1. 言い出せないのは、ご家庭が悪いわけではない
指導が始まって数か月、なんとなく噛み合っていない気がするけれど、はっきりした落ち度があるわけでもない。この状態が、いちばん言い出しにくいところです。
ご相談をうかがっていると、言い出せない理由はだいたい共通しています。
- せっかくお引き合わせしてもらったのに申し訳ない
- 子どものわがままだと思われないか
- 先生の生活に関わることだから
- まだ数回しか受けていないのに、判断が早すぎないか
- 次の先生が合うとも限らず、また同じ迷いを繰り返しそうで動けない
どれも相手を思いやっているから出てくる迷いであって、ご家庭の側が気を遣いすぎているだけですから、悪いことをしているわけではありません。
ただ、合わないまま続けて得をする人は誰もいません。お子さまの時間が過ぎていきますし、教師の側も手応えのないまま指導を続けることになります。先生にとっても、早めに区切りをつけたほうが楽な場面があります。
もう一点、「もう少し様子を見よう」を繰り返しているうちに、半年が過ぎてしまうことがあります。迷うこと自体は自然なのですが、期限を決めずに迷い続けると、そのぶん指導の回数が消えていきます。受験学年であれば、この差は結果に出ます。
この記事では、まず「合わない」の中身を切り分けて、様子を見てよい場合と動いたほうがよい場合を分けます。判断の期限をどこに置くか、実際に伝えるときの文面まで用意しました。読み終えたときに、次にやることが1つ決まる形を目指しています。
先生の側から見ると
もう一つ知っておいていただきたいのは、合っていないことを先生の側も感じている、という点です。
質問が出ない、反応が薄い、宿題が返ってこない——指導する側からは、こうした信号がはっきり見えています。それでもご家庭から何も言われなければ、「このやり方で問題ない」と受け取るしかありません。
プロとして指導を続けている以上、手応えのない時間は先生にとっても重いものです。早めに区切りをつけたほうが、双方にとって楽になる場面があります。ご家庭が遠慮していることが、かえって長引かせることもあります。
2. まず切り分ける——「合わない」の中身は4つある
「合わない」とひとことで言っても、その中身は分かれます。手当ての方向が変わりますので、まずは切り分けておきたいところです。
| 型 | 具体的な状態 | 原因 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 相性型 | 子どもが萎縮する/話さない/授業後に疲れきっている | 人と人の噛み合わせ | 変更が効く |
| 設計型 | やっている内容が志望校とずれている/宿題の量が合わない | 指導方針の設定 | まず相談で直る |
| 実力型 | 質問に答えられない/解法の説明が曖昧 | 担当科目との適合 | 変更が要る |
| 運用型 | 遅刻が多い/日程変更が頻繁/連絡が取りにくい | 約束事の運用 | 一度伝えて改善を見る |
この4つのうち、変更しないと解決しないのは相性型と実力型のほうで、設計型と運用型は伝えれば直ることがあります。まずはどれに当てはまるかを見てみてください。
型は重なることがある
実際には、複数の型が同時に起きていることもあります。宿題の量が合っていない(設計型)ために本人が疲弊し、その結果として先生の前で萎縮するようになった(相性型に見える)といった具合です。
この場合は、先に設計型のほうを解消するのが順序です。量を調整しただけで萎縮が消えることもありますし、順序を逆にして先に変更してしまうと、次の先生でも同じ量を出されて、また同じことが起きてしまいます。
見分け方はひとつで、指導が始まった当初はどうだったかを思い出してみることです。最初は普通に話していたのに途中から黙るようになったのなら、設計型が先に来ている可能性が高くなります。最初から一貫して硬い場合は、相性型です。
設計型を変更で解決しようとすると損をする
いちばんもったいないのが、設計型を相性型だと思って変更してしまう場合です。
「宿題が多すぎる」「進め方が速い」といった不満は、伝えれば調整できます。むしろ先生の側は、言われないと分かりません。ご家庭が我慢して黙っていると、先生は「今のやり方で問題ない」と判断して続けてしまいます。
