1. 「Fラン大学の学生だと不安」——その検索の背景にあるもの

家庭教師を検討するとき、「Fラン大学」という言葉で検索されるご家庭があります。来てくれた先生の出身大学を知って不安になった、あるいは依頼する前に確かめておきたい——動機はさまざまですが、根っこにあるのは「この先生に、うちの子を任せて大丈夫だろうか」という、ごく自然な心配だと思います。

まず申し上げておきたいのは、当ネットワークは大学の序列で人を評価する立場を取らないということ。指導の現場を長く見ていると、出身大学の偏差値と指導力が必ずしも一致しないことは、はっきりと感じます。そのうえで、この不安には正面からお答えする価値があると考えています。というのも、「大学名では測れない」で話を終えてしまうと、では何を見ればよいのかが分からないままだからです。

不安の正体は「判断材料がないこと」

保護者の方が本当に困っているのは、大学名そのものではありません。ほかに判断できる材料が見当たらないことです。医師や弁護士と違い、家庭教師には国家資格のような統一基準がありません。「プロ家庭教師」という肩書きも、誰かが認定しているわけではないのです。

だから、手元にある数少ない客観的な情報——出身大学——に頼りたくなります。これは合理的な行動でもあります。ただ、その情報が実際にどこまでのことを教えてくれるのかを知っておかないと、判断を誤ります。安心すべきでないところで安心してしまったり、逆に、良い先生を大学名だけで見送ってしまったりするからです。

この記事では、大学名が何を保証し、何を保証しないのかを整理したうえで、指導の質を左右するもう一つの要素——支払った指導料が、どこへどう流れているのかという視点をご案内します。これは意外と語られない切り口ですが、講師が指導にかけられる準備時間や、その先生が長く続けてくれるかどうかに、直結する話です。

2. 大学名が保証するもの・保証しないもの

大学名は、まったく意味のない情報ではありません。ただ、それが保証する範囲は限定的です。整理すると、次のようになります。

観点大学名から推測できること大学名では分からないこと
学力入試を突破した時点での学力の目安今も同じ水準を維持しているか
指導範囲どのレベルの入試問題まで扱えそうかその問題を「教えられる」かどうか
説明力ほとんど推測できない解き方を分解して言葉にできるか
継続性まったく推測できない受験が終わるまで担当し続けられるか
相性まったく推測できないお子さまが質問しやすいと感じるか

大学名から分かるのは「入試時点の学力の目安」まで。指導力・継続性・相性は別の指標で見る必要が出てきます。

「解ける」と「教えられる」は別の能力

受験指導で最も見落とされやすいのが、「自分が解けること」と「解き方を分解して人に教えられること」は、まったく別の能力だという点です。

難関大学の学生でも、自分が感覚的に解いてきた問題を、つまずいている小学生に順を追って説明するのは簡単ではありません。「なぜそう考えるのか」を言葉にする作業は、解くこととは別の訓練が要ります。むしろ、すらすら解けてしまった人ほど、どこでつまずくのかが想像しにくいという面すらあります。

逆に、出身大学の偏差値がそれほど高くなくても、生徒がどこで詰まるかを的確に見抜き、根気強く説明できる方もいます。自分自身が苦労して理解した経験が、説明の引き出しになっているケースです。

ただし「学力は不要」ということではない

ここで誤解を避けたいのですが、学力が要らないという話ではありません。志望校の入試問題を初見で解けなければ、過去問演習の指導は成立しません。特に最難関中学の算数や、大学受験の理数科目では、指導者本人の学力が指導の上限を決めます。

必要なのは「その子の志望校のレベルに対して、十分な学力があるか」という相対的な判断であって、「一般的に偏差値が高い大学かどうか」という一律の序列ではありません。小学生の学校の復習を見てもらうのと、最難関中学の算数を教わるのとでは、求められる水準がまったく違います。

