のある情報でしょう。

70分という時間の使い方

70分を実際にどう配分するか、目安を示しておきます。

配分内容目安
前半取り組みやすい大問を取り切る25分
中盤標準レベルの大問25分
後半思考力を要する大問に挑む15分
見直し計算ミスの確認5分

※問題構成は年度により変わります。過去問で実際の配分を確認してください。

この配分で効いてくるのは、後半に15分を残すことです。思考力問題は、5分では手がつかないので、前半で時間を使いすぎると、後半の大問が「解けなかった」ではなく「読めなかった」で終わってしまう。

秋の演習では、点数より先に、この時間配分が守れているかを見てください。守れていないなら、前半の処理速度を上げる練習が優先です。

手をつける順序

前半の大問は、取り組みやすい問題で構成される傾向があります。ここを取り切って、後半の難問に時間を残す形が基本になるでしょう。

とくに注意したいのが、計算問題で工夫が必要な設問で、そのまま計算すると時間がかかる設計になっていることがあります。素因数分解や部分分数分解といった処理を、手が勝手に動くところまで練習しておいてください。

8. 国語60分・150点——4教科型が上回っている理由

専願と併願の判断について迷われる場合は、教育相談フォームから一言お寄せください。

国語は60分で150点で、算数と同じ配点でありながら、時間は10分短く設定されている。

興味深いのは、合格者平均で4教科型(100.9点)が3教科型(96.2点)を上回っている点で、国語は型の選択に関係なく同じ問題を解くにもかかわらず、差がついています。

これは、4教科型を選ぶ受験生に、「文章を読んで処理する力」が高い層が多いことを示しているのでしょう。社会も文章と資料の読み取りが中心なので、この2科目は同じ力の上に乗っているわけです。

国語で取りこぼさないために

公表されている国語の最低点は64点、得点率にして約43%で、合格者平均は3教科型で96.2点(約64%)ですから、この30点あまりの幅が、合否を分ける現実的な範囲ということになります。

60分という時間を考えると、読み直す余裕はほとんどない。1回読んで根拠を押さえる読み方を、秋までに身につけておいてください。設問を先に読み、本文を読みながら根拠に線を引く——この手順を固定するだけで、時間の使い方が変わってきます。

記述の分量に備える

洛南の国語では記述が出題されるので、60分という時間のなかで、読解と記述の両方を処理する必要が出てきます。

ここで効くのが、書き始めるまでの速さです。設問を読んでから何を書くか決めるまでに3分かかる子と、1分で決まる子とでは、同じ記述量でも残り時間がまったく変わってくる。

この差を縮めるには型を持つことで、「理由を問われたら、本文の根拠+因果関係+結論の順で書く」といった手順を決めておくと、迷う時間が消えます。秋までにこの型を固めておくと、60分の使い方が安定します。

9. 理科は、型によって配点が倍違う

洛南の設計で、見落とされやすいのが理科です。

型理科の配点400点に占める割合
3教科型100点25%
4教科型50点に換算12.5%

3教科型を選ぶと、理科の重みが倍になります。試験時間は同じ45分で、解く問題も同じですが、1問の価値が変わるということ。

ここが3教科型を選ぶ際の落とし穴で、「社会を捨てられる」という理由だけで3教科型を選ぶと、理科の失点が2倍の重さで返ってきます。

3教科型を選ぶなら、算数だけでなく、理科の計算分野——力学、電流、溶解度、天体の計算——まで仕上がっている必要があるでしょう。合格者の理科平均は3教科型で67.4点、7割弱です。ここを下回ると、算数でよほど稼がない限り厳しくなってしまう。

10. 地域別の合格率が示すこと

洛南は学校が地域別の状況を公表していて、これはほかの学校ではあまり見られない情報で、併願を組むうえで参考になります。

地域出願者合格者合格率
大阪府296名100名約33.8%
兵庫県220名78名約35.5%
京都府210名66名約31.4%
滋賀県69名25名約36.2%
奈良県38名7名約18.4%
その他69名20名約29.0%