ここで変更してしまうと、伝えていないのですから、次の先生でも同じことが起きます。まず一度、具体的に伝えてみて、それで変わらなければ、そのときに動けば済みます。
実力型は、判断が難しい
4つの型のうちご家庭から見えにくいのが実力型で、指導内容が適切かどうかは、専門の知識がないと判断がつきません。
ただ、いくつか観察できる場面はあります。質問への答えがその場で出てくるかどうか。解法を2通り以上示せるか、「これは覚えるもの」で終わらせていないか、過去問の傾向について具体的に話せるか。
特に、志望校の出題について尋ねたときの反応は分かりやすい指標です。「この学校は図形が多いので、そこに時間を割いています」と言えるかどうか。ここが曖昧なまま数か月が過ぎている場合、担当科目との適合を疑う段階です。
3. 見極める5つの基準
感覚ではなく観察できる形で判断していきますが、目安になるのは次の5つです。
- 授業中に質問をしているか——「わからない」と言えているかどうか。これが出ないと、指導時間の大半が流れていきます
- 指導後に内容を説明できるか——「今日は何をやった?」に答えられない場合、受け身のまま終わっています
- 宿題の意味を理解しているか——なぜこれをやるのかを本人が言えるか。言えないなら、指示だけが渡されています
- 授業前後の表情が変わっていないか——始まる前に緊張し、終わったあとに疲れきっているなら、相性型のサインです
- 進め方が志望校とつながっているか——志望校の出題と、やっている内容が噛み合っているかどうか
この5つは、どれか1つが欠けているだけなら様子を見る範囲で、2つ以上が同時に崩れているときに、動く判断が出てきます。
なかでも1と2が最も重要です。質問ができて内容を説明できる、この2つが成立していれば、多少の不満があっても指導は前に進みます。逆にここが崩れていると週2時間がほぼ流れていき、年間に直せば100時間近くになります。
逆に、この2つが崩れている場合は、他がどれだけ良くても成果が出にくくなります。実績のある先生でも、目の前のお子さまと噛み合わないことはありますので、教師の質ではなく組み合わせの問題として考えてください。
3つ目と5つ目は、宿題を見れば分かる
3つ目の「宿題の意味を理解しているか」と、5つ目の「志望校とつながっているか」は、宿題そのものを見れば判断できます。
お子さまに聞いてみてください。「これ、なんでやることになったん?」——先生から説明を受けていれば、「速さが弱いから」「過去問でここが出るから」と答えます。「言われたから」しか出てこないようなら、指示だけが渡されている状態です。
5つ目については、志望校の過去問と宿題を並べてみるのが早い方法です。出題されている分野とやっている内容が重なっているかどうかを見て、ここがずれていると、量をこなしても点につながりません。秋以降は、とくに効いてきます。
1と2は、指導のたびに確認できる
指導が終わったあと、5分だけ時間をとって「今日どこがわからんかった?」「それ、先生に聞けた?」と聞いてみてください。この2問で、1と2が同時に確認できます。
毎回でなくても構いませんが、月に1度でも記録しておくと変化が見えてきます。数か月分たまると、印象ではなく事実で判断できるようになります。
基準を記録しておく理由
この5つを記録に残しておくと、あとで効いてきます。
変更を申し出るとき、「なんとなく合わない気がする」ではご自身も踏み切れません。ところが「6回中、質問が出たのは1回だけ」という記録があれば、判断に迷いが減ります。
ご家庭内で意見が割れている場合にも使えます。父母のどちらかが「もう少し様子を見よう」と言い、もう一方が「変えたほうがいい」と考える。この対立は印象で話している限り解けませんが、記録があれば、同じ事実を見ながら話せるようになります。
4. 様子を見てよい場合、動いたほうがよい場合
| 様子を見てよい | 動いたほうがよい |
|---|---|
| 指導が始まって1〜2回 | 4〜6回を過ぎても質問が出ない |
| 子どもが緊張しているが会話はある | 子どもが萎縮して黙り込む |
| 宿題の量が多い/少ない | 宿題の内容が志望校とずれている |
| 説明が速いと感じる | 質問への答えが曖昧、その場で調べている |