この点については、プロ家庭教師とは?質の見分け方を3つの要件と質問リストで解説で、見極めの具体的な質問例まで整理していますので、あわせてご覧ください。

では、大学名以外に何を見ればよいのか。ここから先が、この記事の本題です。

3. いま講師の質にばらつきが出やすい、業界側の事情

「昔より当たり外れが大きくなった気がする」——長く教育に関わる方から、そうした声を聞くことがあります。これは気のせいではなく、業界側の事情も関係しています。

指導者の担い手が集まりにくくなっている

個別指導や家庭教師の需要は根強くある一方で、指導の担い手を確保するのは年々難しくなっています。大学生にとっては、時給水準の高い仕事や、就職活動につながる経験を得られる仕事など、選択肢が以前より広がりました。指導の仕事は準備に時間がかかる割に、時間あたりの報酬が見合わないと感じられれば、他の選択肢へ流れます。

結果として、生徒側の需要に対して指導者の登録数が足りない、という状況が起こりやすくなります。そうなると、事業者としては登録のハードルを下げてでも人数を確保したいという力が働きます。これは特定の会社の問題というより、需給バランスから生じやすい構造的な傾向です。

「採用された」ことが、質の保証にはならない

ご家庭からすると、「その会社に採用されている=一定の水準を満たしている」と受け取りたくなります。ただ、採用基準は事業者によってさまざまで、外からは見えません。学力試験を課すところもあれば、面談中心のところもあります。指導経験がなくても、研修を前提に登録できる仕組みも一般的です。

これは、必ずしも悪いことではありません。未経験から始めて優れた指導者になる方はたくさんいます。ただ、「採用されている」という事実そのものは、お子さまの志望校に対して十分な指導ができる保証にはならない——この点は押さえておきたいところです。

大学名も、採用実績も、それ単体では判断材料として弱い。だからこそ、「実際にどんな指導をするのか」を自分の目で確かめる機会(体験授業)と、「その先生が良い状態で働き続けられる仕組みか」という構造の視点の、両方が要ります。

4. 同じ月謝でも質が変わる、もう一つの理由

ここで、少し違う角度から考えてみます。同じくらいの月謝を払っているご家庭同士で、指導の満足度に差が出ることがあります。先生個人の力量の違いももちろんありますが、それとは別に、「支払ったお金が、どこへ流れているか」という構造の違いが影響していることがあります。

ご家庭が月謝としてお支払いになる金額は、そのまま全額が先生に渡るとは限りません。契約の形によっては、その一部が運営費や事務コストとして差し引かれ、残りが講師の報酬になります。この配分の割合は、契約形態や事業者によって変わります。

同じ月謝でも、講師に届く金額は同じとは限らない

月謝の総額が同じでも、間に入る事業者の数や取り分によって、実際に指導する先生の手元に残る金額は変わります。この違いが、次章以降で見るように、指導の準備時間や継続性に影響することがあります。

誤解のないように申し添えると、仲介する事業者が取り分を得ること自体は、正当な対価です。教師の選定、日程の調整、トラブル時の対応、教師交代の手配——こうした事務やサポートには人手とコストがかかります。ご家庭がその安心を買っている、という側面は確かにあります。

問題は「取り分があること」ではなく、その構造をご家庭が知らないまま契約していることです。何にいくら払っているのかが見えていれば、納得して選べます。見えていないと、「思っていたのと違う」という不満につながります。

5. 指導料は、どこへ流れているのか

家庭教師の契約には、大きく分けていくつかの形があります。それぞれで、お金の流れ方が異なります。

契約の形お金の流れご家庭から見た特徴
仲介会社を通す形月謝の一部が運営費・事務費に充てられ、残りが講師へ事務サポートが手厚い一方、講師の手取りは月謝より少ない
直接契約に近い形指導料がそのまま講師の報酬になるお金の流れがシンプルで、同じ予算でも講師に多く届く
知人のつてなど個人間やり取りは当事者間で完結費用は抑えやすいが、条件の取り決めは自分たちで行う

契約形態ごとのお金の流れ。どれが良い悪いではなく、構造が違うという点が重要です。

どの形にも一長一短があります。仲介会社を通す形は、事務手続きや教師の交代といったサポートを受けられる安心感があります。個人間のやり取りは費用を抑えやすい一方、条件の取り決めをご家庭側で担うことになります。効いてくるのは優劣ではなく、「自分たちが払った金額のうち、どれだけが指導そのものに向かっているか」を知っておくことです。