※令和8年度。合格率は合格者数を出願者数で割った値。

合格率はどの地域も3割前後

まず全体を眺めてみると、奈良県を除けば、どの地域も合格率は3割前後に収まっていて、地域によって有利・不利があるわけではありません。

この事実は意外と知られておらず、「京都の学校だから京都の受験生が有利なのでは」と考えられることもありますが、数字を見る限り、そうした傾向は出ていない。京都府の合格率31.4%は、むしろ兵庫県の35.5%を下回っています。

受験者の分布が示す、洛南の位置

もう一つ、この表から分かることがあって、出願者902名のうち、京都府以外からが692名。全体の約77%です。

京都の学校でありながら、受験生の4人に3人以上が府外から来ているわけで、これは洛南が地域の学校ではなく、関西全体から受験生を集める学校であることを示しています。

この構図は入学後の環境にも関わっていて、同級生が大阪・兵庫・滋賀・奈良から集まるということなので、通学時間が長い生徒が一定数いる前提で、学校生活が組まれている。「うちだけが遠い」という状況にはなりにくいと考えてよいでしょう。

兵庫県からの受験は珍しくない

京都の学校でありながら、出願者数は大阪府に次いで兵庫県が2番目で、京都府の210名を上回っていて、合格者も78名出ている。

なお、兵庫県から京都市南区への通学は、JR京都駅から徒歩圏という立地に支えられていて、神戸や阪神間からでも、新快速で京都駅まで出れば通える範囲です。「京都の学校だから遠い」と最初から候補から外す必要はありません。ただし所要時間は住まいによって大きく変わるので、実際の経路で確かめておいてください。

奈良県の合格率が低い理由

奈良県は出願38名に対して合格7名、合格率18.4%と、ほかの地域より低くなっています。

これは、奈良のお子さまの学力が低いという話ではなく、同じ3日目に東大寺学園があるためです。奈良の受験生の多くは東大寺を選ぶので、洛南に出願する層の構成が、ほかの地域と違っているのだと見ています。

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11. 合格最低点221点から逆算する

専願・男子の221点を例に、目標点を科目ごとに割り振ってみましょう。

科目配点目標得点率
国語150点85点約57%
算数150点85点約57%
理科(3教科型)100点60点60%
合計400点230点約58%

※専願・男子の合格点221点に対して、9点の余裕を持たせた配分例です。

つまり、各科目6割弱で届く計算になり、満点を狙う必要はありません。この事実は、お子さまに伝えておく価値があるでしょう。「洛南は難しい」という漠然とした印象が、具体的な目標点に置き換わるからです。

一方、併願で受ける場合は260点が目標になり、同じ配分で言えば、国語100点・算数100点・理科60点です。専願との差39点は、国語と算数で15点ずつ積み増す作業と考えると、やることが具体的になります。

どの科目で積むかは、お子さまによる

上の配分はあくまで均等に割った例で、実際には、お子さまの得意不得意に合わせて組み替えていく。

たとえば算数が武器なら、算数105点・国語70点・理科55点で230点、逆に国語が安定しているなら、国語105点・算数70点・理科55点で同じ230点です。合計が届けばよいので、苦手科目を平均まで引き上げる必要はありません。

ただし、1つだけ注意があって、どの科目も、最低ラインは切らないことです。公表されている科目別最低点は国語64点、算数48点、理科42点で、この水準を下回ると、ほかの科目でよほど稼がない限り厳しくなる。得意科目に寄せる設計は有効でも、苦手科目を捨てる設計は成り立ちません。

女子の場合

専願・女子は235点が目標で、国語90点・算数90点・理科55点で235点に届きます。男子との差14点は、1科目あたり5点弱の上積みにあたる。

この時期に、洛南の名前が出てくるご家庭

洛南が候補に挙がるご家庭には、いくつかの経路があります。

一つは、灘や甲陽学院を第一志望としてきて、3日目の受験校として検討する流れで、この場合、対策としては第一志望の演習がそのまま生きます。洛南固有の準備は、出願区分と受験型の判断が中心になるでしょう。

