1. 残り2週間で、量を増やしても効きにくい
夏期講習が終わりに近づくと、多くのご家庭で同じ言葉が出てきます。「この夏、思ったほどやれなかった」というものです。
気持ちとしてはよく分かるのですが、ここから学習量を増やす方向で立て直そうとすると、たいていは裏目に出てしまいます。理由は2つあります。
1つは、夏の疲労が溜まりきっている時期だという点です。7月下旬から続いてきた講習の負荷は、本人が思っている以上に残っています。ここでさらに詰め込めば、9月の頭に体調を崩す形になりかねません。学校が始まる直前に休むことになれば、そのほうが失うものは大きくなります。
もう1つは、2週間という長さの問題です。新しい単元を入れるにも、苦手を潰しきるにも、この期間では足りません。中途半端に手をつけた分野が増えるだけで、かえって整理がつかなくなります。
残り2週間でやるべきなのは、量を増やすことではありません。9月からの13週を回せる状態を作っておくことです。整った状態で9月に入れるかどうかで、そのあとの3か月の進み方が変わってきます。
入試までの残り時間を、数字で見ておく
関西の中学入試は統一解禁日が例年1月中旬にあり、2027年の入試は1月16日(土)が解禁日となる見込みです。今日からの日数を数えると、次のようになります。
| 起点 | 入試までの日数 | 週数 |
|---|---|---|
| 2026年8月18日(今日) | 151日 | 約22週 |
| 2026年9月1日 | 137日 | 約20週 |
| 2026年10月1日 | 107日 | 約15週 |
| 2026年11月1日 | 76日 | 約11週 |
※2027年1月16日を起点として算出しています。日程は各校の募集要項でご確認ください。
残り22週のうち、この2週間が占める割合は1割に届きません。その一方で9月から11月末までの13週は、残り時間の6割を占めることになります。どちらに手を入れるほうが効くのかは、この数字を見れば見当がつくはずです。
2. 家庭が整えられるのは、7つの条件
ここから挙げる7つは、いずれも保護者の方が手を動かせるものばかりで、教科の内容を教える必要はありませんし、専門的な知識も要りません。むしろ、勉強そのものには一切触れずに済みます。
| やること | 所要時間 | 効いてくる場面 |
|---|---|---|
| ① 夏にやったことを棚卸しする | 20分 | 9月の計画を立てるとき |
| ② 積み残しを数える | 30分 | 塾に相談するとき |
| ③ 睡眠を9月の形に戻す | 2週間 | 始業直後の2週間 |
| ④ 9月の行事予定表を先に見る | 15分 | 行事のある週 |
| ⑤ 過去問を1年分、解かずに見る | 30分 | 10月以降の演習 |
| ⑥ 机まわりを9月仕様にする | 1時間 | 毎日の学習の立ち上がり |
| ⑦ 声かけを1つだけ変える | — | 成績が動いたとき |
合計しても3時間ほどです。全部やる必要はありませんし、①と②の2つだけでも、9月の入り方は変わってきます。
並べた順番にも意味があります。①で現在地を確かめ、②で残っている量を測り、③で体調を整えて、④で9月の負荷を見込んでおく。ここまでが土台になりますので、⑤以降については、余裕があればという位置づけで構いません。
3. ① 夏にやったことを棚卸しする
「思ったほどやれなかった」という感覚は、ほとんどの場合、記憶ではなく印象から来ているものです。ですから実際に何が終わったのかを書き出してみると、その印象とはずいぶん違う姿が出てくることも少なくありません。
手順
紙を1枚用意して、次の3つを書き出していきます。所要は20分ほどです。
- 夏に使った教材を、すべて並べる——塾のテキスト、講習の冊子、問題集
- それぞれ、どこまで進んだかを書く——「4章のうち3章まで」「前半のみ」で構いません
- 手をつけなかったものに印をつける
この作業は、できればお子さまと一緒にやってみてください。保護者がひとりで進めると点検になってしまいますが、並べながら「これは全部終わったね」と確認していく形であれば、同じ作業でも意味合いがまるきり変わってきます。
棚卸しの目的は、進み具合の確認だけではありません。本人が「これだけやった」と自分で言えるようにすることのほうが、9月には効いてきます。2学期は成績が動きやすい時期でもあり、そのときに支えになるのは、夏に積んだものの実感です。