「安い=質が低い」でも「高い=質が高い」でもない

ここで、価格と質の関係についても整理しておきます。よくある誤解が2つあります。

価格の高低そのものより、「その金額がどこへ向かうか」のほうが、指導の中身との関係は強いということ。同じ予算でも、配分の形が違えば、講師が指導にかけられる余力は変わります。

なお、契約形態ごとの費用感やトラブルを避ける進め方については、中学受験で家庭教師を個人契約する前に|失敗しないマッチングの選び方で詳しく整理しています。学年別・目的別の料金相場は家庭教師の1時間相場はいくら?もあわせてご覧ください。

6. 講師の手取りが、指導の質に効いてくる理由

「講師の取り分が多いか少ないかは、ご家庭には関係ないのでは」と思われるかもしれません。これが回り回って指導の質に影響することがあります。理由は3つあります。

理由1:授業準備にかけられる時間が変わる

質の高い指導には、授業時間の外での準備が欠かせません。生徒の答案を読み込み、どこでつまずいたかを分析し、次回の進め方を組み立てる——この作業には、授業と同じかそれ以上の時間がかかることもあります。

この準備時間は、多くの場合そのまま報酬になるわけではありません。だからこそ、1時間あたりの手取りが十分に確保されているかどうかが、準備にどれだけ時間を割けるかを左右します。手取りが低ければ、同じ時間で多くの生徒を担当せざるを得ず、一人あたりの準備は薄くなりがちです。

「宿題の丸つけで終わってしまう授業」が生まれる背景には、講師個人の姿勢だけでなく、こうした時間の制約があることも少なくありません。

理由2:担当が続くかどうかが変わる

受験は長い戦いです。途中で担当の先生が交代すると、生徒の状況を一から引き継ぐことになり、その間は指導の精度が落ちます。特に直前期の交代は、ご家庭にとって大きな負担です。

講師が同じ生徒を長く担当し続けられるかは、その仕事が生活として成り立つかどうかにかかっています。手取りが低ければ、より条件のよい仕事へ移ることも起こり得ます。指導料の配分は、この「継続性」に効いてきます。

直前期に指導者が変わったときの立て直し方については、中学受験の直前90日戦略でも触れています。

理由3:経験を積んだ講師が集まるかどうかが変わる

指導経験が長く、実績を積んだ講師ほど、自分の時間の使い方に敏感です。適正な報酬が確保される場でなければ、そうした講師は集まりにくくなります。逆に、指導料が講師に届く形が整っていれば、経験を重ねた講師が腰を据えて働ける環境になります。

指導料の流れは「今日の授業の質」だけでなく、「どんな講師がその場に集まるか」という土台にも関わっているのです。大学名では見えないこの部分が、実は長期的な指導の安定を大きく左右します。

ご家庭から見える「変化のサイン」

指導料の流れは目に見えませんが、その影響は日々の指導に現れます。次のような変化に気づいたら、一度状況を確認してみる価値があります。

これらは、講師個人の熱意の問題として片づけられがちです。しかし実際には、準備の時間を確保できない働き方になっていることが背景にある場合もあります。責める前に、まず状況を尋ねてみる。それでも改善しないようなら、担当の変更や契約形態の見直しを検討する、という順序が現実的です。

なお、教師との相性や進め方に不安が出たときの対応については、変更についてのページもご参照ください。当ネットワークでは教師の変更に費用はかかりません。

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7. 「共感できる」と「合格から逆算できる」は別の力

指導者の質を考えるとき、もう一つ整理しておきたい軸があります。それは「寄り添う力」と「設計する力」は別の能力であるということ。

「勉強が苦手だった先生だからこそ、つまずく子の気持ちがわかる」——こうした説明を目にすることがあります。これは一面では本当です。自分も同じところで苦労した経験は、生徒の気持ちを理解する助けになりますし、「この人になら聞ける」という安心感は、学習を続けるうえで小さくない力を持ちます。