もう一つは、洛南を第一志望として組んできた流れで、この場合、専願という選択肢が現実的に見えてきます。合格点が39点下がるという事実は、この層にとって大きな意味を持ちます。秋の模試で届いていない状態でも、専願なら射程に入ることがある。

三つ目は、秋になって志望校を組み替える流れで、9月から11月にかけて、当初の第一志望が厳しいと判断されたご家庭が、日程と難易度から洛南に目を向けることがあります。この場合は残り時間が限られるので、過去問との相性を早めに確認してください。洛南の算数は70分と長く、じっくり考えるタイプの子に向いていて、処理速度で押すタイプの子とは、相性が分かれます。

12. 夏から本番までの設計

統一解禁日を1月中旬とすると、8月上旬からの残り日数はおよそ160日、週にして23週。洛南は3日目実施なので、実際の受験日は、そこから2日後になります。

時期やること
8月算数の頻出単元を仕上げる/理科の計算分野を固める
9月過去問を1年分解いて現在地を測る/3教科か4教科かを検討開始
10月過去問を本格化/専願・併願の意思を家庭で話し合う
11月受験型と出願区分を確定/併願校の日程を確定
12月出願/3日連続受験の体力シミュレーション
1月本番

この表でいちばん効いてくるのは11月で、3教科か4教科か、専願か併願か——この2つを11月中に確定させておかないと、12月の過去問演習の方向が定まりません。

過去問の使い方

洛南の過去問は、9月に1年分解いて現在地を測るところから始めます。このとき、点数だけを見ないようにしたいところで、見るべきは「時間が足りたか」です。算数70分・国語60分という時間設定に対して、最後まで手が届いたかどうか。

ですから、時間が足りていない場合は、解法の追加より、処理速度の改善が先です。前半の易しい問題を短縮するだけで、後半の状況は変わってくる。

10月以降は受験する型に合わせて演習し、3教科型で出願するなら社会の演習は要らなくなるので、その時間を算数と理科に回しておきたいところです。型を早く決めるほど、この時間の配分が有利になります。

併願校をどう組むか

洛南を受けるご家庭にとって、併願の組み方は、3日目という位置に左右される。

1日目と2日目に灘や甲陽学院を受ける場合は、3日目の洛南で3連戦になり、洛南は「まだ結果が出ていない可能性のある1校」として機能します。一方、1日目に別の学校を受けて合格を確保しておくと、3日目を落ち着いて迎えられるでしょう。

どちらが正しいということはなく、お子さまが結果に左右されやすいタイプかどうかで判断してください。結果を気にしにくい子であれば3連戦でも崩れませんが、引きずるタイプであれば、先に1つ合格を持っておく設計のほうが安全です。

関西圏外の学校が、12月から1月上旬に関西で入試を実施することもある。前受けとして受験すると、統一日を迎える前に一度本番を経験できるので、3日連続を予定しているご家庭では、この経験が効いてくるかもしれません。

13. 塾との噛み合わせと、個別を入れるなら

集団塾の最難関コースは、灘や甲陽学院を軸に組まれていることが多く、洛南の対策として不足しがちなのは、次の部分です。

いずれも「解法を教える」こととは別の領域なので、洛南対策で個別の力を入れるなら、この判断の部分が最も効きます。

時期としては、型と出願区分を決める9月から11月が中心になる。この3か月で方向が決まり、12月以降はその方向に沿って、演習量を積んでいく形です。

ここまで読んで、どれが近いですか

洛南のご相談は、専願か併願かをめぐるものが中心です。近いものはありますか。

  • 専願と併願、どちらで出願すべきか決められない合格点の差と、他校の日程との兼ね合いで判断が変わります。志望校の候補があれば整理してお返しします。
  • 3教科と4教科の選び方が分からない科目別の得点があれば、どちらが有利かを計算できます。
  • 過去問の得点が合格ラインに届いていない差の大きさと、失点している分野から見通しをお伝えします。
  • 男女で合格ラインが違う理由を知りたいこの記事で数字を挙げて説明しています。相談は不要です。
  • 併願校をどう組むか迷っている洛南の日程を軸に、前後の学校をどう置くかを整理します。