出てきた結果の見方
実際に並べてみると、たいていは次のどちらかの結果になります。
想定より進んでいた場合は、その事実をそのまま本人に伝えてください。「思ったよりやれてるやん」という一言が、9月の入り方を変えることもあります。夏に積んだものの実感は、成績が動きやすい2学期を支える土台になります。
逆に、手をつけなかった教材が多く出てきたとしても、それを責める材料にはしないでください。そもそも配られた量そのものが多すぎた可能性があるからです。この場合は、次に挙げる②の作業が、そのまま塾への相談材料になります。
本人が嫌がるとき
棚卸しを提案すると、露骨に嫌がられることがあります。やっていないものを数えられるという構図に見えるからで、この反応自体は自然なものです。
その場合は、終わったものだけを先に並べてみてください。「これ全部やったんやな」から入ると、残りの話にも進みやすくなります。順序を変えるだけで、同じ作業でも受け取り方が変わってきます。
それでも乗ってこないようなら、保護者だけで進めても構いません。目的は本人の自覚を促すことではなく、9月の計画を立てるための材料を揃えることですので、材料さえ手元にあれば作業としては成立します。
きょうだいが受験生でない場合
下のお子さまや上のお子さまが同じ家にいると、この時期は特有の難しさが出てきます。受験生だけが夏の課題に追われている一方で、ほかのきょうだいは夏休みを普通に過ごしているという状況です。
ここで「お兄ちゃんは勉強してるんやから静かにして」といった調整をかけると、受験生の側に負い目が生まれます。自分のせいで家族が我慢しているという感覚は、この時期の子どもにとって相当な重さになります。
現実的な対処としては、場所を分けるほうが早くなります。受験生が自室で進められないようであれば、図書館や塾の自習室を使う日を週に2日ほど作る形です。家の中で全員に我慢を強いるより、負担が分散します。
4. ② 積み残しを数える
棚卸しで「手をつけなかったもの」が出てきたら、次はその量を時間に換算していきます。ページ数のままでは多いのか少ないのか判断がつきませんが、時間に直せば、9月のどこに入るのかが見えてくるからです。
換算の手順
残っているページ数や問題数を数えて、1ページあたりにかかる時間を掛けていきます。厳密である必要はありませんので、ざっくりで構いません。所要は30分ほどです。
- 残りページ数 × 1ページの所要時間 = 必要な時間
- 算数と国語は1ページ15分、理科と社会は1ページ10分を目安に
- 解き直しの時間も入れる場合は、上の1.5倍で見ます
たとえば算数のテキストが20ページ残っていれば、20ページ × 15分で300分、つまり5時間です。理科が30ページなら300分で同じく5時間。これを全教科ぶん足していきます。
出てきた数字の使い方
合計が10時間ほどであれば9月中に片づく量ですが、40時間を超えてくると、2学期の平日に使える時間ではとうてい収まりません。
学校が始まると、平日に家庭学習へ回せる時間は大きく減ります。塾のある日で1時間ほど、ない日でも4時間台というのが標準的な形です。そこへ40時間を持ち込めば、9月中は新しい課題に手がつかない計算になります。
この数字が出た時点で、判断が必要になります。全部やるのか、外すものを決めるのか。そして外すと決めたなら、その判断は早いほど楽になります。
数えてみた例
実際に計算すると、多くのご家庭で想像より大きな数字が出てきます。仮の例で見てみます。
| 教科 | 残りページ | 1ページの目安 | 必要な時間 |
|---|---|---|---|
| 算数 | 24ページ | 15分 | 6時間 |
| 国語 | 12ページ | 15分 | 3時間 |
| 理科 | 30ページ | 10分 | 5時間 |
| 社会 | 36ページ | 10分 | 6時間 |
| 合計 | 102ページ | — | 20時間 |
※解き直しの時間を含める場合は、この1.5倍で30時間になります。