| 雑談が少し多い | 指導時間の半分近くが雑談 |
| 日程変更が1度あった | 日程変更が続き、指導が飛んでいる |
右の列に2つ以上当てはまるようなら動いたほうが早くなりますし、1つだけであれば、まず伝えて改善を見る段階です。
左右の違いは程度ではなく質にあります。「説明が速いと感じる」は調整できますが、「質問への答えが曖昧」は調整では変わりません。「宿題の量」は相談で動くのに対し、「宿題の内容が志望校とずれている」は指導方針そのものの問題です。調整で動くか動かないかが、見分けの軸になります。
子どもが何も言わないとき
逆に、聞いても「別に」「普通」としか返ってこないこともあり、この場合は判断材料が取れません。
そのときは直接聞くのをやめて、行動のほうを見てみてください。指導の日が近づくと機嫌が悪くなるか、始まる前に別のことを始めるか、終わったあとすぐ部屋に戻るか。言葉より、こちらのほうが正確なことがあります。
もう一つ、宿題への手のつけ方も見てみてください。前日に慌ててやっているのか、それとも指導の翌日に手をつけているのか。後者であれば内容に納得している証拠ですが、前者が続くようなら、指導そのものが本人の中で優先順位を下げています。
子どもが「怖い」と言ったとき
この言葉が出たときは内容を具体的に聞いてみてください。厳しさの質によって、判断が分かれます。
間違いを指摘されることへの抵抗であれば、慣れの範囲で収まることがあります。受験勉強では、できていないところを指摘される場面が避けられません。
一方で、人格に触れる言い方をされている、質問すると不機嫌になる、答えられないと黙り込まれる。こうした内容であれば学習の前提そのものが崩れていますので、様子を見る段階ではありません。
5. 判断のタイミングは、指導の回数で決める
期間ではなく回数で区切るほうが正確です。週1回と週2回では、同じ1か月でも経験している回数が違ってきます。
| 回数 | 見るところ |
|---|---|
| 1〜2回 | 互いに探っている段階。判断材料にならない |
| 3〜4回 | 質問が出始めているか。出ていなければ一度伝える |
| 5〜6回 | ここで質問が出ていないなら、相性型の可能性が高い |
| 7回以上 | 成果の話に移る段階。ここまで来て手応えがなければ動く |
目安としては6回が1つの区切りで、週1回なら1か月半になります。ここまでで質問が出ず、指導後に内容を説明できない状態が続いているようなら、待っても変わりにくくなります。
回数で区切る理由
期間で区切ると、判断が甘くなりがちです。「3か月様子を見よう」と決めたご家庭が、実際には月2回しか指導を受けておらず、6回分の材料しか得られていなかった、ということもあります。
逆に週2回のご家庭なら1か月で8回ですから、同じ1か月でも、判断できる材料の量が違ってきます。だからこそ、指導の回数で数えます。
もう一つ、回数で決めておくといつ判断するかを先に決められるという効果があります。「6回目が終わったら夫婦で話す」と決めておけば、それまでは迷わずに済みます。毎回の指導のたびに考え込む状態が、いちばん消耗します。
受験学年は、区切りを早める
6年生や中学3年生、高校3年生の場合は、この目安を短くしてください。迷っている1か月が、そのまま持ち時間から引かれてしまいます。
関西の中学入試は例年1月中旬の統一解禁日から始まり、首都圏より約2週間早くなります。夏を過ぎてからの1か月は、重みが違うということです。受験学年であれば、4回を目安に判断するくらいでちょうどよいと考えています。
兄弟姉妹で判断が分かれるとき
同じ先生に兄弟姉妹を見てもらっている場合、片方には合っていて、もう片方には合っていないことがあります。
この状況では、合っていないほうだけを別の教師に切り替えるという判断もできます。兄弟で同じ先生にする必要はありませんし、学年も性格も違えば、噛み合う相手が違ってくるのは自然なことです。
移動時間や日程の都合で1人にまとめたくなる場面ですが、合っていない側の時間が消えるほうが、損失としては大きくなります。まずは、合っていない側の指導内容から確認してみてください。
6. 先生に直接言うか、間に人を入れるか
伝え方には2つの経路がありますが、どちらを選ぶかは内容によって分かれます。