「洛南を候補に入れたばかり」。その段階でも、お話をうかがえます。

洛南高等学校附属中学校の指導実績がある教師

3名が登録しています

在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
当ネットワークに登録しているのはプロの家庭教師のみで、学生講師は在籍していません。

14. 入試問題が語る、洛南が求めている生徒像

出題の作りから、学校が何を見ようとしているかを、読み取ってみましょう。

時間をかけて考えることを求めている

算数70分という設定は、最難関校のなかでは長いほうで、短時間での処理速度だけを測るなら、この時間は要りません。じっくり考える設問を含めたいという意図が読み取れます。

実際、後半には思考力を問う問題が置かれる傾向があって、解法を知っているかどうかではなく、初めて見る条件を自分で整理できるかどうかを見ています。

この設計は、塾のカリキュラムと相性が良いとは限らない。集団授業は解法の型を数多く渡すことに向いていますが、初見の条件を自力で整理する練習は、時間をかけて個別に見ないと積みにくい領域だからです。

1科目の失敗を許容している

科目別の最低点を見ると、算数48点(得点率32%)で合格している受験生もいて、1科目が崩れても、他で立て直せば合格に届く設計です。

これは、特定の才能に偏った生徒ではなく、総合的に力を積める生徒を求めているというメッセージだと読めるでしょう。4教科型と3教科型のどちらも400点満点にそろえているのも、同じ考え方の表れです。

3日目に来る生徒を見ている

統一日3日目という位置は、ほかの学校を2日間受けてきた受験生を受け入れる位置で、疲れた状態でどれだけ力を出せるかを、結果として見ることになる。

校訓に「自己を尊重せよ」「真理を探究せよ」「社会に献身せよ」を掲げ、仏教精神を教育の基盤に置く学校です。持続する力と、崩れない姿勢を評価する設計になっているように見えます。

まとめ:洛南対策は、出願区分を決めることから始まる

この記事の要点

  • 令和8年度の合格点は専願・男子221点、専願・女子235点、併願・男女260点。専願男子と併願で39点の差がある
  • 専願は合格後に入学する前提の区分。点数から進路を決めるのではなく、進路を決めてから目標点を置く
  • 実質倍率は男子約2.72倍、女子約2.91倍。専願の合格点も女子が14点高い
  • 統一日3日目に1日で実施。灘・甲陽との併願は日程上可能だが、東大寺学園とは同日で選択になる
  • 3教科型と4教科型はどちらも400点満点。合格者平均は3教科型259.0点、4教科型254.1点
  • 3教科型の合格者は算数が10.1点高く、4教科型の合格者は国語が4.7点高い
  • 3教科型を選ぶと理科の配点が100点になり、重みが倍になる。理科の仕上がりが前提
  • 出願者は大阪296名に次いで兵庫220名が2番目。兵庫からの受験は珍しくない
  • 合格最低点221点は400点満点の約55%。各科目6割弱で届く
  • 受験型と出願区分は11月までに確定させる。ここが12月以降の演習の方向を決める

洛南の対策には、解法を増やす前に決めることがあって、それが専願か併願か、3教科か4教科か。この2つが決まれば、目標点が定まり、やるべき演習が絞られていきます。

逆に、ここが決まらないまま演習だけを積むと、12月になって方向を変えることになってしまう。秋のうちに判断を済ませてください。

もう一つお伝えしておくと、合格最低点221点、得点率にして約55%という数字は、お子さまが思っているより低いはずです。「最難関校だから8割は要る」と思い込んでいる受験生は、少なくありません。

実際には各科目6割弱で届きますし、科目別の最低点を見れば、算数が3割台でも合格している受験生がいる。この事実を知っているかどうかで、本番での粘り方が変わってきます。1問解けなかったときに崩れるか、切り替えて次に進めるか。その差は、当日の得点に直接効くでしょう。

ご家庭だけでは判断しにくい部分でもあって、お子さまの科目バランスと志望の固まり方から、どの型と区分が合うか——判断に迷われる場合は、無料体験授業でご相談ください。現在地をうかがったうえで、合いそうな教師とのお引き合わせをご案内します。