ただ、共感することと、受験日というゴールから逆算して学習の道筋を設計することは、別の作業です。前者は主に人間関係の力、後者は分析と計画の力です。両方を備えている方もいますが、片方だけの場合もあります。

指導の要素寄り添う力が主に効く場面設計する力が主に効く場面
学習への抵抗感机に向かうハードルを下げる
つまずきの発見「わからない」と言いやすくする答案から抜けている単元を特定する
計画づくり入試日から逆算して優先順位をつける
教材の取捨選択何をやり、何を後回しにするか決める
本番期の判断不安を受け止める過去問の使い方と時間配分を組み替える

「寄り添う力」と「設計する力」はどちらも必要ですが、効く場面が違います。求める役割によって、重視すべき側が変わります。

どちらが必要かは、お子さまの状況で決まる

効いてくるのは、どちらが優れているかではなく、いまのお子さまにどちらがより必要かです。勉強そのものへの抵抗が強く、机に向かうこと自体が難しい段階であれば、寄り添う力の比重が高い先生のほうが前に進みます。逆に、学習習慣はあるのに成績が伸び悩んでいる段階なら、設計する力が要ります。

「うちの子は先生が来る日を楽しみにしているから安心」——この状態は良い兆候ですが、それだけで成績が動くとは限りません。楽しく続いていることと、合格に向けて前進していることは、別々に確認してください。授業後に「今日は何ができるようになったか」をお子さまに聞いてみると、その差が見えてきます。

8. 目的で変わる——習慣づけと難関受験では求める水準が違う

ここまでの話を、実際の選択につなげます。家庭教師に何を期待するかによって、求めるべき指導者の水準は変わります。ここを曖昧にしたまま料金だけで選ぶと、ミスマッチが起きます。

目的主な指導内容重視したい力期待できる変化
学習習慣の定着宿題の進め方の管理・基礎の復習寄り添う力・根気強さ机に向かう抵抗感が減る
学校の授業のフォロー教科書レベルの理解・定期テスト対策説明を分解する力授業についていける状態になる
一般的な受験対策塾の内容の定着・弱点補強設計する力・塾との連携穴が埋まり、成績が安定する
最難関校の受験対策過去問分析・記述添削・取捨選択高い学力+設計する力合格ラインまでの道筋が見える

目的別に見た、重視したい力の違い。「何を期待するか」を先に決めると、選ぶ基準がはっきりします。

目的があいまいなまま選ぶと、こうなる

よくあるミスマッチを挙げます。

どれも、ご家庭の目的と指導者の得意分野がずれていることから起きています。逆に言えば、依頼する前に「うちは何を期待するのか」を言葉にしておくだけで、多くは防げます。

9. 学年・目的別に見る、任せられる範囲の目安

もう少し具体的に、学年と目的ごとの目安を整理します。あくまで一般的な考え方ですが、判断の出発点になります。

小学生・中学生の基礎固めや学校のフォロー

この段階で最も必要なのは、高度な解法テクニックではなく、勉強に対する心理的なハードルを下げることです。指導者に求められるのは、教科書レベルの内容を根気強く、かみ砕いて説明できること。年齢が近く親しみやすい先生が力を発揮しやすい領域でもあります。

ただし、任せきりにはしないほうが確かです。何をどこまで進めたのかを、月に一度でよいのでご家庭が把握しておくと、方向のずれに早く気づけます。

最難関中学の受験対策

ここは求められる水準が大きく変わります。最難関中学の入試問題は、大人が見ても手が止まるような思考力を要求するものが多く、市販の解説をなぞる指導では対応が難しいのが実情です。必要になるのは次のような力です。

これは、受験を経験しただけでは再現しにくい領域です。指導実績と、その志望校レベルへの対応経験を、事前に確認しておく価値があります。灘の算数のように学校ごとの特性が強い入試については、灘中の算数はなぜ難しい?合否を分ける「1日目と2日目の違い」と対策で具体的に扱っています。

高校生・大学受験の対策

高校範囲になると、指導者自身の学力水準がそのまま指導の上限になります。数学Ⅲ・Cや物理・化学といった理系科目、英語の長文読解、記述対策などは、内容を深く理解していないと解説が成り立ちません。