| 直接伝える | 間に人を入れる |
|---|---|
| 宿題の量を調整してほしい | 担当を変更したい |
| 進め方を変えてほしい | 指導内容に疑問がある |
| 日程を固定してほしい | 子どもとの相性が合っていない |
| 科目の配分を変えたい | 言いにくい内容が含まれる |
左は「調整のお願い」ですので、直接伝えたほうが早く、関係も悪くなりません。右は「関係そのものの見直し」になりますから、間に人を入れたほうが双方の負担が軽くなります。
当ネットワークにご連絡いただければ、こちらから教師にお伝えしますので、ご家庭が直接お断りする必要はありません。お電話でもLINEでも構いません。
間に人がいない場合
個人契約でお願いしている場合は、間に立つ人がいませんので、ご家庭が直接お断りすることになります。
この場合、伝えるタイミングを決めておくと動きやすくなりますが、次回の指導の前日までに連絡するという形が現実的です。当日に伝えるのは、先生が移動を始めていることもあり、避けたほうが無難でしょう。
その月の指導料の清算がどうなるかも、先に確認しておきたいところです。前払いしている場合は残り回数の扱いを決める必要が出てきますので、ここを曖昧にしたまま伝えると、話が長引いてしまいます。
7. 角を立てずに伝える——そのまま使える文面
直接伝える場合の文面を用意しました。そのまま使っていただいて構いません。
調整をお願いする場合
例:宿題の量を調整したいとき
いつもご指導いただきありがとうございます。
ひとつご相談なのですが、塾の課題とあわせると処理が追いついていないようで、直しまで手が回っていないことが増えてきました。量を少し減らしていただくか、優先順位をつけていただくことは可能でしょうか。
本人の様子を見ながら、また調整をお願いするかもしれません。よろしくお願いいたします。
件名は「ご相談」「指導内容について」程度で構いません。深刻な件名にすると、開いた時点で身構えられてしまいます。
要点は3つで、先生を責めない、事実だけ伝える、こちらから提案を添える。「量が多すぎます」ではなく「処理が追いついていない」と、状況の説明にすると受け止めやすくなります。
伝えるときに避けたい言い方
逆に、こういう伝え方は関係がこじれやすくなります。
| 避けたい | 言い換え |
|---|---|
| 教え方が合わないようです | 本人がまだ質問できずにいるようです |
| 成績が上がらないので | 進め方を一度見直すことにしました |
| 子どもが嫌がっていて | 家庭で相談した結果です |
| 他の先生を試したくて | いったん区切りとさせてください |
左は先生個人への評価になっているのに対して、右は家庭側の状況や判断として述べる形です。同じことを伝えていても、受け取り方がまったく変わってきます。
とくに「子どもが嫌がっている」という言い方は避けたいところです。事実であっても、先生の側からは反論のしようがなく、後味だけが残ってしまいます。
担当の変更をお願いする場合
例:区切りをつけたいとき
これまでご指導いただき、ありがとうございました。
家庭で相談しました結果、進め方を一度見直すことにいたしました。つきましては、○月○日の指導をもって区切りとさせていただければと存じます。
急なご連絡となり申し訳ありません。これまでいただいたご指導に感謝しております。
理由を細かく説明する義務はありませんので、「検討した結果」「家庭で相談した結果」で足ります。先生個人を否定せず、家庭側の判断として伝えるのが、いちばん角が立たない形です。
メールで問題ありません。対面で伝えるほうが誠実だと考える方もいらっしゃいますが、その場で理由を問われると答えに詰まってしまいます。文面のほうが、双方とも冷静でいられます。
8. お子さまへの伝え方
変更を決めたら、お子さまにも伝えてください。黙って先生が変わってしまうと、本人の中に混乱が残ります。
伝えるタイミング
先生に伝える前か後か、という問題もあります。
先に先生へ伝えて、区切りが確定してから本人に話すほうが、混乱は少なくなります。本人に先に言うと次の指導のときに気まずくなりますし、子どもは表情に出ますので、先生の側も察するものです。