20時間と聞くと、そう多くないように感じられるかもしれません。ところが2学期の平日で家庭学習に回せるのは、塾のある日で1時間ほど、ない日で4時間台というのが標準的な形です。週あたりで12時間ほどしか取れませんので、そこへ新しい課題も入ってくることを考えると、20時間の積み残しを消化するには1か月近くかかる計算になります。
この数字が見えていれば、判断は早くなります。全部やるのか、社会の36ページを後ろに回すのか。感覚で悩むより、数字を前にして決めるほうがはるかに速く進みます。
塾に相談する場合も、この数字があると話が具体的になります。「宿題が多くて」ではなく「夏の課題が40時間分残っています」と伝えられれば、塾側も優先順位を示しやすくなるからです。
減った時間の中で何を残すかについては、2学期が始まってつまずく子で、志望校の過去問から機械的に決める手順を扱っています。
5. ③ 睡眠を9月の形に戻す
夏休みのあいだに、就寝と起床の時刻はどうしても後ろへずれていきます。講習が夜まであった日が続いたのですから、当然の結果ではあります。
これを9月の形に戻すうえで、2週間という期間はちょうど良い長さになります。一気に戻そうとするより、少しずつ動かしていくほうが定着するからです。
2週間の手順
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 起床を毎日15分ずつ早める。就寝は自然に任せる |
| 2週目前半 | 起床が目標時刻に届いたら、そこで固定する |
| 2週目後半 | 登校日と同じ時刻に起きて、午前中に学習する日を2日作る |
就寝時刻のほうを先に動かそうとしても、たいていは眠れずに終わります。起床を先に動かしていくほうが、体は自然と追いついてきます。
最後の2日で午前中に学習する時間を作っておくのは、学校がある日のリズムに近づけるためです。9月の平日は、朝から6時間ほど授業を受けたあとに塾へ向かうことになります。午前に頭が動く状態を、始業前に一度作っておきたいところです。
2週間では戻りきらないとき
講習の終わりが遅く、就寝が日付をまたぐ日が続いていた場合には、2週間で完全には戻りきらないこともあります。それでも、動かせるところまで動かしておいてください。
始業してからも、学校に通うこと自体が体内時計を整える方向に働きますので、9月の第1週から第2週にかけて自然に揃ってくることが多くなります。大事なのは、始業日の朝にいきなり2時間早く起きるという事態を避けておくことです。そこで無理をすると、最初の1週間を体調の回復に使うことになってしまいます。
もう1点、8月末に夜更かしをして課題を片づけるという形も、できれば避けたいところです。2週間かけて戻したリズムが、最後の2日で崩れてしまいます。終わらなかった課題は9月に回すほうが、結果としては軽く済みます。
生活リズムそのものの組み方については、受験生の生活リズムで詳しく扱っています。
6. ④ 9月の行事予定表を先に見る
2学期の学校には、行事が集中します。運動会や音楽会、宿泊学習に加えて、委員会や係の準備まで入ってきますので、放課後の時間はかなり圧迫されることになります。
この予定表は、たいてい始業式の日に配られます。ただ、学校によっては1学期の終わりに年間予定として配られていることもありますので、手元にあるようなら、いま一度見ておく価値があります。
見るところは2つ
- 行事のある週——当日だけでなく、準備期間を含めた週まるごと
- 下校が遅くなる時期——放課後の練習が入る期間
行事の週には、平常どおりの学習量は入りません。ここをあらかじめ見込んでおけば、進まなかったときにも「遅れ」ではなく「想定内」として扱えるようになります。本人にとっても、そう説明してもらえるかどうかで受け取り方が変わってきます。
行事週の具体的な潰し方は、2学期が始まってつまずく子の第4章で扱っています。
7. ⑤ 過去問を1年分、解かずに見る
この時期に過去問を解き始めるかどうかは、判断が分かれるところです。ただし、解かずに「見るだけ」ということであれば、いまの時期に見ておく価値は十分にあります。
見て確かめること
志望校の過去問を1年分だけ用意して、次の3点を確認します。所要は30分ほどで、お子さまと一緒でも、保護者だけでも構いません。
- 問題用紙の枚数と、解答用紙の形式——記述が多いのか、答えだけを書く形か
- 大問の数と、それぞれの分量
- いま塾でやっている内容と、どれくらい重なっているか