確認しておきたいのは、次のような点です。

高校生の指導料を抑える工夫については、高校生の家庭教師を安く使う方法|オンライン・個人契約で費用を抑えるもあわせてご覧ください。

10. 準備時間の中身——学習プランはこう設計される

第6章で「準備時間が質を左右する」とお伝えしました。では、その準備時間で実際に何が行われているのでしょうか。ここが見えると、指導料が何に対する対価なのかが具体的に理解できます。

手順1:残り時間と到達点のギャップを測る

最初にやるのは、現在地とゴールの距離を測ることです。志望校の合格ラインと現在の成績のギャップを把握し、入試までに指導できる回数と時間を数えます。「あと何時間で、どれだけ埋める必要があるのか」を数字にする作業です。

この時点で、すべての単元を丁寧にやり直す時間はない、という現実が見えることも多くあります。そこから、優先順位づけが始まります。

手順2:何をやり、何を後回しにするかを決める

限られた時間で成果を出すには、「やらないことを決める」作業が欠かせません。志望校の出題傾向を分析し、頻出でない分野は思い切って後回しにする。得点源になる分野に時間を集中させる。この判断が、伸び方を大きく変えます。

塾に通っている場合は、塾のカリキュラムとテストの日程を踏まえて、家庭教師が補強すべき領域を絞り込みます。塾の教材をすべてこなそうとして共倒れになるより、取り組む範囲を間引いて定着させるほうが結果につながる場面は少なくありません。塾と家庭教師の役割分担については、塾と家庭教師の併用は月いくら?で費用面も含めて整理しています。

手順3:答案から「思考のどこがずれたか」を読む

記述問題や算数の途中式は、答えの正誤だけを見ても意味がありません。準備の中心は、生徒の答案を読み込み、どの段階で考えがそれたのかを特定することです。

この4段階を踏むには、事前に答案を読む時間と、説明の道筋を組み立てる時間が要ります。授業時間だけでは完結しません。

手順4:指導のない日にやることを具体化する

週1回の指導なら、残りの6日をどう過ごすかで結果は変わります。「何を、いつ、どこから」まで具体化された計画があると、お子さまは迷わず動けます。逆に「復習しておいて」だけでは、実行されないまま次の指導日を迎えることになります。

ここまでが、指導者が授業外で行う準備の中身です。1時間の授業の背後に、これだけの作業があると考えると、指導料がどこへ流れるかという話の意味が、より具体的に感じられるのかもしれません。

11. 体験授業で確かめる——大学名の代わりに見る5つの観点

ここまで、大学名以外に見るべきものを整理してきました。では、それを実際にどう確認するか。最も有効なのが体験授業を「観察の機会」として使うことです。

見るべきポイント確認の方法
説明の分解力つまずいている単元をどう説明するか観察する
指導の設計力「今後どう進めるか」を具体的に説明できるか質問する
継続の見通し受験までの期間、担当を続けられるか確認する
お金の流れ指導料以外の費用の有無、契約形態を確認する
お子さまとの相性体験後、お子さま自身がどう感じたかを聞く

大学名ではなく、実際に確認できる5つの観点。体験授業はこれらを見極める貴重な機会です。

設計力を測る、ひとつの質問

体験の場で投げかけると差が出やすいのが、次のような質問です。

「志望校に向けて、今月中にどこまで進めて、来月からは何に入るのが良さそうですか?」

この質問への答え方に、設計力が表れます。現状を踏まえて「まずこの単元を2週で仕上げ、その後この分野の演習へ」といった具体的な道筋が返ってくれば、逆算して考える習慣がある方だと分かります。

一方、「まずは基礎からじっくり」「本人のやる気次第で」といった一般論にとどまる場合は、まだ道筋が描けていない可能性があります。ただし、初対面で情報が少ない段階では答えにくい質問でもあるので、「今の情報だと断定できないが、こういう順で見極めたい」という説明ができるかどうかまで含めて聞くと公平です。