最後の指導のあとに伝えるのが、いちばん収まりのよい形です。「今日で一区切りにすることにした」と事後に伝えれば、本人がお礼を言う機会も残ります。
「あなたのために変える」とは言わない
善意から出る言葉ですが、受け取り方の難しい表現でもあります。自分のせいで先生が辞めさせられた、と理解してしまうことがあるからです。とくに本人が「怖い」と言っていた場合は、そう受け取りやすくなります。
おすすめできるのは、家庭の判断として伝える形です。
「進め方を変えてみることにした。今度の先生とは、まず算数を中心に見てもらうつもり」
——理由を本人に背負わせず、これからの話に軸を置きます。
もう1点、前の先生を悪く言わないでください。本人がその先生に少しでも懐いていた場合、その関係まで否定されたように感じてしまいます。「合わなかった」で十分です。
引き継ぎは、誰に渡すか
書き出した内容は、次の教師に直接渡す形と、間に立つ側に渡す形があります。
直接渡すと、前任者への評価をご家庭が口にすることになりますので、気まずさが残る場面です。間に立つ側に渡せば、そこで整理してから次の教師に伝わります。当ネットワークの場合は、うかがった内容をこちらで要点にまとめてお引き合わせしています。
渡し方は口頭でもメールでも構いませんし、1行ずつの箇条書きで十分です。文章にまとめようとすると、それ自体が負担になって後回しになってしまいます。
変更後、しばらくしてから
新しい先生に替わったあと、お子さまが前の先生の話をすることがあります。「前の先生はこう言っていた」「前のほうがわかりやすかった」。
これが出たときは、否定しないでください。比較しているのではなく、慣れの途中にいるだけですので、数回で収まることがほとんどです。
ただし、1か月を過ぎても続くようなら、前の先生との相性がそれほど悪くなかった可能性があります。その場合、変更の理由は相性ではなく、設計や運用の問題だったのかもしれません。次の教師には、その点をあらためて伝えておきたいところです。
9. 変更のときに、必ず引き継ぐこと
ここを飛ばしてしまうと、次の先生でも同じことが起きます。
合わなかった点を、できるだけ具体的に言葉にしておいてください。抽象的な「相性が悪かった」では、次の教師選びに使えません。
| 使えない伝え方 | 使える伝え方 |
|---|---|
| 相性が合わなかった | 質問しても答えが返ってこず、本人が聞かなくなった |
| 教え方が下手だった | 解法を1つしか示さず、本人のやり方を直させていた |
| 厳しすぎた | 間違えたときに黙り込まれ、本人が萎縮していた |
| 合わない気がした | 説明が速く、板書を写すだけで時間が終わっていた |
右のように書けていれば、次の教師選びで「本人のやり方を尊重する」「テンポをゆっくりにする」といった条件が立ちます。ここが引き継げているかどうかで、2人目の当たり方が変わります。
あわせて、うまくいっていた点も残しておいてください。「雑談から入ると本人が話し始める」「図を描くと理解が速い」など、前任者が見つけたことは資産ですので、捨ててしまうにはもったいない情報です。
塾の先生に相談するとき
塾に通われている場合、塾の面談で家庭教師について相談されることがあります。
このとき、塾側は家庭教師の指導内容を見ていないという前提を持っておいてください。判断材料は、ご家庭からの説明と、塾の中での成績推移だけです。
その範囲で有効なのは、「塾の課題と家庭教師の宿題を合わせて、量が処理できているか」という視点です。塾の側は自分たちが出している課題量を把握していますので、ここは相談する価値があります。
一方、相性の判断や指導内容の適否については材料を持っていませんので、期待する範囲を分けたうえで相談するのが現実的です。
10. 契約の形によって、変更の手間が変わる
変更のしやすさは契約の形で決まりますから、ご自身がどの形なのかを先に確認しておいてください。
| 形態 | 変更の窓口 | 費用 | 手間 |
|---|---|---|---|
| 会社・センター経由 | 会社の担当者 | 契約により手数料が生じる場合がある | 契約内容の確認が要る |
| マッチング(当ネットワーク) | 当ネットワーク | 無料・回数制限なし | 連絡1本 |
| 個人契約 | ご家庭が直接 | — | ご自身でお断りする |