点数を取る練習ではありませんので、解く必要はまったくありません。目的はあくまで、これから向かう場所の形を知っておくことにあります。
この作業をやっておくと、9月以降の学習に意味が乗ります。塾から出される課題が、志望校の出題とどうつながるのか。それが少しでも見えていると、同じ問題を解いていても手応えが違ってきます。
過去問をいつから何年分やるかについては、中学受験の過去問はいつから何年分やるかで扱っています。この時期は解く時期ではなく、決める時期という位置づけになります。
8. ⑥ 机まわりを9月仕様にする
夏のあいだに、机の上には講習のプリントや冊子が積み上がっているはずです。ここを9月の形に整えておくと、毎日の学習に取りかかるまでの時間が短くなります。
3つの箱に分ける
所要は1時間ほどで、これもお子さまと一緒に進めるほうが効果があります。
| 箱 | 入れるもの |
|---|---|
| 毎日使う | 計算と一行問題の教材、いま進めている単元のテキスト |
| 取っておく | 解き直しが残っているプリント、模試の結果 |
| いまは使わない | 終わった講習の冊子、手をつけなかった教材 |
3つ目の箱は、捨てずに別の場所へ移してください。捨てるのではなく、順番を後ろにするだけという扱いにしておくと、本人の受け取り方が変わります。12月に時間が余れば戻せますし、実際に戻すことは滅多にないとしても、その形にしておく意味はあります。
1つ目の箱に入るものは、できるだけ少なくしてください。机に出ている量が多いほど、始めるまでの時間が長くなります。毎日15分の計算と、いま進めている1冊。この2つが手の届く場所にあれば足ります。
9. ⑦ 声かけを1つだけ変える
7つ目は、道具ではなく言葉のほうの話になります。とはいえ、たくさん変える必要はありません。1つだけ選んで、それを9月からの標準にする。それで十分です。
変えるとしたら、この1つ
いちばん効くのは、成績や模試の結果が返ってきたときの第一声です。ここだけを変えると決めてください。
| よく出る第一声 | 本人に届く意味 | 置き換えの例 |
|---|---|---|
| 「何点やった?」 | 点数で評価される | 「どこが解けた?」 |
| 「前より下がったな」 | 過去の自分と比較される | 「今回はどこが難しかった?」 |
| 「ちゃんとやってたら…」 | 努力を否定される | 「時間は足りた?」 |
右の列に共通しているのは、評価ではなく事実を聞いているという点です。点数は結果でしかありませんが、どこで詰まったのかは次の一手につながります。
2学期は、判定が下がりやすい時期でもあります。秋以降の模試では受験を見送る層が抜けていくため、同じ得点でも偏差値は下がる方向に動くからです。そのときに第一声が評価から入ると、本人は数字の意味を確かめる前に落ち込むことになります。
変えるのを1つに絞る理由
言葉づかい全体を見直そうとすると、たいてい続きません。意識している間は変えられても、慌ただしい時期に入れば元に戻りますし、変えられなかったこと自体が保護者の側の負担になってしまいます。
1つに絞れば、意識する場面も限られます。模試や塾のテストが返ってくるのは月に数回ですので、そのときだけ第一声を意識する形なら続けられます。
そして、この1回が持つ意味は小さくありません。結果を見た瞬間の親の表情と最初の言葉を、子どもは驚くほどよく覚えています。「見せたくない」という気持ちが芽生えると、そこから先は結果を隠すようになり、こちらが状況を把握できなくなります。
言葉が出てこないときは
置き換えの言葉が思いつかないときは、無理に何か言う必要はありません。「見せてくれてありがとう」だけで十分です。
詳しい話は、その日でなくても構いません。むしろ結果が返ってきた直後は本人の側も整理がついていないことが多く、翌日以降のほうが落ち着いて話せます。その場で分析まで進めようとすると、たいてい問い詰める形になってしまいます。
声かけの具体的なNGとOKについては、中学受験6年生で成績が下がる3つの原因の第9章で詳しく扱っています。判定そのものの読み方は、模試でD判定・E判定が出たらにまとめました。
10. やらないほうがよい3つのこと
ここまでは、やることのほうを挙げてきました。逆に、この時期に避けておきたいものも3つあります。