お子さまの反応も、同じくらい重要

親から見て頼もしくても、お子さまが萎縮していては続きません。体験後に、次のようなことを聞いてください。

体験授業の使い方については、家庭教師の無料体験で見るべきチェックポイントで、事前準備から当日の観察ポイントまで詳しく解説しています。

12. 契約前に確認したい、指導料以外の費用

お金の流れを考えるうえで、もう一つ見落とせないのが指導料以外にかかる費用です。月謝が安く見えても、別の名目の費用が積み重なると、最終的な負担は変わってきます。契約前に、次の項目を確認しておくほうが確かです。

これらは契約前であれば、どのサービスでも確認できます。「月謝はいくらか」だけでなく「月謝以外に何がかかるか」まで聞いておくことで、後から想定外の負担が生じることを防げます。

年間の総額で考える

月単位で見ると小さな差でも、受験までの1年、2年で積み上がると大きくなります。月謝・教材費・管理費を12か月分で計算し、そこに入会金を足した年間総額で比べると、実態が見えやすくなります。指導回数を増やす可能性があるなら、その分も見込んでおくと安心です。

ちなみに当ネットワークでは、お支払いいただくのは指導料と交通費のみで、入会金・管理費・解約金はいただいておりません。指導料は教師ごとにプロフィールへ明記しています。詳しくは費用についてのページをご覧ください。

13. ご相談で多い3つのケースと、考え方

最後に、実際にご相談としてよくいただくケースを挙げ、この記事の考え方をどう当てはめるかを整理します。

ケース1:「今の先生の出身大学を知って不安になった」

まず確認したいのは、お子さまの志望校のレベルに対して、その先生の学力が足りているかです。学校の復習が目的なら、多くの場合は問題ありません。一方で、最難関校の過去問に入る段階なら、実際に志望校の問題を扱えるかを確かめる必要が出てきます。

確認の方法はシンプルで、志望校の過去問を1題見てもらい、「この問題の考え方を、子どもに説明するとしたらどうなりますか」と尋ねることです。答えを出せるかどうかより、説明の道筋を言葉にできるかを見ます。ここで詰まるようなら、学年が上がる前に体制を見直す判断もあり得ます。

ケース2:「月謝が高いのに、指導が薄い気がする」

このケースでは、指導料の内訳と契約形態を確認するほうが確かです。月謝のうち指導以外に充てられる割合が大きいと、講師が準備に割ける余力は限られます。同じ予算でも配分の形が違えば、指導に向かう部分は変わります

そのうえで、契約形態を変えるという選択肢もあります。事務サポートの安心を取るか、指導そのものへの配分を厚くするか——ご家庭の優先順位で判断すれば十分です。

ケース3:「子どもは懐いているが、成績が動かない」

最も判断が難しいケースです。相性が良いことは続けるうえで大きな財産なので、すぐに切り替えるのは得策ではありません。まずは「寄り添う力」は足りていて、「設計する力」が不足しているのではないかという仮説で見てみます。

具体的には、「今後3か月でどこまで進めるか」を先生に尋ね、道筋が返ってくるかを確認します。返ってこない場合、設計の部分だけを別の指導者が担う、あるいは塾のカリキュラムを軸に据えて家庭教師は定着に専念する、といった役割分担で解決できることもあります。先生を替えることだけが解決策ではありません

まとめ:大学名より「お金の流れ」を見る

この記事の要点を、最後にまとめます。

結局、何を見ればよいのか

整理すると、確かめるべきものは3つに集約されます。

  1. その子の志望校レベルに対して、十分な学力があるか——一律の大学序列ではなく、相対的な判断で
  2. 解き方を分解して、その子に伝えられるか——体験授業で実際の説明を見る
  3. その先生が、良い状態で続けられる仕組みか——指導料の流れと費用の内訳を確認する

お子さまを任せる先生への不安は、当然のものです。ただ、その不安を大学名だけで解消しようとすると、本当に見るべきものを見落としてしまいます。お金がどこへ流れ、その先生がどんな環境で指導しているのか——この視点を持つと、家庭教師選びの解像度は大きく上がります。お子さまに合った先生と出会えることを願っています。

お金の流れを確かめれば、指導料のうちどれだけが実際の指導に向かうのかが見えてきます。そのうえで、担当する教師が志望校の水準に届いているかどうかは、また別に確かめる必要があります。