会社を通している場合は、契約書に解約や交代の条件が書かれていますので、申し出る前に一度目を通しておいてください。違約金の規定がある場合は、タイミングによって扱いが変わります。
個人契約の場合は、間に立つ人がいませんので、ご家庭が直接お断りすることになります。費用面での自由度と引き換えに、この負担が発生します。
当ネットワークは、ご家庭と教師の直接契約でありながら、お引き合わせと変更のご連絡は当方が担う形です。変更は何度でも無料で回数の制限もありませんし、理由も「合わないようです」の一言で結構です。
まだ申し込む段階ではない、という方へ
お子さまの学年と、いま気になっていることを一言だけお送りいただければ、ご返信します。お申し込みフォームのご入力は必要ありません。ご相談だけで終わっても問題ありません。
LINEで相談するProチューターズネットワーク公式LINE/ご相談は無料です
記録がないときは、思い出せる範囲で
ここまで読んで、「記録を取っていなかった」と思われた方もいらっしゃると思いますが、それでも構いません。
思い出せる範囲で、次の3つだけ書き出してみてください。直近の指導で本人が何を話していたか、宿題をどれくらい残していたか、指導のあとどんな表情だったか。この3点だけでも、次の教師選びの材料になります。
完璧な記録よりも、1行でも残っていることのほうが役に立ちます。
11. 変えても解決しないケース
正直に書いておきますと、教師を変えても状況が変わらない場合があります。
2人目でも同じ状態が続くようなら原因は教師以外にありますので、次のどれかに当てはまっていないか確かめてみてください。
- 学習時間そのものが足りていない——週1回2時間で足りる想定になっていないか
- 塾の課題との合計量が処理しきれていない——家庭教師の宿題を足す余地が残っているか
- 生活リズムが崩れている——起床時刻が一定でない状態では、指導内容が入りません
- 志望校と現在地の差が大きすぎる——残り時間で埋まる差なのかを、過去問で測ったことがあるか
- 本人が受験に納得していない——ここが崩れていると、誰が教えても前に進みません
このいずれかであれば、3人目に変えても結果は同じです。教師選びではなく、学習全体の設計を見直す段階に来ています。
本人が受験に納得していない場合
5つのうち、いちばん重いのが最後の項目です。
本人が受験そのものに納得していない状態では、誰が教えても前に進みません。指導のたびに、乗り気でない相手に向かって説明することになるからです。先生を変えても、この構造は変わりません。
この場合、まずは本人と話す時間が要ります。なぜ受験するのか、どこに行きたいのか。答えが出ないようなら、いったん立ち止まるという判断もあります。
ただ、6年生の秋にこの話を始めるのは時間の面で厳しくなりますので、気になる兆候があるなら、早い段階で確かめておいてください。「先生が合わない」という言葉の裏に、これが隠れていることもあります。
教師を変えるのが目的化していないか
変更が2回、3回と続いているご家庭では、変えること自体が目的になっていることがあり、合わない先生を探し続けている状態に陥っています。
その場合は、上の5つを先に確認してみてください。ここが片づいていない状態で教師だけを入れ替えても、消耗するだけになってしまいます。
12. この判断を、誰と一緒にするか
ここまで書いた切り分けは、ご家庭でも進められます。5つの基準を見て、回数で区切り、当てはまる型を選ぶ。この順序で方向が決まるなら、それがいちばん早い形です。
難しくなるのは、相性型と設計型の見分けのほうです。
この2つは、外から見える症状がよく似ています。どちらも「子どもが黙る」「宿題が進まない」という形で表面化するためです。ところが手当ては正反対で、片方は教師の変更、もう片方は進め方の調整になります。間違えると、直るはずのものを変更してしまうか、変えるべきものを我慢し続けるかのどちらかになってしまいます。
子どもが萎縮しているように見えても、実際には難易度が合っていないだけということがあります。逆に、内容は適切なのに伝え方が噛み合っていないこともあります。指導の様子を直接見ていないご家庭からは、この2つが同じに見えます。
中学受験の指導実績がある教師
23名が登録しています