1. 新しい教材を買い足す
手をつけていない教材が残っている状態で新しいものを増やすと、選択肢が増えるだけで進みません。いま持っているものの積み残しが40時間分あるなら、そこに新しい1冊を足しても消化できないからです。
書店に並ぶ受験用の参考書は、この時期に平積みされます。ただ、必要なのはたいてい塾のテキストのやり残しのほうです。
2. 9月からの計画を細かく組みすぎる
計画を立てること自体は有効ですが、8月中に9月から11月までの3か月分を日単位で埋めるのは勧めません。行事の予定も塾の課題量も、始まってみないと分からない部分が大きいためです。
組むなら週単位、それも9月の4週分までにとどめてください。細かく組んだ計画が崩れると、崩れたこと自体が本人の負担になります。
3. 夏の結果で志望校を動かす
夏の模試の結果を見て、この時期に志望校を下げる判断をするご家庭があります。ただ、夏の成果が数字に出てくるのは、早くても9月の後半以降です。
積み上げたものが得点に反映されるまでには時間差があり、8月の模試はその前の状態を映していることが多くなります。志望校の判断は、10月に過去問で合格者最低点との差を測ってからで間に合います。
関西の統一解禁日が1月中旬にあることを考えると、受験校を組み替える判断の実質的な期限は11月中です。いまはまだ、材料を集める時期にあたります。
あわせて避けたいこと
もう1つ、この時期によく見られるのが、他のご家庭の進み具合を確かめようとする動きです。塾の保護者会や送迎の待ち時間で、夏にどこまで進んだかという話題が出ることがあります。
ただ、その情報はほとんど使えません。志望校も現在の学力も通っているクラスも違えば、必要な進度は変わってくるからです。それにもかかわらず、聞いてしまえば比較が始まります。
比べるべきなのは他のご家庭ではなく、志望校の過去問と現在地との差のほうです。そちらは10月に測れますので、いまは気にしなくて構いません。
比べる相手を間違えない
この時期は、SNSで受験関連の投稿を目にする機会も増えます。夏にどれだけ進んだか、模試でどう伸びたかという内容が流れてくることもあるでしょう。
そうした投稿は、うまくいった家庭が発信しているものです。順調でない時期に、わざわざ書き込む人は多くありません。つまり目に入ってくる情報は、そもそも偏っています。
それを前提として見ておくだけで、受け取り方が変わります。比べる相手は他のご家庭ではなく、あくまで志望校の過去問と、いまの現在地との差のほうです。
11. 2週間の割り振り方
7つを2週間のあいだにどう配分していくか、その目安を示しておきます。
| 時期 | やること | 所要 |
|---|---|---|
| 今週のうちに | ① 棚卸し / ② 積み残しを数える | 合計50分 |
| 今週から毎日 | ③ 起床を15分ずつ早める | — |
| 週末 | ⑤ 過去問を1年分見る / ⑥ 机まわりの整理 | 合計1時間半 |
| 始業式のあと | ④ 行事予定表を見て、危ない週に印をつける | 15分 |
| 9月から | ⑦ 声かけを1つ変える | — |
③だけは今日から始めてください。ほかのものは順序が前後しても構いませんが、睡眠だけは2週間かけないと戻らないためです。
すべてをやろうとして途中で止まってしまうくらいなら、①と②の50分だけでも構いません。この2つさえあれば、9月に何をどれだけ入れられるかが決まります。
2週間で変わることと、変わらないこと
ここまで7つを挙げてきましたが、これらをやったからといって、成績がすぐに動くわけではありません。そこは正直に書いておきます。
2週間で変わるのは、9月に入るときの状態のほうです。何が終わって何が残っているかが分かっている状態と、分からないまま始業日を迎える状態。この差が効いてくるのは、9月の第2週から第3週あたりになります。塾の課題が増え、学校の行事も動き出したときに、削れるものが見えているかどうかで、家庭の判断の速さが変わってくるからです。
逆に、この2週間で埋まらないものもあります。夏に手をつけられなかった苦手分野は、残ったままです。それを2週間で潰そうとすると、結局は量を増やす方向に戻ってしまいます。苦手分野は9月以降、志望校の出題と照らし合わせて、やるかやらないかを決める対象になります。