中学受験の指導実績がある教師

23名が登録しています

うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。

それでも、一度お話を聞かせてください

ここまで読んで、「うちの契約はどうなっているのだろう」と思われたかもしれません。

契約の形は、続けやすさにも関わってきます。合わなかったときに変えられるかどうかで、最初の一歩の重さが変わるためです。

学年と志望校、それにいまご検討中の条件を一言いただければ、こちらで整理してお返しします。いまの契約のままで問題ないと判断される場合は、そうお伝えします。

判断の材料だけでも、お渡しできればと思っています。

合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。

よくある質問

Q 家庭教師が下位とされる大学の学生だと、指導の質は低いのでしょうか?
A 大学名だけでは判断できません。大学名から推測できるのは入試を突破した時点の学力の目安までで、解き方を分解して伝える説明力や、受験まで担当を続けられる継続性は分かりません。一方で、学力がまったく不要というわけでもなく、志望校の問題を初見で解けなければ過去問指導は成立しません。効いてくるのは一律の大学序列ではなく、お子さまの志望校のレベルに対して十分かという相対的な判断です。
Q 同じくらいの月謝なのに、先生によって質が違うのはなぜですか?
A 理由はいくつかありますが、見落とされがちなのが指導料の配分構造です。同じ月謝でも、仲介会社を通す形だと料金の一部が運営費として差し引かれ、実際に講師へ渡る金額が変わります。講師の手取りは、指導準備にかけられる時間や、その仕事を続けるかどうかにも影響します。月謝の総額だけでなく、そのうちどれだけが指導そのものに向かうのかという視点を持つと、質の違いの背景が見えてきます。
Q 指導料が講師の手元にどれだけ渡るかは、質に関係しますか?
A 関係することがあります。講師の手取りが低いと、授業の準備に十分な時間をかけにくくなったり、より条件のよい仕事へ移ってしまったりすることがあります。逆に、手取りが適正に保たれていると、腰を据えて一人の生徒に向き合いやすくなります。指導料の金額そのものの高さより、その配分が講師の意欲と継続を支える形になっているかが、長い目で見た指導の安定につながります。
Q 指導料の内訳は、契約前に確認できますか?
A 契約形態によります。仲介会社を通す場合、内訳の詳細までは開示されないことが多いですが、入会金や管理費、教材費といった指導料以外の費用がかかるかどうかは、契約前に確認することができます。直接契約に近い形では、指導料がそのまま講師の報酬になるため、お金の流れがシンプルで分かりやすくなります。総額だけでなく、指導料以外に何がかかるかを事前に確認することが、後のトラブルを防ぎます。
Q 料金が安いと、指導の質も低くなりますか?
A 必ずしもそうとは限りません。安くても質の高い指導はありますし、高くても仲介にかかる費用が多ければ、講師の手取りは限られます。効いてくるのは価格の高低そのものより、支払ったお金がどこに向かうかです。同じ予算でも、仲介にかかる費用が少ない形であれば、その分を講師の報酬や指導準備に充てられます。価格だけで判断せず、指導料の流れと、指導以外にかかる費用の有無をあわせて見るほうが確かです。
Q 優しくて子どもが懐いている先生なら、それで大丈夫でしょうか?
A 続けやすさという点で、相性の良さはとても大切です。ただ、寄り添う力と、受験日から逆算して学習を設計する力は別の能力です。楽しく続いていることと、合格に向けて前進していることは、別々に確認してください。授業後にお子さまへ「今日は何ができるようになったか」を聞いてみると、指導が積み上がっているかどうかが見えてきます。学習習慣づくりが目的なら相性重視で問題ありませんが、志望校対策が目的なら設計する力もあわせて確かめてください。
Proチューターズネットワーク 編集部
中学受験を専門とするプロ家庭教師マッチングサービス「Proチューターズネットワーク」が運営する受験情報メディア。最難関校から中堅校まで、志望校のレベルを問わずご相談を承っています。兵庫・神戸を拠点に、ご家庭と教師の双方の相談を受ける立場から、受験と費用の情報を発信しています。

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