※本記事の数値は洛南高等学校附属中学校が公表している令和8年度入学試験状況によるものです。日程・配点・出願区分は年度により変わることがありますので、学校の募集要項で最新の情報をご確認ください。

よくある質問

Q 洛南高等学校附属中学校は、専願と併願でどれくらい合格点が違いますか?
A 学校が公表している令和8年度の入学試験状況によると、専願の合格点は男子221点・女子235点、併願の合格点は男女とも260点でした。400点満点ですので、専願の男子と併願を比べると39点の開きがあります。これは満点の約10%にあたります。ただし専願で出願した場合、合格後は入学することが前提となりますので、点数だけで判断せず、進学の意思を先に固めてください。
Q 専願で出願すれば有利になるということですか?
A 合格点だけを見れば専願のほうが低く設定されています。ただし専願は、合格した場合に入学することを前提とした出願区分です。他校を第一志望としながら点数の有利さだけで専願を選ぶことはできません。出願区分の詳しい条件は年度によって変わることがありますので、学校の募集要項でご確認ください。
Q 3教科型と4教科型は、どちらを選ぶべきですか?
A 学校公表の合格者平均点を見ると、3教科型が総合259.0点、4教科型が254.1点でした。科目別では算数が3教科型95.4点に対し4教科型85.3点と10点以上の差があり、逆に国語は4教科型100.9点が3教科型96.2点を上回っています。算数が得点源になっているお子さまは3教科型、国語と社会で積み上げられるお子さまは4教科型が向きます。いずれも400点満点に揃えて判定されます。
Q 洛南の入試日はいつですか。灘や甲陽学院と併願できますか?
A 洛南高等学校附属中学校の入試は、関西の統一解禁日から3日目に1日のみ実施されています。灘中学校と甲陽学院中学校は解禁日と2日目の2日間で実施されるため、日程上は併願が可能です。実際、統一日の前半に最難関校を受験した層の併願先となっています。ただし東大寺学園中学校も同じ3日目のため、この2校は同時に受験できません。
Q 合格最低点は何割くらいですか?
A 令和8年度の総合最低点は221点でした。400点満点ですので、約55%にあたります。併願の合格点260点で見ると65%です。科目別の最低点は国語64点、算数48点、理科42点、社会58点と公表されており、特定の科目が大きく崩れても他で補えば合格に届く構造になっています。
Q 女子のほうが合格が難しいのでしょうか?
A 令和8年度は受験者822名のうち男子557名・女子265名、合格者296名のうち男子205名・女子91名でした。実質倍率は男子が約2.72倍、女子が約2.91倍です。また専願の合格点は男子221点に対し女子235点と14点高く設定されていました。数字の上では女子のほうが厳しい条件になっていますが、年度によって変動しますので最新の公表資料をご確認ください。
Q 兵庫県から洛南を受験する家庭は多いのですか?
A 学校公表の地域別状況によると、令和8年度の出願者は大阪府296名に次いで兵庫県が220名と2番目に多く、合格者も兵庫県から78名が出ています。京都府の210名を上回っており、兵庫県から通う生徒は珍しくありません。通学時間は住まいによって大きく変わりますので、実際の経路と所要時間は事前にご確認ください。
Proチューターズネットワーク 編集部
中学受験を専門とするプロ家庭教師マッチングサービス「Proチューターズネットワーク」が運営する受験情報メディア。最難関校から中堅校まで、志望校のレベルを問わずご相談を承っています。兵庫・神戸を拠点に、関西の中学受験の情報を、保護者の方に向けて発信しています。

それでも、一度お話を聞かせてください

ここまで読んで、「うちは専願と併願、どちらで出すべきか」と思われたかもしれません。

ご家庭だけで抱えていると、「これは相談していいことなのか」を決めるところから始まります。そこで数週間が過ぎるのが、いちばん惜しい。

学年と、いま気になっていることを一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。家庭教師以外の選択肢をお伝えすることもあります。

力になれることがあるなら、なりたいと思っています。

合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。

専願か併願か、
迷ったままにしない

合格点の差と他校の日程から、
どちらが有利かを整理します。

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