12. ここから先で、迷いが出たら
ここまでの7つは、ご家庭だけで進められます。棚卸しをして、残りを数えて、睡眠を戻す。この順序で回るのであれば、それがいちばん早い形です。
判断が難しくなってくるのは、積み残しをどこまで削るかという部分です。
40時間ぶん残っているとして、そのうち何を捨ててよいのか。基準は志望校の出題ですが、同じ「速さ」の単元でも学校によって問われ方が違いますし、出題の形まで見ないと、外していい単元かどうかの判断がつきません。ここで削りすぎると、9月以降に穴が出ます。
もう1つが、量の問題なのか理解の問題なのかという切り分けです。夏の課題が終わらなかった理由が、配られた量そのものが多かったのか、それとも1問にかかる時間が長かったのか。外から見ると、どちらも「終わらなかった」という同じ結果に見えてしまいます。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
ご相談いただく場合にうかがうのは、次の点です。棚卸しで出てきた積み残しの量、志望校、直近の模試の結果、そして1週間の学習時間と睡眠時間。ここから、何を残して何を後ろに回すかを一緒に整理します。
削らずに全部やり切れると判断される場合は、そうお伝えします。その場合、家庭教師を入れる必要はありません。
それでも、一度お話を聞かせてください
棚卸しをしてみて、思ったより残っていたかもしれません。あるいは、数えるところで手が止まってしまったかもしれません。
この時期にご家庭だけで抱えていると、「これは相談していいことなのか」を決めるところから始まってしまいます。そこで2週間が過ぎるのが、いちばん惜しいところです。夏休みは、明日にはもう1日短くなっています。
学年と、残っている課題のおおよその量を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。家庭教師以外の選択肢をお伝えすることもあります。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
次のものがあると切り分けが速くなりますが、写真で撮ったもので構いません。
- 棚卸しで書き出した紙(手書きのメモで十分です)
- 手をつけられなかった教材の現物
- 直近の模試の結果(設問別の正答率が載っているページ)
- 1週間の就寝・起床の時刻
- 志望校(決まっていなければ、候補で結構です)
とくに2つ目が判断に効きます。教材そのものを見れば、量が多かったのか難度が合っていなかったのかが、おおよそ分かるからです。同じ「終わらなかった」でも、この2つでは手当てがまったく違ってきます。
まとめ:教えるのではなく、条件を整える
この記事の要点
- 残り2週間で学習量を増やしても効きにくい。疲労が溜まっている時期でもある
- 入試まで151日・約22週。9月から11月末の13週が、残り時間の6割を占める
- 家庭が整えられる条件は7つ。合計3時間ほどで、教科の知識は要らない
- ①棚卸し(20分)は、本人が「これだけやった」と言えるようにするための作業でもある
- ②積み残しを時間に換算する。40時間を超えると、9月の平日では収まらない
- ③睡眠は起床から動かす。2週間かけて、最後の2日は午前中に学習する
- ④行事予定表で、危ない週にあらかじめ印をつけておく
- ⑤過去問は解かずに見るだけ。形を知っておくと、9月以降の学習に意味が乗る
- ⑥机の上は「毎日使う」を最小限に。始めるまでの時間が変わる
- ⑦声かけは1つだけ変える。評価ではなく事実を聞く形へ
- 避けたいのは、新しい教材の買い足し、細かすぎる計画、夏の結果での志望校変更
この2週間の意味
最後に、1つだけ。
夏休みの終わりは、ご家庭にとって落ち着かない時期です。やり切れなかったものが目に入りますし、9月からのことも気にかかります。その落ち着かなさが、量を増やす方向の判断につながりやすい時期でもあります。
ただ、ここでできるのは積み上げることではなく、整えることのほうです。何が終わって何が残ったのかを把握し、体を9月の形に戻し、忙しくなる週を先に見ておく。どれも学習そのものではありませんが、13週を回せるかどうかはここで決まります。
紙とペンがあれば、50分で終わります。今週のうちに、そこから始めてみてください。