うち8名は、灘・甲陽学院・東大寺学園・洛南・西大和学園・大阪星光学院・神戸女学院・四天王寺などの最難関校に生徒を送り出した指導実績を持っています。学生講師は在籍していません。
在籍状況は時期により変わります。担当できる教師がいるかは、教育相談フォームからお問い合わせください。
当ネットワークにご相談いただく場合、うかがうのは次の点です。指導後にお子さまが何を話しているか、宿題の内容と量、使っている教材、直近の模試の結果。ここから、相性の問題なのか設計の問題なのかを切り分けます。
設計の問題であれば、教師を変えずに進め方を調整するご提案をします。相性の問題であれば、合わなかった点を踏まえて別の教師をご案内します。
それでも、一度お話を聞かせてください
ここまで読んで、「うちは変えるべきなのか、様子を見るべきなのか」と思われたかもしれません。
ご家庭だけで抱えていると、「これは相談していいことなのか」を決めるところから始まります。そこで数週間が過ぎるのが、いちばん惜しい。
学年と、いま気になっていることを一言いただければ、こちらで整理してお返しします。その場で決めていただく必要はありません。家庭教師以外の選択肢をお伝えすることもあります。
力になれることがあるなら、なりたいと思っています。
合格や成績の伸びをお約束することはできません。ご希望の条件によっては、お引き合わせが難しい場合もあります。
体験授業を受けたうえで、家庭教師が要らないと判断されたときは、そう言っていただいて構いません。
相談のときに、あると助かるもの
ご相談いただく際、次のものがあると切り分けが速くなりますが、すべて揃っていなくても構いません。
- 直近の模試の結果(成績表そのもの)
- 家庭教師の宿題として出されているものの現物
- 使っている教材の名前
- 指導のあと、お子さまが話していたことのメモ
- 志望校(決まっていなければ、候補で構いません)
写真で撮ったもので十分ですので、紙で用意していただく必要はありません。
とくに2つ目と3つ目が判断に効きます。宿題の内容と教材を見れば、志望校の出題と噛み合っているかどうかがおおよそ分かります。ここがずれていれば設計型、噛み合っているのに手応えがなければ相性型、という切り分けができます。
まとめ:合わないまま続けて得をする人はいない
この記事の要点
- 言い出せないのは、ご家庭が相手を思いやっているから。悪いことではない
- 「合わない」は相性型・設計型・実力型・運用型の4つに分かれる
- 変更しないと解決しないのは相性型と実力型。設計型と運用型は伝えれば直る
- 見極めの5基準のうち、質問が出ているかと内容を説明できるかが最も重要
- 判断は期間ではなく回数で。6回が目安、受験学年は4回
- 調整のお願いは直接、担当の変更は間に人を入れる
- 伝えるときは理由を細かく説明しなくてよい。家庭側の判断として伝える
- お子さまには「あなたのために」と言わず、家庭の判断として伝える
- 合わなかった点を具体的に言葉にすると、2人目の当たり方が変わる
- 2人目でも同じなら、原因は教師以外。学習全体の設計を見直す
迷っている時間のほうが高くつく
最後に、時間の話をしておきます。
週1回2時間の指導で迷ったまま2か月が過ぎると、8回分の指導が「様子見」に使われたことになります。受験学年であれば、この8回は戻ってきません。
もちろん、性急に動けばいいという話ではなく、1〜2回で判断するのは早すぎます。ただ、期限を決めずに迷い続けることだけは避けてください。6回、受験学年なら4回。ここで一度立ち止まり、記録を見て決める。それだけで、迷う時間は半分以下になります。
先生を変えることは失敗ではなく、組み合わせを変える作業です。実績のある教師でも目の前のお子さまと噛み合わないことはありますし、指導歴が長いほど合う、という単純な話でもありません。
迷っている時間のほうが、受験までの持ち時間を削ります。切り分けて、区切りを決めて、動く。それだけで秋の使い方が変わりますし、判断が早いほど、次の先生と過ごせる時間も長くなります。
そして、変えないという判断も同じくらい価値があります。記録を見て「これは設計の問題だ」と分かれば、伝えるだけで済みます。変えるか変えないかを決めることが目的であって、変えること自体が目的ではありません。